目次

  1. 1. 田舎の土地活用をするべき理由
  2. 2. 田舎の土地活用での成功事例
    1. 2-1. 【成功事例1】戸建て賃貸経営
    2. 2-2. 【成功事例2】オーベルジュ経営
    3. 2-3. 【成功事例3】農地に太陽光パネル設置
  3. 3. 田舎の土地活用を成功させるアイデア10選
    1. 3-1. アパート・マンション賃貸経営
    2. 3-2. 戸建て賃貸
    3. 3-3. 駐車場・コインパーキング経営
    4. 3-4. 太陽光発電
    5. 3-5. 倉庫・トランクルーム経営
    6. 3-6. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
    7. 3-7. 借地
    8. 3-8. 貸し農園・市民農園
    9. 3-9. 民泊経営
    10. 3-10. キャンプ場
  4. 4. 田舎で土地活用する際のチェックポイント
    1. 4-1. 都市計画などで用途に制限はないか
    2. 4-2. 地域の特性にあった活用方法であるか
    3. 4-3. お金のかからない方法であるか
    4. 4-4. 管理と時間のコストが適切か
    5. 4-5. 利用できる補助金があるか
  5. 5. 田舎の土地活用ができない場合の選択肢
    1. 5-1. 売却する
    2. 5-2. 寄付する
    3. 5-3. 相続土地国庫帰属制度を活用する
  6. 6. まとめ

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収益を得ていない土地や建物をそのまま所有していると、固定資産税や火災保険などの費用だけがかかり、家計に重くのしかかってきます。また、2015年に制定された空き家等対策特別措置法により特定空き家に指定されると土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、税負担が重くなってしまいます。

もし何らかの事情で売却できないとか思い入れがあり売却したくないのであれば、有効な土地活用をして収益を得ることを選択肢に入れるべきです。

まず田舎の土地活用での成功事例を3つ紹介します。

  • 【成功事例1】戸建て賃貸経営
  • 【成功事例2】オーベルジュ経営
  • 【成功事例3】農地に太陽光パネル設置

古い戸建てではあるものの耐震性能の確認がとれたうえ、雰囲気が良い建物だったのでそのまま賃貸に出せると判断。間仕切り壁を撤去し、断熱材の設置及び壁クロス、床材の貼り替えなどで広い空間のある雰囲気ある建物へと再生しました。古民家賃貸としてすぐに借主がつき、収益性のある物件になった事例があります。

海の見える立地であったので、宿泊施設、駐車場、レストランを併設した小さな旅館であるオーベルジュを建築し経営したケースがあります。1日数客限定の小さな建物ではあるものの地産地消の食事やワインを提供するこだわりのミニホテルとして話題となり、収益性のある物件になりました。

相続した農地の活用として、「営農型太陽光発電」を提案しました。農地に支柱を立てて太陽光発電の設備を設置する方法です。農地で太陽光発電を行うには農地転用の許可を得なければならないのですが、この方法では一時転用の許可があれば可能です。農地として活用しながら発電収入も得ることができるようになりました。

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田舎の土地活用を成功させるアイデア10選は以下のとおりです。それぞれ、メリットやデメリット、向いている土地などを解説していきます。

  • アパート経営・マンション賃貸経営
  • 戸建て賃貸
  • 駐車場・コインパーキング経営
  • 太陽光発電
  • 倉庫・トランクルーム経営
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 借地
  • 貸し農園・市民農園
  • 民泊経営
  • キャンプ場

◯メリット:安定した賃料収入が見込めれば、事業として考えることができます。また、減価償却による税の繰り延べや、備品代や各種費用などを経費計上することができ、節税をすることが可能です。

×デメリット:田舎の人口数や駅からの距離などによっては、借主を見つけることが難しく空室リスクがあります。

向いている場所:駅から徒歩圏であることや大学や企業が近い場所など

そのまま貸し出す
◯メリット:経費をそれほどかけることなく、借主を見つけることができれば収益率が上がります。

×デメリット:見えない瑕疵や突然の設備故障などが生じる可能性があり、急な出費が生じる場合があります。

リフォームをして貸し出す
◯メリット:最新のシステムキッチンやバスなど使いやすい設備があることで借主を見つけやすく、長く住んでもらいやすくなります。

×デメリット:建物によってはリフォーム箇所が多くなります。想定以上のコストがかかってしまう場合が想定され、賃料で回収しきれないリスクを背負う可能性があります。

向いている場所:駅やバス停から徒歩圏であること、車の利用がしやすい場所など

駐車場
◯メリット:月極駐車場はアスファルト舗装なら利用者の満足度が高くなり、賃料を高く取れるケースが少なくありません。また、小規模宅地の特例で相続税の評価額を下げることができます。

