相続税の債務控除を解説 対象にならないものは?
相続税を計算する際には相続財産を元に計算します。ただし、被相続人が亡くなった際に、借入金などの債務がある場合には、この相続財産から控除して相続税を安くできます。しかし、どういった債務が控除できるのか、どういった人が活用できるのか、分かりにくいのも事実。そこで、この記事では、債務控除の基本について紹介します。
相続税を計算する際には相続財産を元に計算します。ただし、被相続人が亡くなった際に、借入金などの債務がある場合には、この相続財産から控除して相続税を安くできます。しかし、どういった債務が控除できるのか、どういった人が活用できるのか、分かりにくいのも事実。そこで、この記事では、債務控除の基本について紹介します。
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債務とは、ある人へお金を支払ったり、物品を渡したりしなければならない義務のことをいいます。借金などは、まさしく債務の代表といえるでしょう。そして相続税の債務控除とは、相続により取得した財産から借金などの債務の額を差し引き、その残額に対して相続税が課されるという制度です。
相続財産には、土地や住宅、預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金といったマイナスの財産も含まれます。マイナスの財産は、被相続人がなくなったとしても帳消しになるわけではなく、相続人が支払わなければなりません。そのため相続税の債務控除は、いわば相続人の支払義務が多大な負担にならないようにするための措置といえます。
次に、どのような場合に債務控除の対象となるのか見ていきましょう。ポイントは以下3点です。
上記のポイントに合致するものは、債務控除として認められます。住宅ローン(借入金)、医療費未払い分、水道光熱費(公共料金)、税金の未納分、葬式費用などがあげられ、連帯債務なども支払うことが確実なので対象となります。
債務が確定しているとはいえ、香典返戻金、法事・法要(初七日)の費用、相続登記費用などは、債務控除の対象となりません。また、保証債務についても「主債務者が支払わない場合に限り債務が確定する」ため、未確定債務となり対象から外れることとなります。
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相続の相談が出来る税理士を探す債務控除が利用できるのは、相続人と包括受遺者(相続財産の全部または一部の遺贈を受けた者で、財産に対する一定の割合を取得する者)です。これらに該当する人は、プラス財産とともに、債務であるマイナス財産も相続することになります。そのため、債務控除の利用対象者となります。
以下に該当する人は、債務控除を利用できません。
特定受遺者とは、被相続人が遺言により遺贈する財産をあらかじめ決めており、それ以外の財産は受けとらない人を指します。もともとマイナス財産は相続しないため、債務控除は利用できません。また、相続放棄してすべての財産を相続しない人や、海外に住んでいるなど制限納税義務者に該当する人も債務控除を利用できません。
ただし、相続放棄をした人は葬式費用についてのみ、債務控除が受けられます。また、制限納税義務者は国内財産にかかる債務については、債務控除を受けることができます。
債務控除を受けるためには、相続税申告書の第13表「債務及び葬式費用の明細書」に債務控除の対象となる債務と、葬式に掛かった費用を記載することになります。
相続人のうち誰がいくら負担したのかなど、種類や細目について領収書やメモ書きをとっておき、これをもとに記入していくと進めやすいと思います。
債務控除は、対象となる債務の範囲やどのような人が利用できるのかが、分かりにくいと言われることが多い制度です。そのため、あらかじめ税理士などの専門家へ相談し、対象となるかどうか、利用できるかどうか確認しておくと安心です。
(記事は2020年5月1日現在の情報に基づきます)