目次

  1. 1. e-Taxとは|相続税申告にも使える国税庁の電子申告システム
  2. 2. e-Taxで相続税申告するメリットと向いている人
  3. 3. e-Taxで相続税申告を進めにくい・税理士に依頼すべき人
    1. 3-1. 財産の評価・計算が複雑な人
    2. 3-2. 税額が大きく変わる特例を使う人
    3. 3-3. トラブル・調査リスクを下げたい人
  4. 4. e-Taxで相続税申告するのに必要な事前準備
    1. 4-1. マイナンバーカードとICカードリーダーを用意する
    2. 4-2. パソコン環境を確認し、事前準備セットアップを完了させる
    3. 4-3. e-Taxソフト(Web版/ダウンロード版)を選んで準備する
    4. 4-4. 利用者識別番号を取得し、ログインできる状態にする
    5. 4-5. e-Taxで提出できる書類・できない書類
  5. 5. e-Taxで相続税申告書を作成する手順
    1. 5-1. 相続税申告書作成コーナーに入る
    2. 5-2. 相続人情報・法定相続情報を入力する
    3. 5-3. 財産ごとに入力していく
    4. 5-4. 特例や控除を入力する
    5. 5-5. 税額の自動計算と確認のポイント
    6. 5-6. 添付書類をアップロードする
    7. 5-7. 申告書を送信する
  6. 6. e-Taxで相続税申告書送信後に必要な手続き
    1. 6-1. 受信通知を確認する
    2. 6-2. 相続税を納付する
    3. 6-3. 追加資料を求められた場合の対応
  7. 7. e-Taxでよくあるエラーと対処法
    1. 7-1. カードリーダー・マイナンバーカードが認識しない
    2. 7-2. 添付ファイルの容量エラー
    3. 7-3. ログインできない
    4. 7-4.入力内容の不整合によるエラー
  8. 8. e-Taxで相続税を申告するのに関連してよくある質問
  9. 9. まとめ e-TaxはPCに慣れていて、相続税の計算に抵抗がない人向け

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相続税の申告方法には、「税務署の窓口へ書類を持参する方法」「税務署へ郵送する方法」「e-Taxを利用した電子申告」の3つがあります。このうちe-Taxとは、国税庁が提供する公式の電子申告・納税システムで、自宅のパソコンから各種税務手続きを行えるサービスです。

所得税の確定申告で広く知られていますが、相続税の申告にも対応しています。e-Taxには、ブラウザ上で利用できるWeb版と、パソコンにインストールして使うソフト(ダウンロード版)があり、作業量の多い相続税申告では、入力や管理がしやすいダウンロード版が一般的に利用されています

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e-Taxを利用した相続税申告の最大のメリットは、税務署へ出向くことなく、自宅から申告手続きを完結できる点です。e-Taxは24時間利用できるため、平日に時間が取れない人でも、自分の都合に合わせて申告を進められます。

申告書や添付書類を紙で提出する必要がなく、控えもデータとして保存できるため、管理がしやすい点も特徴です。さらに、ダイレクト納付やクレジットカード納付など、納税までオンラインで完結できる点も利便性といえるでしょう。

相続税の申告先は、亡くなった人(被相続人)の最後の住所地を管轄する税務署です。そのため、被相続人が遠方に住んでいた場合、郵送や窓口提出には手間がかかりますが、e-Taxであれば移動の負担なく申告できます。

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相続税の申告は、すべての人がe-Taxで行うべきものではありません。そもそも遺産総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人)以下であれば、原則として相続税の申告自体が不要です。ただし、小規模宅地等の特例など「申告しなければ使えない制度」もあるため、申告の要否や方法は慎重に判断する必要があります

不動産が複数ある場合や、土地の形状がいびつで評価が難しい場合、また資料の収集に手間がかかるケースでは、自力での申告は負担が大きくなります。上場株式や投資信託が多い場合も計算が煩雑です。特に非上場株式は評価方法次第で税額が大きく変わるため、税理士への相談が望ましいでしょう。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、相続税を大きく減らせる一方、適用要件が細かく、入力ミスや判断誤りがあると特例が使えないリスクがあります。e-Taxでも申告は可能ですが、要件確認や計算に不安がある場合は、税理士に依頼した方が安全といえます。

相続人同士で意見が対立している場合や、遺産分割がまとまっていない場合は、申告内容を巡るトラブルが起きやすくなります。また、計算ミスや税務調査への不安がある人、申告期限まで時間がない人も注意が必要です。こうしたケースでは、税理士に任せることで精神的・実務的な負担を軽減できます。

e-Taxで相続税申告を行うには、事前準備が欠かせません。準備不足のまま進めると、ログインできない、送信できないなどのトラブルが起きやすくなります。申告をスムーズに進めるためにも、必要な環境や手続きを事前に整えておきましょう。

e-Taxで相続税申告を行うには、本人確認のためマイナンバーカードが必要です。カードを読み取るためのICカードリーダーも用意しなければなりません。カードには署名用電子証明書と暗証番号が設定されていますが、暗証番号を忘れると手続きが進められず、再設定に時間がかかる点に注意しましょう。

