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2.改正信託法のポイント

 信託法という法律は、戦前、それも大正時代にできた法律です。この歴史は古いが一般市民には馴染みの薄かった信託法が、85年の年月を経て大改正されました。改正前の信託は、金融商品としての性質を持つもの、つまり信託銀行等が取り扱う資産運用としての活用が主流でしたが、改正後は金融商品ではなく一般の人も使える財産管理の手法として利用しやすくなりました。

 改正信託法のポイントは、大きく3つあります。

 1つ目は、私的自治の尊重による硬直的規定の合理化、分かりやすくいうと「当事者が自由に定めたことは極力尊重し、法はそれを過度に規制しない」ということです。たとえば、受託者の忠実義務に関する規定の拡充・整備とともに、信託当事者の合意等があれば利益相反行為も可能とする任意規定が整備されました。言うなれば、「改正信託法はアウトラインを定めるにとどまり、法の趣旨に反しない限り、また利害関係人等に不利益が生じない限り、信託当事者(委託者・受託者・受益者など)の意向に沿って自由に設計できる」制度になりました。

 2つ目は、「受益者のための財産管理」の実効性を強化している点です。商事信託・民事信託を問わず、受益者の権利を確保するための規定が整備・新設されました。たとえば、高齢者や障害者のための財産管理や生活支援を目的とした、いわゆる「福祉型信託」の利用に際し、受託者を監視・監督する「信託監督人」や、自ら権利行使できない受益者に代わって権利を行使できる「受益者代理人」の制度の新設は、家族信託の組成実務でも重要なポイントとなっています。

 3つ目は、様々なニーズに応えられるように、新たな信託の仕組みが設けられたことです。その代表的なものが「自己信託」です。自己信託もまさに商事信託の考え方だけでは生まれない発想です。

 それ以外には、旧法にはなかった「信託の併合・分割」の制度の新設があげられます。信託の併合・分割に関する手続きを明確・簡易化し、債権者の保護など利害関係者の適切な利害調整・トラブル防止を図っています。改正信託法の目玉の一つである「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」(信託法91条)も、資産承継を巡る多様なニーズに対応すべく新設されました。

次回の記事では、委託者から信託財産を託される「受託者」が持つ権限や義務について解説します。

この記事は、「相続・認知症で困らない 家族信託まるわかり読本」(近代セールス社)から転載しました。