×デメリット:アスファルト舗装などは自らの経費で行わなければならず、コストがかかります。砂利敷きならコストを下げられますが、田舎の駐車場だと賃料があまりとれないリスクがあるでしょう。いずれにせよ、費用対効果を考える必要があります。

コインパーキング
◯メリット:コインパーキング業者がすべての管理をしてくれるので安心感があります。立地が良ければ月極駐車場より多くの賃料収入が見込めます。

×デメリット:立地によってはコインパーキング業者の収益が見込めないため、コインパーキングにすること自体ができない可能性があります。

向いている場所:住宅街を含め、一定の人口がいる場所など

日当たりが良い土地であれば、太陽光発電が選択肢となります。ソーラーパネルを設置して太陽光によって発電し、その電気を売ることで収益を得る土地活用方法です。

設置に適したまとまった土地がない場合は、駐車場の屋根に設置する形もあります。

また成功事例でも紹介しましたが、相続した土地が農地の場合、通常は農地転用の許可を農業委員会から得なければならないためハードルが高くなってしまいます。ただし、農地に支柱を建てて設置し、下で農業を行うといった営農型太陽光発電という手法であれば一時転用という形で設置できます。

向いている場所:電力会社が電気を買い取ってくれるエリア

相続した家にガレージがあるものの、住宅と離れた場所にあるために使いづらいといったケースは、ガレージのみ倉庫として貸し出して収益を得る方法が考えられます。住宅や貸家に向かない場合などはトランクルームを設置し、普段使わない荷物を預けることができる貸しスペースも選択肢となります。

向いている場所:道路事情が良いなど、交通の便が良い場所

相続した空き家を居室の広さや設備、バリアフリーなどの条件を整えたり、空き地に建物を建てたりして、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)にする方法もあります。

◯メリット:固定資産税や不動産取得税の軽減や控除が受けられる点が挙げられます。

×デメリット:まとまった土地の広さが必要で、投資額が数億円になることもあり大きくなります。また、質の高い介護サービスをしてくれる運営業者を見つけないと、運営に失敗するリスクが上がります。

向いている場所:景観が良く道路などでのアクセスが良い場所

借地として地元企業や近隣住民に貸し出すこともできるでしょう。具体的には、企業の資材置き場として利用したり、事業用の建物を建築したりするケースがあります。

◯メリット:投資額が少なく済むのでリスクが小さいと言えます。土地の上に建物が立っている場合は解体する必要はありますが、新たな建造物は不要です。

×デメリット 2度めの相続となる二次相続で借地権を持つ法定相続人が多くなってしまい、借地権の買取や土地の売却が難しくなるというトラブルが起きたり、契約によっては土地の返還をすぐに受けられなかったりする場合がある点には注意しましょう。借主の使い方によっては、汚損や油の漏洩などにより土地の価値が低下する懸念があります。

向いている場所:資材置き場は主要幹線道路沿い

相続した土地が農地で、相続人が農業者でない場合は、特定農地貸付方式という貸し農園方式で市民農園を開設することができます。利用者は一定の条件で農園区画を借りて作付けができる形で、利用者から賃借料を得て収益を得ることが可能になります。

ただし、農地の地域(市街化区域、市街化調整区域、ほか)や設備などで要件が異なったり、農業委員会の許可が必要となったりするケースがある点には注意しましょう。

向いている場所:都心だけでなく田舎や郊外でも可能

住宅を相続したのであれば、民泊として経営するのも選択肢の一つです。田舎で自然にたくさん触れられ、都会とは違う宿泊体験ができるなど観光客の利用が見込めます。

ただし、住宅民泊事業法により年間経営上限が180日とされており、一年中営業できないことからコストに見合ったリターンを得にくい点は認識しておく必要があります。

向いている場所:自然環境が豊かな場所、観光地に近い場所など 

広大な土地を相続した場合、キャンプ場や、道具やテントを用意しなくてもキャンピングを気軽に楽しめる施設のグランピング場として経営する選択肢があります。昨今、アウトドア需要が高まっており、有効な土地活用として考えられます。

ただし、用途地域を確認して、営業が可能かどうかの確認が必要となります。もともと農地の場合、転用ができるかどうかも重要です。グランピング場の場合、各種許可や免許が必要です。平地でない場合や、上下水道や電気が引かれていない場合、一定の整備コストもかかります。

向いている場所:自然環境が豊かな場所、車のアクセスが良い場所

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田舎で土地活用する際は特に以下の5点に注意しましょう。

  • 都市計画などで用途に制限はないか
  • 地域の特性にあった活用方法であるか
  • お金のかからない方法であるか
  • 管理と時間のコストが適切か
  • 利用できる補助金があるか

