目次

  1. 1. 青色申告とは?
    1. 1-1. 青色申告の目的と対象者
    2. 1-2. 白色申告との違い
    3. 1-3. 青色申告の主なメリット
    4. 1-4. 「準確定申告(故人の申告)」でも使える
  2. 2. 相続で青色申告は引き継げる? 申請書が必要になる代表的なケース
    1. 2-1. 青色申告の承認は相続で引き継げない
    2. 2-2. 故人の個人事業を引き継ぐ場合
    3. 2-3. 賃貸不動産を相続して収益を続ける場合
    4. 2-4. 不動産を共同相続して「共有」のまま管理する場合
    5. 2-5. 申請が不要になるケース
  3. 3. 青色申告承認申請書の提出期限と注意点
    1. 3-1. 原則:開業日から2カ月以内
    2. 3-2. 相続した場合:死亡日により異なる
    3. 3-3. 期限を過ぎた場合の扱い(翌年からの適用になる理由)
  4. 4. 相続の青色申告承認申請書に関してよくある質問
  5. 5. まとめ 相続時は、相続人が青色申告をしなおす必要がある

「相続会議」の税理士検索サービス

まずは、青色申告に対する正しい認識を持ちましょう。

青色申告とは、正確な帳簿づくりを前提として、税負担を軽減するために設けられた申告制度です。一定の要件を満たした帳簿を備え付け、正しく申告することを条件に、税務上の優遇を受けられます

対象となるのは、個人事業主や不動産所得がある人など、確定申告(相続が発生した場合は準確定申告)を行う必要がある人です。事前に承認を受けていれば、所得状況に応じて青色申告を利用できます。

白色申告と比べると、青色申告は記帳義務が重く、日々の帳簿管理が求められます。一方で、その分だけ控除や特典が多く用意されている点が大きな違いです。白色申告は簡易的な記帳でも申告できますが、税制上の優遇は限定的です。

青色申告では、帳簿を備えて適切に申告することで、特別控除や損失繰越などの恩恵を受けられ、長期的には税負担を抑えやすくなります。

青色申告の最大のメリットは、青色申告特別控除や損失繰越といった税制上の優遇が受けられる点にあります。要件を満たせば、最大65万円の特別控除を受けることができ、課税所得を大きく減らせます。

また、事業で赤字が出た場合でも、その損失を翌年以降に繰り越して相殺できるため、収入が不安定な事業者にとっては大きな支えとなります。節税効果が高く、継続的な事業運営を後押しする制度です。

相続が発生すると、故人の確定申告は「準確定申告」として相続人が行うことになります。故人に事業所得や不動産所得があり、生前に青色申告をしていた場合でも、死亡した年分については相続人が青色申告として準確定申告を行います

この際、相続人全員の氏名を記載し、付表を添付する必要があります。準確定申告は通常より期限が早く、期限を過ぎると延滞税などのリスクが生じやすいため注意が必要です。

相続が発生すると、「故人が青色申告をしていたのだから、そのまま使えるのでは」と考えてしまいがちです。しかし実際には、相続の内容や引き継ぎ方によって、青色申告承認申請書が必要になるケースと不要なケースがあります。ここでは、相続後に特に判断を誤りやすい代表的な場面ごとに整理します。

青色申告の承認は、あくまで「その人個人」に対して与えられるものであり、相続によって自動的に引き継がれるものではありません。相続が発生すると、事業や不動産の名義は相続人に移りますが、故人が受けていた青色申告の承認はその時点で効力を失います

そのため、相続後も青色申告を継続したい場合には、相続人自身が改めて青色申告承認申請書を提出する必要があります。この点を知らずに申請を怠ると、白色申告扱いとなるおそれがあります。

故人の個人事業を相続して引き継ぐ場合、税務上は相続人が新たに事業を開始したもの、いわゆる「新規開業」として扱われます。そのため、相続人は自分名義で開業届を提出するとともに、青色申告を利用したい場合には青色申告承認申請書も併せて提出する必要があります。

故人が長年青色申告をしていたとしても、その承認をそのまま使うことはできません。事業を継続する予定がある場合は、期限を意識しながら早めに手続き全体を設計することが重要です。

賃貸不動産を相続した場合、相続開始後に得られる家賃収入は、相続人自身の不動産所得として申告することになります。青色申告を利用するためには、相続人側で帳簿を作成し、保存要件などを満たしたうえで、青色申告承認申請書を提出しなければなりません。

