目次

  1. 1. 駐車場はリーズナブルな土地活用? 駐車場にするメリット
    1. 1-1. 安定収入が得られ、土地の維持ができる
    2. 1-2. 初期費用が少ない
    3. 1-3. 維持管理費が少ない
    4. 1-4. いざとなれば売却できる
  2. 2. 駐車場のデメリット・リスクは?
    1. 2-1. 固定資産税が増える
    2. 2-2. 駐車場は立地が重要
    3. 2-3. 所得税・住民税が増えてしまう
  3. 3. 駐車場の種類ごとの特徴は
  4. 4. まとめ:一口に「駐車場」とくくらず、細かく吟味検討を

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相続した実家に住むつもりがなく、どう活用するか悩む方の中には、コストのかかりそうなアパートやマンションへの建て替えよりも、駐車場にするのがリーズナブルかもと考える方もいらっしゃるでしょう。駐車場活用を検討する際に、考えるべきポイントやメリット・デメリットを解説します。

主に以下のようなメリットがあります。

不動産は活用しなければ収入を生まないどころか、税金など維持費がかかるだけの「金食い虫」になってしまいます。しかし不動産から安定収入が得られれば、維持費を賄える上に、資産を増やすことも可能になります。

相続した実家をアパート・マンションに建て替える場合、高額な建築費がかかります。
それに対して、一般的な月極駐車場の場合は、工事もアスファルト舗装、砂利敷きなど、少ない初期費用ですみます。

アパート・マンション経営では、設備の修理交換・入居者入替え時のリフォーム・大規模修繕などさまざまな修繕費がかかります。また、火災保険料・共用部の光熱費・植栽の管理など日常の維持費も必要です。
一方、駐車場は、固定資産税などの税金以外には維持管理費用はほとんどかかりません。アスファルト舗装にすれば、雑草も生えにくくなるため、除草の手間も軽減されます。

駐車場には借地権・借家権が発生しないため、立ち退きでもめてにっちもさっちもいかなくなる、ということはまずないと言えます。いざ売却をすることになったときも、1、2カ月前に告知をすれば立退きをしてもらえます。

そのため、将来売却を予定している方の場合、売却するまで暫定的に駐車場として活用する選択肢もあります。

一方、次のような短所もあります。

空き家を解体して更地にすると、土地の固定資産税・都市計画税が大幅に増えます。
住宅が建っている土地は、
・200㎡(約60坪)までの部分が小規模住宅用地
・200㎡を超える部分は一般住宅用地
として固定資産税・都市計画税が軽減されています。

固定資産税の課税標準は、
・小規模住宅用地は6分の1
・一般住宅用地は3分の1
にそれぞれ軽減されています。

また、都市計画税は、
・小規模住宅用地が3分の1
・一般住宅用地が3分の2
に軽減されます。

建物を取り壊して駐車場にすると、軽減の適用がなくなり、
・固定資産税は約4倍、
・都市計画税も約2倍、
と大幅に上がってしまいます。

なお、軽減の特例がなくても固定資産税が6倍にまで上がらないのは、更地の場合でも課税負担水準の上限が固定資産税評価額の70%(東京23区は65%)に軽減されているためです。

また、駐車場にすると、建物の固定資産税等はかからなくなりますが、一般的には建物よりも土地の評価額のほうが高いため、ほとんどの場合、土地建物の税金の合計額はアップします。

駐車場経営は、立地が全てと言えるくらい重要です。せっかく空き家を解体して駐車場として整備しても、利用する人がいなければ、期待した収入が得られないうえに、工事費や税金さえも賄えなくなってしまいます。

また、需要はある立地でも、敷地面積・地形・道路幅・出入りのしやすさなど、土地の物理的な条件によっても駐車場として向き不向きがあります。同じ敷地面積、同じ工事費でも駐車可能台数によって収益が大きく変わります。

事前に市場ニーズを調査するとともに、駐車場の配置計画を作成し、需要や経営効率を確認しましょう。

アパート・マンションの所得を計算する際には、建物などの減価償却費やローンの金利などを経費として所得から差し引くことができるため、所得を抑えることができます。

しかし駐車場の場合は経費がほとんどありません。さらに不動産所得は総合課税のため、会社員の給与など他の所得と合算して所得税・住民税が計算されます。そのため、思っていた以上に税金が増えてしまうこともあります。

実際に駐車場を経営する場合、どのような形態があるのでしょうか。

駐車場の主な形態には「月極駐車場」と「時間貸し駐車場(コインパーキング)」の2つの種類があります。

月極駐車場は、住宅地などに多く、路面にはアスファルト舗装や砂利敷きをします。大きな設備投資は必要なく、運営に手もかからない反面、収益もそれほど多くはありません。

それに対してコインパーキングは、駅の近くや商業地、オフィス街などに多く、初期投資はかかりますが、投資効率も良く、高い収益を見込むことができます。

さらにコインパーキングの運営方法には、「自己運営方式」と「業務委託方式」があります。

自己運営方式は、土地の所有者が設備投資から運営まで全て行います。この方式は稼働率が高ければ高収益を見込めますが、設備の負担が必要であり、設備管理やトラブル対応など運営のわずらわしさもあります。

業務委託方式は、運営をコインパーキングの事業者に委託する方法で、設置費用も事業者が負担します。収益は少なくなりますが、初期投資の負担はなく、管理のわずらわしさもありません。

周辺のニーズや経営する方の考え方によって選択する必要があります。

駐車場も、空き家の活用方法としてひとつの選択肢といえるでしょう。しかし駐車場も他の活用方法と同様に、メリットとデメリットがあります。収益性、メリットやデメリット・リスクを十分に調査し、他の活用方法と比較検討し選択をしましょう。

前回は、大家さんが賃貸アパートメリットを子に譲る際に生前贈与を選ぶケース、のメリットデメリットについて書きました。「相続会議」では、引き続き相続と不動産土地活用について記事を執筆していきたいと思います。

(記事は2020年6月1日時点の情報に基づいています)

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