日本の土地は都市計画法でエリアによって「できること」が定められています。

都市計画区域は「市街化区域」と「市街化調整区域」「非線引き区域」に分けられており、都市計画区域のほかには、「都市計画区域外」と「準都市計画区域」があります。

市街化区域には用途地域が定められており、営業できる用途が細かく定められています。市街化調整区域は原則として住宅建築が制限されており、新たに建築が可能か住宅を解体する前に自治体で確認をしておくことが重要となります。あとで気づいて無駄な出費とならないように注意する必要があります。

都市計画区域外や準都市計画区域はインフラなどが整っていない場合が多く、開発行為に関して自治体に確認が必要です。近隣住民とのトラブルになるケースもあるので、隣地の境界の確認なども重要となります。

まずは地域の特性を理解したうえで活用方法を検討するべきです。

旅行者がいない地域で民泊を経営する、高齢者が少ない地域にサービス付き高齢者向け住宅を建てるなどといった選択は、収益が得られない懸念があります。単身者の少ない場所であれば、アパート経営は厳しいと見るべきです。

初期コストをかけすぎると、回収までに時間がかかってしまいます。少しでも多く収入を得たいと考えているのであれば、あまり初期コストがかからない方法で実行するのが得策です。10選のなかでは、既存の建物を利用した賃貸経営や、土地をそのまま活用できる駐車場や借地などがあまりお金のかからない方法としてお勧めです。

活用方法によっては、以下のように管理に時間とコストがかかるケースがあります。

賃貸経営
建物の経年劣化に伴うリフォーム、設備の故障、借主が変わるたびのクロス交換や清掃、共用部の清掃、賃借人募集などにコストがかかります。

民泊経営
民泊管理会社を利用すると手数料が高く、利益率がそれほど良くありません。また、消防法などの要件として防炎物品の使用や自動火災報知設備、消火器の設置などを満たさなければならないなど初期コストがかかります。

地元で物件近くに暮らしているなら自主管理をすることでコストを抑えられます。一方、遠方で管理する場合は、コストがかかったとしても、管理会社を活用するのが妥当です。

サービス付き高齢者向け住宅は新築する場合に、国土交通省や自治体によっては補助金が用意されているのでぜひ利用すべきです。空き家やブロック塀の解体に関する補助金もあります。自治体の認定や耐震診断を受ける必要がある場合もありますが、おおよそ解体費用の5分の1から2分の1程度が支給されることが多いです。

全く地縁のない田舎の土地を相続する場合などで、うまく活用できない場合は売却も視野に入れるべきでしょう。固定資産税や管理コストを考えれば、売却のメリットは少なくありません。

最初にアプローチすべきは隣地への売却です。隣地にとって土地が広くなる結果、活用できることが広がることから、利害が一致することが多いためです。その場合は地元の不動産会社に相談することで早期に売却できる可能性が高まります。実際に売却する際は、複数の不動産会社に相談し、比較検討することが大切です。

相続した土地を自治体に寄付することも可能です。ただし、建物が建っている、山奥で利用価値が低い、近隣で土壌汚染の可能性があるなどの場合は寄付を断られる可能性があるので注意が必要です。

NPO法人に寄付することも可能です。個人が寄付した財産が公益目的に使われることが明らかなら税負担をなくす制度がありますが、承認特例の適用対象法人として一定の要件を満たす認定NPO法人であれば、この特例を受けることができます。

なお、個人や法人に寄付をした場合は贈与・譲渡と見なされ、課税対象となる可能性がある点は把握しておきましょう。

2023年4月27日から運用される相続土地国庫帰属制度は相続した土地を国に引き取ってもらえるというもので、この制度の活用も検討してみましょう。実際、遠方の土地を相続しても、有効利用できないうえに固定資産税や草刈り費用などがかかり手放したいという人が増えています。

相続土地国庫帰属制度は、管理が行き届かない土地が放置され、「所有者不明土地」の発生を予防するためのものです。今までは相続放棄することが主な手段でしたが、期限が過ぎて放棄できなかった場合や一部放棄の代わりとして、相続土地国庫帰属制度は有効な手法となると考えられます。

【関連】相続土地国庫帰属法とは  相続した土地を国に引き取ってもらう条件や手続きを解説

田舎にある実家の土地活用に悩んだら、不動産コンサルタントなど専門家に相談するのが賢明です。また、インターネットで複数の企業に一括で問い合わせできる「相続会議」の土地活用プラン一括請求サービスも活用すると効率的です。自分の土地にどのような可能性があるのかを知ることができる良い機会にもなるでしょう。

(記事は2023年2月1日時点の情報に基づいています)

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