目次

  1. 1. 相続税の納税義務者になるのはどんな人?
  2. 2. 被相続人または相続人が国外にいたとき
  3. 3. 生前贈与で相続税を納めるとき
  4. 4. 納税義務者でも相続税を納めなくていいとき
  5. 5. 相続税の連帯納付義務とは

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相続税の納税義務者となる第一の条件は、「相続や遺贈(死因贈与を含む)で財産を取得した人」というものです。つまり、被相続人の死亡にともない財産を取得した人は、法定相続人でなくとも相続税の納税義務者になり得ます。

さらに、相続や遺贈のタイミングで財産をもらっていなくても、被相続人(亡くなった人)から生前に贈与を受け、相続時精算課税制度を使って贈与税申告をしていた人も、相続税の納税義務者となります。

ここで気をつけておきたいのが、「みなし相続財産」の存在です。実際には相続や遺贈で取得したわけではなくとも、相続税の対象となるタイプの財産がみなし相続財産です。

みなし相続財産の代表的なものが、死亡退職金と生命保険金です。これらは被相続人の死亡後に相続人等に支払われるものであり、相続開始時点では財産として確定していません。しかし、こうしたみなし相続財産も、納税義務の判定に影響するのです。

教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与を受け、非課税制度の適用を受けていた場合も、みなし相続財産が発生する可能性があります。これらの特例は、教育など特定の目的のために生前贈与があった場合に使えるものです。したがって、相続開始時点で利用しきれなかった金額(管理残額)があると、みなし相続財産として扱われます。

それでは、法人の場合はどうなるのでしょうか? たとえば遺言で「自社に財産を残したい」と指定されたケースが考えられます。この場合、通常は相続税ではなく法人税の対象になります。しかし、相続を受けた法人が、人格のない社団、または持分の定めのない法人などであれば、例外的に相続税の納税義務者となります。

相続税の納税義務を考えるときに必ず確認しておきたいのが「住所」です。相続や遺贈で財産を取得したときの住所の状況によって、課税される財産の範囲が変わるからです。相続人だけではなく、被相続人の住所も納税義務者の判定に影響します。

被相続人の住所も納税義務者の判定に関係します
被相続人の住所も納税義務者の判定に関係します

表のとおり、原則は国内・国外を問わずすべての財産が相続税の課税対象になります。しかし、被相続人と相続人の双方が相続開始前10年を超えて日本国内に住所がないなど、一定のケースでは例外的に日本国内の財産にしか課税されません。

国内・国外のすべての財産に課税される納税者を「無制限納税義務者」、国内財産にのみ課税される納税者を「制限納税義務者」と呼びますが、制限納税義務者に該当する場合は、相続財産を国内財産と国外財産にしっかり分ける必要があります。

相続税の納税義務を判定するには、過去の生前贈与の状況を見直す必要があります。もし被相続人から生前贈与を受けた人がいたら、ここから説明するルールをしっかりと確認してください。

繰り返しの説明になりますが、まず、相続時精算課税制度の適用を受ける財産を取得した場合、相続税の納税義務が生じます。たとえば過去に被相続人から1000万円の生前贈与を受け、相続時精算課税制度が適用されていたのであれば、被相続人の死亡時にその1000万円を加算して相続税の計算をすることになります。

さらに、贈与税の申告方式には、相続時精算課税制度のほかに、暦年課税制度というものがあり、暦年課税制度を選択した場合にも注意が必要です。暦年課税制度の場合、基本的に相続税における納税義務の判定には影響しないのですが、「相続前3年以内の贈与」があると、話が変わります。

「相続や遺贈で財産を取得した人」が、相続開始以前3年間に生前贈与を受けていたとします。この場合、その3年間に行われた贈与については、相続時精算課税制度を適用していなかったとしても相続税の課税価格に加算しなくてはなりません。

ただし、そもそも相続や遺贈により財産をもらっていないのであれば、過去3年以内に生前贈与があっても相続税の申告義務はありません。ここは相続時精算課税制度を使っていた場合の取り扱いとは異なっています。

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ここまで相続税の納税義務者の仕組みについて紹介し、法定相続人でなくとも相続税の納税義務者になるケースが多いことを説明してきました。

そうしたことを理解したところで、「何が何でも相続税の申告納税が必要」と思うかもしれません。しかし、実際はそうではありません。なぜなら、納税義務者であることと、相続税の申告納税が必要であることは、必ずしもイコールではないからです。

まず、申告義務者であるにもかかわらず、申告も納税も不要となるケースを説明しましょう。相続税の申告が必要となるのは、「課税価格の合計額」(正味の遺産額)が、基礎控除額を超える場合です。つまり、正味の遺産額が基礎控除額以内に収まれば、相続税の申告や納税は必要ないということです。

一方、正味の遺産総額が基礎控除額を超えた場合、相続税の申告が必要です。この場合も、相続税の申告は必要となりますが、「相続税ゼロ」となるケースは少なくありません。相続税には、小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除といった税額を下げる仕組みがありますので、これらを活用することで、税額が下がったり、ゼロになったりすることがあります。

最後に、レアケースですが、連帯納付義務について説明します。相続税の納税義務者は、基本的には被相続人から相続や遺贈で財産を取得した人です。納付すべき相続税の金額は、自身が取得した財産等に応じて算定されます。

ところが、相続税法第34条に規定されている連帯納付義務の制度により、同じ被相続人から相続した人同士は、連帯して相続税の納付義務を負うことになっています。したがって、同じ被相続人から財産を取得した人の誰かが相続税の納税をしない場合、自身にその納税義務が課される可能性があるということです。

相続税の申告漏れや納税漏れを防ぐには、まずは自身の納税義務を確認する必要があります。さらに、連帯納付義務を負うような事態にならないよう、関係者で話し合いを行うことが大切です。相続税に関して不安があれば、早めに税務署や税理士に相談するようにしましょう。

(記事は2021年5月1日時点の情報に基づいています)

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