空き地の活用法13選を紹介! 30坪未満の空き地の活用事例とは
親から空き地を引き継いだ場合、上手に活用すれば、固定資産税や維持管理のコストが軽減できるうえに、空き地から収入を得ることも可能です。実際にどのように活用すれば良いか、月極駐車場、コインパーキング、駐輪場、野立て看板、戸建て貸家、小規模のアパート、シェアハウスなど具体例を交えながら解説します。
親から空き地を引き継いだ場合、上手に活用すれば、固定資産税や維持管理のコストが軽減できるうえに、空き地から収入を得ることも可能です。実際にどのように活用すれば良いか、月極駐車場、コインパーキング、駐輪場、野立て看板、戸建て貸家、小規模のアパート、シェアハウスなど具体例を交えながら解説します。
目次
空き地は所有しているだけでもお金(コスト)と手間(維持管理)がかかります。さらに空き地をそのまま放置しておくとトラブル発生の原因にもなります。
空き地を所有していると、毎年固定資産税がかかります。また、空き地が市街化区域内にある場合は都市計画税も加わります。それぞれの税額は次の計算式で求められます。
固定資産税=課税標準×標準税率1.4%
都市計画税=課税標準×制限税率0.3%
課税標準とは、税額を算出するために税率をかける価額のことで、市町村の固定資産課税台帳に登録されています。住宅やアパートなど居住用建物が建っている土地には小規模住宅用地の特例があり、課税標準は減額されます。
なお、固定資産税は標準税率、都市計画税は制限税率を採用しています。標準税率とは通常用いられる税率のことで、固定資産税は市町村によっては1.4%を超えることもあります。一方の制限税率は上限が定められており、都市計画税は0.3%が最高税率です。
具体例として、市街化区域にある課税標準2000万円の空き地の税金を計算してみましょう。固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%として計算します。
固定資産税 2000万円×1.4%=28万円
都市計画税 2000万円×0.3%=6万円
合わせると毎年34万円、5年間空き地のままで保有すると170万円と多額の税金を払うことになります。
空き地の維持管理で、最も大変なのは除草でしょう。
特に夏場は雑草がどんどん伸びてしまうため、まめに除草することが必要です。自分で除草すれば費用は節約できますが、移動と作業の時間や体力的な負担もかかります。除草を専門業者、便利屋、シルバー人材センターなどに依頼すると、費用は広さや除草方法にもよりますが数千円から広い空き地では10万円を超えることもあります。
また、空き地にはゴミなどが不法投棄されることも多く、それらの処分費用もかかります。
近隣とのトラブルで多いのは、空き地に草や木の枝が伸びてしまい、境界を越えて隣地にまで侵入してしまうケースです。また、草木が生い茂ると虫が大量発生することもあります。
ほかにも不法投棄されたゴミが悪臭の原因になったり景観を悪化させたりすると近隣に迷惑をかけます。クレームを受けたときは迅速に対応しないと近隣関係の悪化にもつながります。
空き地は活用して収益を得られるケースもあります。空き地の大きさごとに活用方法も異なります。
30坪(約100㎡)未満の土地を狭小地ということが多いですが、立地によっては狭小地でも活用が可能です。
住宅密集地で駐車場が不足している地域、繁華街の近くなどに向いています。初期費用が比較的低く抑えられ、いざ売却したいときにも立ち退きがしやすいというメリットもあります。
ただし、立地や土地の形状によって稼働率や収益性が大きく左右されるため、事前に不動産会社やコインパーキングの運営会社に相談することをお勧めします。
駅前や商業施設の隣接地では駐輪場のニーズもあります。駐輪場には、月極めの自走式と時間貸しの機械式がありますが、自転車1台あたり0.8~1.2㎡ほどの面積があれば良いので土地を効率的に活用できます。
ただし、立地は限定されるため事前調査が重要で、特に機械式の場合は運営会社への相談が必要です。
大通り沿いなどで視認性の良い空き地では、狭小地でも広告看板の設置が可能です。初期費用を抑えられ、地代は年間数万円程度とあまり高くはありません。また、法規制により看板が設置できないエリアもあります。
30坪~100坪(約330㎡)の空き地では、狭小地に比べると活用のバリエーションも広がり、収益性も高くなります。狭小地で解説した駐車場は広い空き地でも経営が可能ですが、そのほかにも次のような活用方法があります。
この面積帯では、戸建て貸家や小規模のアパートの建築が可能です。特に戸建て貸家は近年高い人気があります。安定的に入居率を維持できれば、駐車場のような空き地のままでの利用方法と比べて収益も多く得られます。
反面、入居率の低下や家賃の下落、ローン金利の上昇などのリスクがあります。
一つの建物に複数組の入居者が暮らせるシェアハウスは、水回りなどを共有できるので、同じ面積の土地でも一般的なアパートよりも部屋数が多く確保でき、収益性も高くなります。
ただし、入居者層の幅が狭くなるため、長期的なニーズがあるか、どの層をターゲットにするかなど、事前の調査とコンセプトづくりが重要です。また、共用スペースが多いぶん、入居者同士のトラブルも起こりがちのため、リスク管理も必要になります。
住宅地から近い立地ではトランクルームの需要もあります。トランクルームには、コンテナ型とルーム(建物)型がありますが、空き地の場合は初期費用を抑えられるコンテナ型が向いています。一般的には土地所有者がコンテナをレンタルし、集金管理はトランクルームの事業会社に業務委託します。ほかにも「転貸」や「又貸し」とも呼ばれるサブリース、自ら運営、土地だけ賃貸という方法もあります。
トランクルームのデメリットは、稼働率が上がるまでに時間がかかることです。また、住宅専用地域内ではトランクルームは許可されません。
100坪以上と、さらに大きな空き地の活用では、投資額が大きくなる一方、収益力もアップします。