不動産所得の場合、事業的規模かどうかや帳簿の内容によって、受けられる控除額が異なります。相続を機に青色申告へ切り替える場合は、規模や管理体制も踏まえて検討する必要があります。

不動産を複数人で共同相続し、共有名義のまま賃貸経営を続ける場合、各相続人が持分割合に応じてそれぞれ不動産所得を申告することになります。この場合、代表者がまとめて申告することはできず、原則として各自が帳簿を備え付け、個別に申告を行う必要があります。

青色申告を利用したい場合も同様で、各相続人がそれぞれ要件を満たし、青色申告承認申請書を提出する運用が求められます。実務上は管理負担が大きくなりやすいため注意が必要です。

【関連】相続税対策に不動産・賃貸経営が役立つ理由 仕組みと注意点を解説

相続後に事業や不動産を引き継がず、そのまま廃業する場合や、相続した不動産を売却して賃貸などの収益活動を行わない場合には、青色申告承認申請書を提出する必要はありません

青色申告は、あくまで継続的に所得を生み出す事業や不動産経営を行う場合に意味を持つ制度です。相続をきっかけに事業を終了する、または資産を整理する予定であれば、申請の要否を整理したうえで、不要な手続きを避けることも重要です。

税理士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が
    得意な税理士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る税理士を探す

青色申告は、帳簿を付けていれば自動的に使える制度ではなく、決められた期限内に申請書を提出することが前提になります。特に相続が絡む場合は、通常の開業時とは異なる期限が設けられており、見落とすとその年は青色申告が使えなくなるおそれがあります。ここでは、提出期限の基本ルールと注意点を整理します。

青色申告承認申請書は、原則として事業を開始した日、いわゆる「開業日」から2カ月以内に提出しなければなりません。新たに個人事業を始めた場合、この期限を守ることで、開業初年度から青色申告を利用できます。

開業届と青色申告承認申請書は別の書類であり、開業届を出しただけでは青色申告は使えない点に注意が必要です。2カ月の期限を過ぎると、その年分は白色申告扱いとなり、青色申告の特別控除などを受けられなくなります。

亡くなった人(被相続人)が青色申告の承認を受けていた事業や不動産所得を相続によって引き継いだ場合には、通常の開業とは異なる特例的な期限が設けられています。

  • その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合:死亡の日から4カ月以内
  • その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合:その年の12月31日まで
  • その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合:その年の翌年の2月15日まで

この期限を守れば、相続した年分から青色申告を適用できます。相続後は、葬儀や相続手続きで忙しくなりがちですが、期限を過ぎるとその年の青色申告が使えなくなるため、早めに申請準備を進めることが重要です。

青色申告承認申請書の提出期限を過ぎた場合、その年分について青色申告を適用することはできません。これは、青色申告が「事前承認制」を採用しており、帳簿管理や申告方法をあらかじめ税務署に示す必要がある制度だからです。

期限後に申請しても、承認自体が無効になるわけではありませんが、適用は翌年分からとなります。結果として、その年は白色申告扱いとなり、特別控除や損失繰越といった青色申告のメリットを受けられなくなる点に注意が必要です。

Q. 相続放棄した場合は準確定申告をしなくてよいの?

相続放棄をした人は相続人ではなくなるため、原則として準確定申告を行う必要はありません。準確定申告は相続人全員の義務となるため、放棄が受理された人は手続きから外れます。

Q. 青色申告承認申請書の提出期限を過ぎたらどうなる?

提出期限を過ぎると、その年分は青色申告を適用できず、白色申告扱いになります。申請自体は可能ですが、青色申告が使えるのは翌年分からとなります。

Q. 複数の相続人がいる場合、誰が申告手続きを行うの?

準確定申告は相続人全員が共同で行う必要があります。実務上は代表者が申告書を作成し、他の相続人が署名・押印する形で対応するのが一般的です。

税理士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が
    得意な税理士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る税理士を探す

相続によって事業や賃貸不動産を引き継いだ場合、故人の青色申告の承認は自動的に引き継がれず、相続人自身が期限内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。提出期限を過ぎると、その年は白色申告扱いとなり、控除などの優遇を受けられません。

相続内容や引き継ぎ方によって申請の要否や期限が異なるため、早めに確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

(記事は2026年1月1日時点の情報に基づいています)

「相続会議」の税理士検索サービス