e-Taxは対応するOSやブラウザが限られているため、事前に利用環境を確認する必要があります。Windowsは対応範囲が広く、設定も比較的安定しています。一方、Macでも利用は可能ですが、対応ブラウザや周辺機器に制限があり、設定に手間取るケースが少なくありません。事前の動作確認が大切です。

e-Taxには、ブラウザで利用するWeb版と、パソコンにインストールして使うダウンロード版があります。相続税申告は入力項目や添付書類が多いため、作業量の多い場合はダウンロード版が適しています。Web版は操作が簡単な反面、軽作業向きで、相続税申告には不向きな場合があります。

e-Taxを利用するには、事前に「利用者識別番号」を取得しておく必要があります。利用者識別番号は、e-Taxの開始届出をオンラインで行うことで取得でき、マイナンバーカード方式やID・パスワード方式を利用して登録します。

相続税申告では、相続人本人が利用者識別番号を取得するケースと、税理士などの代理人が取得・管理するケースがあるため、誰の名義で取得するのかをあらかじめ確認しておくことが重要です。

また、初回登録時に設定するパスワードや暗証番号を失念するとログインできなくなり、再設定に時間がかかることがあります。登録後は、実際にe-Taxへログインできるかを事前に確認し、IDやパスワードは確実に管理しておきましょう。

e-Taxでは、相続税申告書や一部の添付書類をPDFやXMLなどのデータで提出できます。ただし、ファイル形式や容量には制限があり、画像ファイル(PDF形式)は、1送信当たりPDFファイル合計で14MBが上限です(追加送信方式を併用すると最大154MB)。容量超過によるエラーも多いため、圧縮や分割で対応しましょう。一方、戸籍謄本など紙での提出が求められる書類もあるため、事前に確認が必要です。

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e-Taxでの相続税申告は、画面の案内に沿って入力していけば進められますが、入力順や確認ポイントを理解していないとミスにつながりやすいのが実情です。ここでは、申告書作成から送信までの基本的な流れを整理します。

国税庁のe-Taxサイトから「相続税申告書作成コーナー」にアクセスします。利用者識別番号でログイン後、相続税申告を選択すると作成画面に進めます。年度の選択や新規作成の有無を誤ると入力内容が保存されないため、最初の画面操作は慎重に行いましょう。

被相続人の情報に続いて、相続人全員の氏名・続柄・生年月日などを入力します。ここで入力した人数や続柄は、基礎控除や税額計算の前提となるため、戸籍を確認しながら正確に入力することが大切です。入力ミスがあると後続の計算でエラーが発生します。

相続税申告では、相続財産をまとめて入力するのではなく、財産の種類ごとに1件ずつ入力していきます。e-Taxでは、申告書第11表(相続税がかかる財産の明細書)を編集し、各財産について「どの種類の財産か」を指定する作業が必要です。

「帳票編集」画面で入力行を選び、「種類」「細目」「利用区分・銘柄等」をクリックすると選択画面が表示されます。ここで、預貯金・土地・建物・株式など、該当する財産の分類を選択します。この操作は金額を入力する前段階であり、e-Taxに財産の内容を正しく認識させるために欠かせません。

分類を選択すると、次に評価額や金額を入力できるようになります。分類を誤ると入力項目が合わなかったり、エラーが出たりするため、資料を確認しながら慎重に進めましょう。財産ごとに「分類の選択→金額入力」を繰り返すのが基本です。

e-Taxでは、相続財産を入力しただけでは、特例や控除は自動で適用されません。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例、未成年者控除などは、申告書作成コーナー内の「特例・控除の入力」画面で、個別に選択・設定する必要があります

具体的には、「申告書の作成・編集」から税額計算に関する項目へ進み、適用したい特例や控除を選びます。そのうえで、対象となる相続人や土地、財産額などを入力すると、条件に応じて税額が反映されます

土地を入力しているだけでは小規模宅地等の特例は適用されないなど、入力漏れがあってもエラー表示されない点には注意が必要です

すべての入力が完了すると、e-Taxが相続税額を自動計算します。計算結果が想定と大きく異なる場合は、財産額や控除の入力ミスがないかを確認します。特に、相続人の人数や按分割合に誤りがあると、税額が大きく変わるため注意が必要です。

e-Taxで相続税申告を行う場合、申告書本体の入力が終わったあとに、必要な添付書類を電子データでアップロードします。紙の申告と異なり、書類を郵送するのではなく、e-Tax上でファイルを添付する点が特徴です。

添付書類は、申告書作成コーナー内の「申告書の作成・編集」→「添付書類の提出」というメニューからアップロードします。この画面で、戸籍謄本、残高証明書、遺産分割協議書の写しなどを、PDFの画像ファイルとして登録します。

画像ファイル(PDF形式)は、1送信当たりPDFファイル合計で14MBが上限です(追加送信方式を併用すると最大154MB)。容量オーバーでエラーが出た場合は、PDFを圧縮したり、複数ファイルに分けて対応します。なお、すべての書類が電子提出できるわけではなく、原本提出が必要な書類がある場合は、別途税務署の指示に従う必要があります

