目次

  1. 1. 相続のワンストップサービスとは?
  2. 2. 相続のワンストップサービスを利用する4つのメリット
  3. 3. 相続のワンストップサービスのデメリットや注意点
  4. 4. 相続のワンストップサービスの主な窓口の種類
  5. 5. 失敗しない! 相続のワンストップサービスの選び方
  6. 6. 相続のワンストップサービスの費用相場や内訳
  7. 7. 相続のワンストップサービスに関してよくある質問
  8. 8. まとめ 相続に関しては、信頼できる連携体制と丁寧な対話がある窓口を選ぶ方法も

「相続会議」の司法書士検索サービスで

相続のワンストップサービスとは、一つの事務所が窓口となって、必要に応じてほかの専門家と連携しながら、複雑な相続手続きの大部分を一括して代行する仕組みです。

たとえば、司法書士事務所にワンストップサービスを依頼した場合には、不動産の名義変更(相続登記)はもちろん、戸籍謄本の収集や財産調査、遺産分割協議書の作成、預貯金の解約払戻し、有価証券の名義変更などについても司法書士が行います。

相続税申告など司法書士が行えない業務については、提携している税理士などの各専門家が担当します。依頼者は各専門家を個別に探す必要がなく、窓口となる司法書士とのやりとりだけですべての手続きを進めることができます。

司法書士や税理士などの士業事務所だけでなく、金融機関や葬儀会社でも、「相続手続き丸ごと代行」「相続おまかせパック」「遺産整理業務」「遺産承継業務」などさまざまなネーミングで同様のワンストップサービスを提供しています。

相続のワンストップサービスのイメージ。士業同士が連携して複雑な相続手続きの大部分を一括して代行してくれる
相続のワンストップサービスのイメージ。士業同士が連携して複雑な相続手続きの大部分を一括して代行してくれる

相続手続きは人生において何度も経験するものではありません。不慣れな手続きをほかの相続人と協力しながら不備なく進めることはきわめて困難です。ワンストップサービスには、相続手続きにおいて生じやすい不安や問題を解消する4つの大きなメリットがあります。

  • 労力やストレスが大幅に軽減される
  • 手続きごとに専門家を探す必要がない
  • 手続きのミスや抜け漏れを防げる
  • 中立な第三者が手続きを行うことで相続人同士のトラブルも予防できる

2-1. 労力やストレスが大幅に軽減される

死亡届をはじめ、年金手続き、財産調査、遺産分割協議書の作成、名義変更、相続税申告など、これらの手続きすべてを個人で行うには、相応の労力と知識が必要です。

また、手続きを行う役所や金融機関の窓口は平日の日中しか対応していないことが多く、仕事をしている場合は休暇を取らざるを得ません。ワンストップサービスなら、手続きのほとんどを一括して依頼できるため、本来の生活や仕事への支障を最小限に抑えられ、精神的な負担も大幅に軽減されます。

2-2. 手続きごとに専門家を探す必要がない

一口に相続手続きと言っても、その手続きの種類によって専門家が異なります。

  • 司法書士:不動産の名義変更(相続登記)や会社役員の変更登記
  • 税理士 :相続税の申告や準確定申告
  • 弁護士 :遺産分割調停や相続人同士での紛争解決
  • 行政書士:自動車の名義変更や各種許認可の承継手続き
  • 社会保険労務士:未支給年金の請求や遺族年金の手続き

しかし、普段の生活のなかでは「どこまでが誰の担当か」がわかりにくいものです。ワンストップサービスであれば、最初に窓口となる専門家に依頼するだけで、必要に応じてほかの専門家を手配してくれます。専門家を探し回る時間と手間を省略できるのは大きな魅力です。

2-3. 手続きのミスや抜け漏れを防げる

相続手続きには、必要書類や期限について厳格なルールがあります。預貯金の解約払戻しでは、戸籍謄本が1通足りないだけでも手続きに応じてくれません。

相続税の申告には「被相続人(亡くなった人)が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」という期限があります。これを過ぎてしまうと延滞税が発生するほか、税務上の特例を受けられないなどのデメリットが生じます。

慣れない状態で行うと、書類の不備で何度も役所へ通う羽目になったり、申告漏れで追徴課税を受けたりするリスクがあります。専門家に任せることで、正確な手続きが担保され、抜け漏れのないスムーズな相続が実現します。

2-4. 中立な第三者が手続きを行うことで相続人同士のトラブルも予防できる

相続人が複数いる場合、全員が等しく手続きに関与することは現実的に難しく、特定の誰か一人に負担が集中しがちです。たとえ善意で手続きを先導していても、ほかの相続人から「勝手に進めている」「財産を隠しているのではないか」と疑われることがあります。

