親からの支援で住宅が購入できる「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」とは

住宅取得等資金の贈与税の非課税措置とは、親や祖父母といった直系尊属から住宅の購入や増改築のためのお金を受け取っても、一定額まで贈与税がかからない制度です。贈与を受ける年の1月1日時点で、20歳以上の受贈者が対象になります。

「相続会議」の税理士検索サービス

住宅の相続対策に詳しい税理士を探す

北海道・東北

関東

甲信越・北陸

東海

関西

中国・四国

九州・沖縄

非課税額の上限は最大1500万円

今年の4月から12月までの間に新築・購入・増改築の契約をした場合の、贈与税の非課税額は次の通りです。

住宅取得等資金の贈与税の非課税額
住宅取得等資金の贈与税の非課税額

所得1000万円以下の人が40㎡以上の家を買う時も対象に

この非課税制度は従来、次の2つの点を満たしている時だけ活用できました。

  • 贈与を受ける年の合計所得金額が2000万円以下
  • 対象となる家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下

しかし、令和3年度税制改正により、現在、合計所得金額1000万円以下の人が床面積40㎡以上の家を買う時も使えるようになりました。

実際の非課税枠はもっと大きい

この制度を利用する時の非課税枠は、実際はさらに増えます。贈与税そのものにも「基礎控除」という非課税制度があるからです。なお、贈与税には「暦年課税制度」「相続時精算課税制度」の2つの制度があります。

住宅取得等資金の非課税枠1500万円を使う時は、実際の非課税額は次のようになります。

  • 暦年課税制度…基礎控除額110万円+非課税枠1500万円=1650万円まで非課税
  • 相続時精算課税制度…基礎控除額2500万円+非課税枠1500万円=4000万円まで非課税

非課税措置を使った資金は相続税の課税対象外

「生前贈与したら相続税はかからない」と思う人が多いのですが、生前贈与をしても相続税の対象となることがあります。次のようなケースです。

  1. 死亡日以前の3年以内に通常の贈与(暦年課税制度)で贈与した時
  2. 相続時精算課税制度の適用を受けて贈与した時

ただし、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置と併用したものに関しては、相続税の対象とはなりません。

親の死亡日の2年前に住宅取得等資金の非課税措置と暦年課税制度で、合計1600万円の購入資金を親から受け取っても、相続財産に持ち戻さなくていいわけです。また、相続時精算課税制度と併用すると、4000万円を受け取っても、この4000万円は相続財産に持ち戻さなくてもよいこととなります。

親からの支援で住宅購入すると相続で困る

親からの支援で住宅を購入すると様々なメリットがあります。しかし一方、親が亡くなり、相続が始まったら次の点で困るかもしれません。

困る点1:小規模宅地等の特例が使えない

相続財産の中には大抵、親の住んでいた家があります。敷地の評価額は高額になりがちですが、小規模宅地等の特例を使うと330㎡まで80%減額できます。評価額が300㎡で1000万円だったとしても、200万円に抑えられるのです。

ただし、いくつか条件があります。その一つが「自宅を引き継ぐ人の条件」です。親と別居の子が自宅を相続し、この特例で評価額を抑えたいのなら、次の条件を満たさなくてはなりません。

  1. 被相続人に配偶者や同居の親族がいないこと
  2. 相続開始時までに、持ち家に住んだことがないこと
  3. 相続開始以前3年以内に自分自身や配偶者、親や兄弟姉妹などの3親等内の親族、同族会社などが保有する家に住んだことがないこと
  4. 相続した家を相続開始時から相続税の申告期限まで所有していること

親からの支援で住宅を購入すると、たいていは「2」に引っかかります。結果、小規模宅地等の特例が使えなくなってしまうのです。

困る点2:不動産取得税・登録免許税がかかる

住宅を取得した時、不動産取得税や登録免許税がかかります。ただし、相続で取得した時は軽減されるのです。
まず不動産取得税です。新築、購入で住宅用の不動産を取得すると、「固定資産税評価額×3%」の税金がかかります。しかし、親の家を相続すれば非課税です。

次に登録免許税です。住宅を購入すると次の税金がかかります。
土地…固定資産税評価額×1.5%
建物…新築だと「固定資産税評価額×0.15%」、購入だと「固定資産税評価額×0.3%」

一方、相続だと土地・建物ともに「固定資産税評価額×0.4%」です。建物の税率は自分で購入した方が安いのですが、土地は相続した方が節税になります。

困る点3:遺産分割で揉めることも

兄弟姉妹など他に相続人候補がいるなら、親からの支援が将来の相続争いを招くおそれがあります。特定の相続人がもらい過ぎた結果、他の相続人の取り分がなくなることがあるからです。

取り分のなくなった配偶者や子は、最低限の相続分として「遺留分」を主張できます。遺留分の対象は相続財産だけではありません。次のような生前贈与も含まれます。

  • 相続開始前1年以内の贈与
  • 相続開始前1年より前の贈与であっても、遺留分を侵害することを双方承知の上で行われた贈与
  • 結婚や住宅購入のための資金であり、特別受益にあたるもの

取り分のない相続人から遺留分を主張されたら、金銭で支払わなくてはなりません。親からの支援を受けたばかりに、相続後に出費しなくてはならなくなるわけです。支援を受けるなら、他の親族とのバランスを考慮しなくてはなりません。

困る点4:相続時精算課税制度との併用に注意

住宅取得等資金の贈与税の非課税措置と相続時精算課税制度と併用するなら、次の点に注意しなくてはなりません。

  • 相続時精算課税制度を使った間柄の贈与は、二度と暦年課税制度を使えない
  • 110万円以下の贈与でも贈与税の申告が必要
  • 非課税枠2500万円を超えると一律20%で贈与税がかかる

親の支援を受けるか相続するか…困ったら税理士に相談を

「親の家の相続」は否定的にとらえられがちですが、メリットもあります。先ほどお伝えした小規模宅地等の特例で評価額を減らせるほか、相続して売却したときの譲渡所得課税は「空き家の3000万円控除」や「取得費加算の特例」で抑えられることがあるのです。
「親の支援で住宅購入」も「親の家を相続」も、それぞれメリット・デメリットがあります。また、両方を上手に活用することも可能です。「自分はどうしたらいいのか」で悩んだら、税理士に相談するとよいでしょう。

(記事は2021年4月1日時点の情報に基づいています)