アパートの建築費はいくらかかる? 概算方法と必要な自己資金を解説

はじめてアパート経営をする人の中には、建築費が気になっている方もいらっしゃると思います。見積もりを取る前に、自分でも概算費用を知っておくと安心です。この記事では「アパートの建築費」について解説します。
はじめてアパート経営をする人の中には、建築費が気になっている方もいらっしゃると思います。見積もりを取る前に、自分でも概算費用を知っておくと安心です。この記事では「アパートの建築費」について解説します。
目次
アパート建築費は、建物構造によってある程度の坪単価相場があります。
アパートの構造の選択肢としては、木造や軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造が挙げられます。
それぞれの構造の坪単価は以下の通りです。
多くのアパートは2階建てとなりますが、2階建てであれば木造または軽量鉄骨造で建てることができます。
木造は最もコストを抑えることができますが、入居者のイメージがあまり高くないことや上位ハウスメーカーが軽量鉄骨を得意としている等の理由から、昨今の2階建てアパートは軽量鉄骨造が主流です。
また、3階建て以上のアパートでは、重量鉄骨造または鉄筋コンクリート造が選択肢となります。
台風が多い沖縄等では、2階建てであっても鉄筋コンクリート造が選択されることが多いです。
アパートの建築費は構造だけでなく、仕上や設備も決定要因となります。
建物を「躯体」と「仕上」、「設備」に分類すると、その割合は概ね「4:4:2」の割合となります。
よって、例えば仕様の高い設備や仕上材を採用した場合には、木造でも軽量鉄骨造より建築費が高くなることはあり得ます。
建築費の大まかな割合を知っておくと、後で役に立ちます。
例えば、「電気工事」や「空調工事」、「給排水衛生工事」を合算すると設備工事費の合計額が出てきます。
設備工事費の合計額が全体の2割を大幅に上回っている場合は、設備工事のどこかの部分が妙に高いという推測ができるようになります。
比較的小さめの土地であれば、アパートの建築費は土地の面積から概算することができます。
建築費の総額を知るには、まずどの程度の「延床面積」のアパートが建てられるかを知ることが必要です。
土地には建物規模の上限を決定する容積率というものが定められています。
容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことです。
アパートは低層の戸建て住宅が建っている地域に建てられることが多く、低層の戸建て住宅街の容積率は100%または150%といった数値で定められていることがよくあります。
容積率が100%の土地の場合、延床面積は土地の面積に対して100%まで建てることが可能です。
例えば60坪の土地で容積率が100%であれば、アパートの延床面積も最大で60坪となります。
延床面積が60坪のアパートの規模は、「1Kタイプ8戸の2階建て」のようなイメージです。
仮に坪80万円の木造アパートを建てた場合、建築費は4,800万円(=60坪×80万円/坪)と概算できます。
ただし、この概算方法が適用できるのは100坪程度の敷地くらいまでとなります。
100坪よりも大きい敷地の場合、ゆったりと建てることが多いので延床面積は敷地面積よりも小さくなることも多いです。
アパートの建築時には諸費用が発生します。
諸費用の項目としては以下の通りです。
【諸費用項目】
【設計費】
設計者に対して支払う費用です。
ハウスメーカーであれば建築費の1~3%程度、施工会社と異なる一級建築士事務所に依頼した場合は建築費の5~8%程度の費用がかかります。
設計費の中には確認申請料を含んでいることも多いですが、含まれていない場合は確認申請料として50~60万円の費用が別途生じることもあります。
【現況測量費】
設計のために必要な真北や高低差を知るための測量です。
20万円~30万円程度の費用がかります。
【地盤調査(ボーリング調査)費用】
杭工事が必要な場合、支持地盤の深さを図るための費用です。
1ポイントあたり30~50万円程度となります。
【水道分担金】
水道を引き込むときに自治体へ支払う費用です。
戸数にもよりますが、100万円~500万円程度かかります。
【不動産取得税】
建物を取得したときに発生する税金です。
原則として「固定資産税評価額×3%」となります。
【登録免許税および司法書士手数料】
新築した建物を新たに登記(保存登記という)するための費用です。
保存登記の登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」、司法書士手数料の相場は6~7万円程度となります。
【印紙税】
請負工事契約書とアパートローンの金銭消費貸借契約書に貼り付ける印紙代です。
5,000万円超1億円以下なら請負契約書は3万円(2022年3月31日まで)、金銭消費貸借契約書は6万円となります。
【損害保険料】
建物に付保する火災保険および地震保険です。
複数年一括契約すると安くなるため、初年度に5年または10年といった単位でかけることになります。
1年あたりの保険料は建築費の0.05%程度です。
【融資手数料】
アパートローンを組む場合は、融資手数料がかかります。
銀行へ支払う事務手数料の相場は固定料金制の場合、5~10万円程度です。
アパート建築に必要な自己資金は、諸費用を含めて最低でも建築費の15%程度は必要です。
まず諸費用に関しては、ハウスメーカーに依頼すると設計料が安くなるため、コストを抑えることができます。
ハウスメーカーに依頼した場合、諸費用の合計額は建築費の3~5%程度です。
また、アパートローンを組む際は、銀行から最低限建築費の1割の頭金を求められることが一般的となっています。
よって、自己資金としては諸費用で5%、頭金で10%を要するため、最低でも建築費の15%は用意しておくことになります。
例えば60坪の土地で建築費が4,800万円のアパートを建てる場合、720万円(=4,800万円×15%)程度の自己資金が必要となるイメージです。
アパートの工期は、ハウスメーカーが建てる場合、「階数+1ヶ月」が目安です。
2階建てなら3ヶ月程度、3階建てなら4ヶ月程度となります。
ハウスメーカーは工業化工法と呼ばれる工法を採用しており、ほとんどの建築部材を工場で作成し、現場で組み立てるだけなので工期は非常に短いです。
建築費の支払は、着工時に60%、竣工時に40%程度(請負契約時に5%、竣工時に35%というケースもある)というケースが一般的となります。
アパートの建築費を抑えるには、複数のハウスメーカーから相見積もりを取り比較検討することが最も効果的です。
相続会議の土地活用プラン請求サービスでは、無料で複数のハウスメーカーから「建築費」や「設計プラン」、「竣工後の収益プラン」の3つの提案を受けることができるサービスとなっています。
ハウスメーカーとのコネクションがなくても、簡単に相見積もりを取ることができますのでぜひ利用してみてください。
以上、アパートの建築費について解説してきました。
アパートの建築費相場は、木造なら「坪70万円~90万円」、軽量鉄骨造なら「坪80万円~100万円」程度です。
比較的小さめの土地であれば、アパートの延床面積は土地面積とほぼ等しくなり、土地面積に坪単価を乗じることで概算額を出すことができます。
新築時の諸経費としては、建築費の3~5%程度の費用がかかります。
また、アパートローンを組む際は、最低限建築費の10%の頭金が必要です。
アパート建築費の概要がわかったら、早速にプラン一括請求サービスを使って見積もりを取り寄せてみましょう。
(記事は2021年10月1日時点の情報に基づいています。)