反対に、先導している相続人自身が「自分だけが苦労している」と不満を募らせるケースも少なくありません。

利害関係のない第三者である専門家が間に入ることで、「誰が・どのように進めているか」が明確になり、手続きに透明性と公平性が生まれます。これにより、相続人同士の感情的な対立を防ぐ「クッション」の役割を果たしてくれます。

ワンストップサービスは非常に便利な一方、注意すべき点もあります。

3-1. 費用が割高に感じられる場合がある

ワンストップサービスは、単なる事務代行にとどまらず、相続全体のコンサルティングや財産管理、専門家間の調整といった付加価値が含まれるため、個別の手続きを依頼するよりも総額が割高に感じられる場合があります。

自身で対応可能な手続きが多い場合は、金銭的な負担が大きく感じられることもあるでしょう。専門家に任せることで削減できる時間や労力、将来のトラブル回避という安心料としての側面を考慮し、バランスを検討することが大切です。

3-2. 連携する専門家を自分では選べない

ワンストップサービスでは、依頼者が連携先の専門家を自分で選べない、または選びづらい点もデメリットとなります。窓口となる事務所が提携している専門家が自動的に割り当てられるため、たとえば「相続税申告はこの税理士がいい」といった希望がある場合、対応できないことがあります。

無理に自分で選んだ専門家を加えようとすると、事務所間の連携がうまくいかず、かえって情報共有や進捗確認のための手間やストレスが増えることになります。専門家同士の連携フローが確立されているチームに任せるほうが、結果としてスムーズに手続きが進みます。

3-3. 相続人同士で争いがあると利用できない

司法書士や税理士、金融機関などが窓口となる相続のワンストップサービスは、原則として相続人全員から依頼を受けることを前提としています。特に弁護士以外の専門家は特定の相続人の代理人としてほかの相続人と交渉を行うことが法律で禁止されており、中立性を保つ必要があるためです。そのため、すでに相続人同士に争いがある場合や、サービスの利用自体に反対する相続人がいる場合には、依頼しても断られる可能性が高い点に注意が必要です。

ワンストップサービスを依頼する場合、窓口となる事務所によって強みや取扱業務の範囲が異なります。

4-1. 司法書士事務所

司法書士は不動産の名義変更(相続登記)の専門家ですが、近年では相続手続き全般をワンストップでサポートする事務所も増えています。相続財産に不動産が含まれる場合には、登記を含めた一連の手続きを、専門性を保ちながら比較的安価な費用で依頼できる点が大きな特色です。

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4-2. 弁護士事務所

遺産分割の交渉や調停など、すでに相続人同士でもめごとになっているケースに対応できるのは弁護士のみです。相続手続きを進める前提で、相続人同士でのもめごとが予想される場合には弁護士事務所を窓口として選ぶほうが安心です。

4-3. 税理士事務所

相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告が必要です。相続税には「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」という厳格な申告と納税の期限があるため、この期限から逆算して計画的に手続きを進める必要があります。税理士を窓口とすれば、申告業務を軸に相続手続きを進めることができるため、申告の遅延や漏れなどを防ぎながら、スムーズに完結できる点が大きなメリットです。

4-4. 行政書士事務所

不動産の名義変更や相続税申告が不要で、戸籍謄本などの収集や遺産分割協議書などの書類作成が中心となる場合には行政書士に依頼するのも選択肢の一つです。不動産の名義変更が必要であれば司法書士へ、相続税申告が必要であれば税理士へと連携して手続きを進めてくれます。特に被相続人が生前、飲食店や食品製造、お酒の販売など許認可が必要な個人事業を行っていた場合におすすめです。許認可についての相続手続きは行政書士の専門分野となるため、スムーズな引き継ぎが期待できます。

4-5. 金融機関

信託銀行や都市銀行はもちろん、地方銀行や証券会社も相続のワンストップサービスを提供しています。金融機関としての安心感の高さや、身近なところに支店窓口があるというメリットは大きいでしょう。一方、費用は士業事務所に比べると高額になる傾向があります。また、不動産の名義変更や相続税申告は、金融機関が提携している司法書士や税理士が行うため、それらの専門家への報酬が別途必要になる点にも注意が必要です。

相続の専門家の種類とできること、できないこと 一覧表つきで解説

相続という大きな手続きを一括して任せるわけですから、単に「事務所が近所にある」とか「費用が安い」という理由だけで選ぶのは禁物です。大切な財産や家族の将来に関わる選択であるため、次の4つのポイントを確認しながら慎重に選びましょう。