広さが100坪以上ある空き地では、中規模以上のアパートやマンションの建築が可能になり、より多くの家賃収入が期待できます。
ただし、将来世帯数が減少すると経営悪化につながるため、立地や住環境についての十分な調査と企画力が必要です。
コインランドリーには、街なかにある10坪程度からの小規模な店舗のほか、広い空き地に大型の店舗を建てて経営する方法もあります。コインランドリー経営は、稼働率が上がれば賃貸住宅よりも高い収益が期待できますが、初期費用として店舗の建築費に加え、高額の設備資金などが必要です。また、稼働率が高まり経営が軌道にのるまでには一定の時間もかかります。
最近は、建設費が節約できるコンビニエンスストア跡などの空き店舗を利用した開業も増えており、空き地を活用する場合は専門業者に相談することをお勧めします。
高齢者施設や高齢者住宅(以下「施設」)は高齢者の増加とともに需要も高まっており、社会貢献にもつながる活用方法です。空き地の所有者が建物を建設し、介護事業者が長期で借上げて運営をします。施設の種類により200坪(約660㎡)から500坪(約1650㎡)程度の土地面積が必要になります。
建設に際し、国や自治体の補助金の対象になる施設もあり、収益性の向上につながります。たとえばサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を建設する場合、建築費の最大10%の補助金を受けることができます。
ただし、稼働率が低い、スタッフ数が不足するなどの原因で事業者が撤退する可能性もあるため、立地や介護事業者の信用度についても専門家に相談することをお勧めします。
太陽光発電は、郊外や地方にある賃貸住宅の需要がない立地でも経営が可能です。設置に必要な面積は、たとえば50kwのミドルソーラーの場合、約150坪です。
ただし、売電価格は年々下がっており、固定価格での買取り期間も20年間のため、収益性の確認が必要です。
空き地を活用したいけれど、リスクは負いたくないという人もいるでしょう。資産運用にノーリスクはありませんが、比較的リスクが低い活用方法もあります。共通しているのは、ローリスクの反面、収益も低いローリターンであるということです。
空き地を第三者(借地人)に貸すだけで、借地人が建物を建てるという借地権活用は、高額な初期費用も必要ありません。
ただし、契約期間は一般定期借地権が50年以上、事業用定期借地権が10年以上50年未満と長期にわたるため、その間に売却や自己利用を考えているケースには向きません。
郊外にある工場や作業場などの近くには資材置き場のニーズがあります。初期費用もあまりかからず、借り手も法人が多いため安定収入が見込めます。
ただし、住宅地の近くでは、運搬車両の出入りによる交通安全上の問題、作業による騒音や振動の発生などにより近隣とトラブルが生じる恐れがあるため、立地の選択には注意が必要です。
近年都市部を中心としてブームになっている貸し農園も低リスクの活用方法です。一般的には農家が所有している農地の一部を貸し農園に転用するケースが多く見られます。
農地以外の空き地を貸し農園にするためには、土地の地目を農地に変更にする必要がありますが、農業委員会の許可が必要で許可条件のハードルも高く、また、従前からの農地と異なり作物の生育に適さない土地もあります。
活用したくても、立地が活用に向いていない、多額の資金がかかるといった空き地の場合、売却も選択肢になります。
売却する際には、一般的に不動産会社に売却価格を査定してもらいます。その際には1社だけではなく複数の会社に依頼し、最も納得できる会社に売却を依頼するのがよいでしょう。
また、市町村が運営するサービスには空き家を売りたい人と購入したい人をつなげる「空き家バンク」というものがあり、そのなかには、空き地を登録できるサイトもあるので売却を検討する際はぜひ一度調べてみましょう。
都市部か地方かにかかわらず、空き地を隣地の所有者が買ってくれることは少なくありません。お隣りさんも地続きの土地を買うことによって、庭が広くなる、駐車場として使える、子どもの家が建てられるなど、多くのメリットがあるからです。
不要な土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月に始まります。この制度は、相続または遺贈によって土地を取得した相続人が、法務大臣の承認を受け、その土地を国に引き取ってもらうことができるというものです。
ただし、承認のハードルは高く、複数設けられた条件に一つでも当てはまると引き取ってもらうことはできません。相続土地国庫帰属制度を検討する際は、空き地が国に引き取ってもらえる条件を満たすかどうかを事前にしっかりとチェックすることが大切です。
また、承認された場合、負担金として10年分の管理費用を国に納める必要があります。負担金の額は、土地の場所や種類、面積によって算出されますが、たとえば、市街化区域にある200㎡の土地の場合は79万3000円になります。
すぐに空き地を売却する予定がなくても、空き地の資産価値、つまり売却価格を把握しておくことで、空き地を活用した場合とのメリットとデメリットの比較ができ、活用と売却の選択もしやすくなります。
空き地を放置した場合のデメリット、さまざまな空き地の活用方法、土地を国に引き取ってもらえる相続土地国庫帰属制度について解説をしてきました。
早い段階から空き地の活用や売却について、ご自身や家族で検討、準備をしておけば、いざというときに慌てなくてすみます。そのためには、空き地の活用方法や価格について専門家や専門業者に相談してみることも役立ちます。
「相続会議」には土地活用プラン一括請求サービスもあります。空いた土地の活用法についての選択肢を増やす意味でも、複数の企業に一括で問い合わせできるサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
(記事は2022年12月1日時点の情報に基づいています)