目次

  1. 1. 相続した土地を売却したときに生じる税金
    1. 1-1. 名義変更のための登録免許税
    2. 1-2. 印紙税
    3. 1-3. 所得税・住民税・復興特別所得税
  2. 2. 相続した土地をすぐ売却した方が良い場合
    1. 2-1. 相続税の納税資金がない場合
    2. 2-2. 遺産分割がしにくい場合
    3. 2-3. 相続税を納税した場合
    4. 2-4. 活用がしにくい場合
  3. 3. 相続した土地をすぐ売却しなくても良い場合
    1. 3-1. 相続税が発生しないまたは納税資金がある場合
    2. 3-2. 遺産分割がすんなりと整う場合
  4. 4. まとめ

土地を売却した場合にかかる税金には、その土地をどのくらいの期間保有していたかによって税率が変わってくるものがあります。そこで、まずは相続した土地を売却した場合にかかる税金について解説します。

相続した土地を売るには、実務上、売主を明確にするために名義変更が必要です。また、2024年4月を目途に、相続登記は義務化されます。

名義変更には、登録免許税が発生します。
名義変更の原因が「相続」の場合、登録免許税は以下の通りです。

・登録免許税=土地の固定資産税評価額×0.4%

土地の売買契約書は印紙を貼らなければならない課税文書となります。
印紙税は売買契約書に記載する売買代金によって決まり、その金額は以下の通りです。

土地の売却では、譲渡所得が生じると税金が発生します。
譲渡所得とは、以下の式で求められる売却益のことです。

・譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用

譲渡価額とは売却価額のことです。
取得費は、土地の購入額となります。
譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費などの売却に直接要した費用のことです。

相続した土地の中には、取得費が不明な土地も多いです。
取得費が不明の場合には、概算取得費と呼ばれる取得費を用います。
概算取得費は「譲渡価額の5%」です。

税金は譲渡所得に税率を乗じて求めます。

・税金=譲渡所得×税率

譲渡所得は、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」に分類されます。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は下表の通りです。

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

相続した土地の売却では、所有期間は被相続人(亡くなった人)の所有期間を引き継ぐことがポイントです。

例えば、親の所有期間が5年超であれば、相続後、すぐに売却しても長期譲渡所得の税率が適用されます。

相続した土地をすぐ売却した方が良い場合について解説します。

相続税の納税資金がない場合には、現金化しやすい更地はすぐに売ることをおすすめします。
相続税の申告と納税の期限は、「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

国税庁の「令和2年分相続税の申告事績の概要」によれば、2020年において相続税を納税した人は全国で約8.8%となっています。

相続税は、9%弱の一部の資産家に対して課される税金です。
納税資金がない場合には、土地をすぐに売って現金化し、期限までに納税資金を用意することが必要となります。

相続人間で遺産分割がしにくい場合には、土地はすぐに売却した方が望ましいです。
例えば、「相続人が多い」、「相続人間で公平性を保ちにくい」場合には、売却が解決策の一つとなります。

相続した土地は相続人の共有状態になりますので、売却するには相続人全員の同意が必要です。
共有者のうち、1人でも売却に反対する人がいると、売却することができません。

相続人が多い場合、放っておくと二次相続、三次相続が発生し、雪だるま式に共有者が増えていきます。

多人数共有物件になってしまうと、共有者全員の同意を取ることが困難となってしまい、売りたくても売れない物件となってしまう可能性があります。

そのため、相続人が多い場合には、共有者が比較的少ない一次相続の段階で、同意を取って売ってしまった方が良いのです。

また、相続人間で公平性を保ちにくいときも売却すべきといえます。
遺産分割を困難としてしまう主たる原因は、土地のような不動産の存在です。

売却して現金化すれば、遺産は相続人間で分けやすくなります。
そのため、遺産分割の協議が難航しそうな場合には、全員で早めに売却してしまった方が良いでしょう。

相続税を納税した場合も、すぐに売却した方が良いケースに該当します。
相続税を納税した人は、「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売る」と取得加算の特例という節税特例を利用できるからです。

取得費加算の特例を利用すると、譲渡所得は以下のように計算されます。

・譲渡所得=譲渡価額-取得費-取得費に加算する相続税額-譲渡費用

「取得費に加算する相続税額」は、以下の式で求めます。

取得費加算の特例を利用するには、以下の要件を満たすことが必要です。

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

特に取得費が不明で概算取得費を用いる人は、売却時の税金が高くなります。
土地の売却では利用できる節税特例が少ないため、要件に該当する人で、かつ、概算取得費を用いる人は取得費加算の特例を利用することをおすすめします。

活用がしにくい場合も売った方が良いケースです。
土地は持っているだけでも固定資産税が発生します。
収益を生み出さなければ、土地はマイナスを生み出す負の遺産です。

固定資産税の垂れ流しを防ぐためにも、活用しにくい土地はすぐに売却した方が良いでしょう。

この章では、すぐ売却しなくても良い場合について解説します。

相続税が発生しないまたは納税資金がある場合は、すぐに売却しなくてもいいケースに該当します。

まず、相続税が発生しない人は「取得費加算の特例」を利用できませんので、3年という売却期限は意識する必要がありません。

また、相続税が発生する人であっても、納税資金があれば無理に売る必要はないといえます。
先祖から授かった大切な土地になりますので、じっくり活用を考えることをおすすめします。

遺産分割がすんなりと整う場合も、焦って売る必要はないといえます。
遺産分割が整えば、単独所有となることが通常です。

単独所有であれば、自由に活用することもできますし、自分の好きなタイミングで売却できます。

どのような土地活用ができるかは、相続会議の土地活用プラン請求サービスを使うと複数のハウスメーカーから無料で提案を受けることができます。

土地活用に関しては、相続で土地を引き継いだ人のように「元々土地を持っている人」が行うことが圧倒的に有利です。

土地活用は、土地を借入金で購入し、土地の借入金まで余裕で返済できるほど収益性は高くないため、新規に土地を購入する人は、かなり不利となります。

新規で土地を購入する場合は、全額自己資金で土地を購入できる人でない限り、土地活用は現実的に厳しいといっても過言ではありません。

相続で土地を引き継いだ人こそ土地活用に適した人ですので、ぜひ土地活用も検討してみてください。

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以上、相続した土地をすぐ売却することについて解説してきました。
相続した土地を売却すると、「登録免許税」や「所得税・住民税・復興特別所得税」等が発生します。

相続した土地をすぐ売却した方が良いケースとしては、「相続税の納税資金がない」、「相続税を納税した」等の場合です。
また、「相続税が発生しないまたは納税資金がある」、「遺産分割がすんなりと整う」といった場合にはすぐ売却しなくても良いケースといえます。

すぐ売却すべきケースに該当する場合には、早速に売却の準備に取り掛かりましょう。

(記事は2022年2月1日時点の情報に基づいています。)

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