  • 相続手続きの実績を確認する
  • 連携している専門家を確認する
  • 総額の費用を確認する
  • 窓口担当者との相性を確認する

5-1. 相続手続きの実績を確認する

相続のワンストップサービスを提供していても、その事務所が相続を専門的に取り扱っているとは限りません。相続業務の年間実績や、経験豊富なスタッフが在籍しているかなど、事務所の公式ホームページや実績公開ページで確認しましょう。また、相続手続きは事務作業が多岐にわたるため、小規模すぎる事務所だと進捗が遅れる可能性もあります。規模感と実績のバランスを見極めるのが第一歩です。

5-2. 連携している専門家を確認する

依頼先が、どの専門家と、どのような体制で連携しているかも重要です。特に相続税の申告がある場合は、税理士との連携が必須となります。また、相続人同士の紛争解決や不動産の売却が必要な場合、弁護士や不動産業者といったそれぞれのプロとの連携フローが確立されているかを必ず確認することが重要です。

5-3. 総額の費用を確認する

費用面では、依頼する前に必ず見積りを提示してもらい、その見積りが「どこまでの作業を含むのか」を明確にしましょう。基本報酬に加え、不動産の名義変更に生じる登録免許税といった実費、連携する専門家への報酬などが発生し、最終的な総額が思っていた以上に高くなるケースがあります。「総額でいくらかかるのか」を明示してもらい、追加費用が発生する条件も事前に聞いておくことがトラブル回避のポイントです。

5-4. 窓口担当者との相性を確認する

窓口担当者との相性のよさも重視しましょう。相続手続きは数カ月から一年単位の付き合いになることも珍しくありません。説明が論理的でわかりやすいか、こちらの不安や事情に親身になって耳を傾けてくれるか、人間として信頼できるかなどを確認しましょう。多くの事務所が行っている無料相談を活用し、実際に担当者と話をして「この人になら任せられる」と納得できるかを確かめることが、心の負担を減らす一番の近道です。

相続のワンストップサービスは、事務所ごとに独自の料金体系や報酬規定を定めているため、依頼先によって大きく変わってきます。

「相続財産の総額の◯%」とか「遺産の総額が5000万円以下の場合には◯◯万円」というように、相続財産の価格に比例する形が多いです。また、相続財産の価格に応じた基本報酬に、相続人の人数や事務手続きの種類や数によって加算報酬が発生する場合もあります。

参考として、当事務所の報酬規定と、不動産や預貯金を含む一般的なケースでの費用内訳を以下に紹介します。

【司法書士法人リーガル・フェイス「相続手続きおまかせプラン」報酬規定】
※令和8年8月現在

【モデル事例】
・相続人の人数:4名
・相続財産[不動産]:東京都内の一戸建て(評価額5000万円)
・相続財産[金融資産]:預貯金(計3000万円/A~D銀行)、有価証券(1000万円/E証券会社)

【費用と内訳】
・基本報酬:82万5000円
・加算報酬:12万1000円(相続人や金融機関の数による加算の合計)
・実費:約25万円(登録免許税、戸籍謄本取得費用、通信費など)
・合計:約120万円

この事例では、相続税申告も必要になるため、上記の金額に税理士の申告報酬が加算されます。報酬額は事務所によって異なりますが、おおむね100万円前後を見込んでおくとよいでしょう。

Q. 司法書士であれば、すべての相続手続きをワンストップでお願いできる?

相続人同士に争いがなく、相続税の申告も不要なケースであれば、すべての手続きを司法書士だけで完結できる可能性が高いです。主な相続財産が不動産と預貯金である場合には、まずは司法書士に相談してみるのがよいでしょう。

Q. 無料相談の際、どの士業と連携しているか聞いても大丈夫?

もちろん構いません。むしろきちんと確認すべきです。その事務所にはどのような専門家が所属していて、ほかの専門家とはどのような形で連携しているかを聞くことで、自身の相続手続きに最適な事務所なのかを判断することができます。

相続のワンストップサービスは、複雑な事務作業を代行するだけでなく、大切な財産を守り、円満な未来へとつなぐための心強いパートナーです。

専門家チームが一丸となってサポートすることで、慣れない手続きによる心身の疲弊を防ぎ、相続人同士の不要な誤解やトラブルを未然に回避することができます。大切なのは、単なる「安さ」や「利便性」だけでなく、信頼できる連携体制と丁寧な対話がある窓口を選ぶことです。

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(記事は2026年10月1日時点の情報に基づいています)

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