アップロード後は、添付漏れがないかを必ず確認し、申告書送信前に最終チェックを行いましょう。

すべての内容を確認したうえで申告書を送信します。送信後はメッセージボックスに受信通知が届くため、必ず確認してください。受信通知は申告が受理された証拠となるため、データを保存しておくことをおすすめします。

e-Taxで相続税申告書を送信しても、それだけで手続きがすべて完了するわけではありません。送信後には、申告が正しく受理されたかの確認や、相続税の納付、税務署からの連絡への対応などが必要になります。

e-Taxで相続税申告書を送信すると、国税庁のe-Taxシステム内にある「メッセージボックス」に受信通知が届きます。この受信通知は、紙で申告した場合の「申告書を税務署が受理した」ことに相当する重要な通知です。

送信しただけで安心せず、必ずメッセージボックスにログインして受信通知を確認しましょう。通知は控えとして保存しておくと、後日の確認にも役立ちます。

相続税は、申告書の提出とは別に、期限内に納付する必要があります。e-Taxを利用した場合でも、納付はPay-easy、クレジットカード納付、ダイレクト納付、金融機関や税務署窓口での納付など、複数の方法から選択できます。納付期限を過ぎると延滞税が発生するため、申告とあわせて納付方法と期限を必ず確認しておきましょう

e-Taxで申告した後、税務署から電話や書面で追加資料の提出や内容確認を求められることがあります。これは珍しいことではなく、必ずしも申告内容に問題があるわけではありません。指示された資料を期限内に提出し、必要に応じて説明を行えば問題ありません。落ち着いて対応することが大切です。

e-Taxで相続税申告を行う際は、操作ミスや環境設定が原因でエラーが発生することが少なくありません。多くは事前に原因を知っておけば回避できるため、代表的なエラーと対処法を把握しておきましょう。

e-Taxで最も多いトラブルが、カードリーダーやマイナンバーカードを正しく認識しないエラーです。原因の多くは、カードリーダーのドライバが未更新であることや、カードの差し込み向きの誤りです。

また、暗証番号を複数回間違えるとロックがかかり、利用できなくなる場合もあります。まずは機器の接続やドライバの更新状況を確認し、暗証番号が分からない場合は早めに再設定を行いましょう。

相続税申告では、戸籍謄本や残高証明書など複数の資料をPDFで添付するため、ファイル容量が上限を超えてエラーになることがあります。

e-Taxでは、1送信あたり14MBの容量制限が設けられています。容量が大きい場合は、PDFを圧縮したり、ページごとに分割して複数ファイルに分けることで、エラーを解消できるケースが多いです。

利用者識別番号やパスワードの入力ミスにより、e-Taxにログインできないケースは少なくありません。また、ブラウザの設定やセキュリティソフトが干渉し、正常にアクセスできないこともあります。

Cookieや拡張機能が影響している場合もあるため、推奨ブラウザを使用し、不要な拡張機能を一時的に無効にして再度ログインを試みましょう。

相続人の人数や財産の金額が、他の入力欄と一致していない場合、e-Taxの自動チェック機能によりエラーが表示されます。とくに、負債や控除の入力漏れ、財産の名義や金額の誤りが原因となることが多いです。

エラーが出た場合は、該当箇所だけでなく、関連する入力項目を一つずつ見直すことが重要です。

Q. 相続人が複数人いる場合は全員がe-Taxで申告する必要がある?

相続人が複数いる場合でも、全員がe-Taxで申告する必要はありません。ある相続人がe-Taxで申告し、他の相続人は紙で申告することも可能です。ただし、申告内容は相続人全員分を含めて正確に作成する必要があります。

Q. e-Taxで申告した一部に抜け漏れがあったのですが再送信できる?

e-Taxで申告後に記載漏れや入力ミスに気づいた場合は、内容に応じて「修正申告」または「更正の請求」を行います。単純な再送信はできないため、正しい手続き区分を選び、改めて申告書を作成・送信する必要があります

Q. 相続税の修正申告もe-Taxでできる?

相続税の修正申告は、e-Taxでも行うことが可能です。追加で税額が発生する場合は、修正申告書を作成して送信し、あわせて不足分の納税を行います。紙で提出した申告についても、修正のみe-Taxを利用できます。

Q. 相続人が未成年の場合でもe-taxが利用できる?

相続人が未成年の場合でも、e-Taxを利用した相続税申告は可能です。この場合、親権者などの法定代理人が代理で申告手続きを行います。代理人のマイナンバーカード等を用いて申告するため、事前に代理関係の確認書類を準備しておくことが重要です。

e-Taxを利用すれば、相続税申告を自宅から行うことができ、書類提出や納付までオンラインで完結します。一方で、事前準備や操作が複雑で、評価や特例の判断を誤ると税額に大きな影響が出る点には注意が必要です。

財産内容がシンプルでIT操作に慣れている人には有効な手段ですが、不動産や特例が絡む場合は税理士への依頼も検討すべきでしょう。自身の状況に合った申告方法を選ぶことが、相続税トラブルを防ぐ近道といえます。

(記事は2026年4月1日時点の情報に基づいています)

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