更新日:
公開日:
実家の建て替え費用はどれくらい? お金がないときに使える補助金や贈与特例も解説
新たに家を建てる場合、「実家」を建て替えると土地購入費が不要となるため、トータルのコストを抑えることができます。また、一定の要件を満たした解体や新築工事では補助金が受け取れたり、贈与税が非課税になったりするので、「実家を建て替えるお金がない」と悩まれている方にもおすすめです。実家の建て替えは、費用だけでなく補助金や贈与の制度も含めて知っておくと賢く建て替えることができます。この記事では「実家の建て替え費用」について解説します。
1.実家の建て替え費用
まず、実家の建て替え費用について解説します。
1-1. 解体費用
一般的な住宅の解体費用の相場は以下の通りです。
※「1平米」は0.3025坪ですので、平米数に0.3025を乗じると坪面積が算出できます。
住宅の広さは延床面積が30~35坪程度のものが一般的となります。木造の解体費用の相場は坪4万円~6万円程度なので、木造戸建て住宅の解体費用は150万円程度となることが多いです。
1-2. 一般住宅の新築工事費用(30坪~)
一般住宅の新築工事費用の相場は以下の通りです。
一般住宅の広さは延床面積が30~35坪程度のものが多いです。仮に木造で30坪の一般住宅を建てた場合、建築費は1800万円~2700万円程度となります。
1-3. 二世帯住宅の新築工事費用(50坪~)
二世帯住宅の新築工事費用の相場は、一般住宅とほぼ同じです。
二世帯住宅の広さは延床面積が50~60坪程度のものが多いです。仮に木造で50坪の二世帯住宅を建てた場合、建築費は3000万円~4500万円程度となります。
2. 解体工事に使える補助金
解体に関しては、自治体によっては補助金制度を設けている場合があります。国の補助金はありません。
自治体の設けている補助金制度では、解体工事会社に支払った後に補助金が入金されるタイプのものが一般的となってきます。そのため補助金を使う場合でも、解体工事会社に支払う分の現金を用意しなければならないので注意が必要です。
自治体の補助金は、主に以下を目的とした補助制度があります。
ここでは、それぞれの補助金について詳しく紹介します。
2-1. 老朽空き家対策
老朽化した空き家が周囲に危険を及ぼす恐れがある場合に、自治体によっては解体費用の一部を助成してくれるところもがあります。ただし、すべての空き家が対象になるわけではなく、適用を受けるには一定条件を満たさなければなりません。
また、依頼する解体業者が指定されたり、税金を滞納していると利用できなかったりする場合があるので、事前に自治体に確認しておきましょう。
2-2. 不燃化対策
「不燃化対策」の場合、自治体の木造住宅密集地域内にある建物が解体補助金の対象となります。
例えば、神奈川県横浜市では、「建物不燃化促進事業補助」という不燃化対策のための解体補助金が存在します。神奈川区や磯子区などの補助対象地区内にある建物は、一定の要件を満たすと最大150万円の補助金が受け取れます。
不燃化対策の補助金は、延べ床面積や建築時期によって適用対象外としている自治体もあるので、事前に適用要件を確認しておきましょう。
2-3. 耐震化対策
「耐震化」の場合、旧耐震基準(1981年5月31日よりも前に確認申請を通した建物)が対象となることが多いです。
島根県江津市では「木造住宅耐震化促進事業補助金」という耐震化対策のための解体補助金が存在します。江津市内にある昭和56年(1981年)5月31日以前に新築の工事に着手した木造建築物で、一定の要件を満たすものは最大で解体工事費の100分の23(限度額40万円)までの補助を受けることができます。
3. 新築工事に使える補助金
新築に使える主な補助金には、「地域型住宅グリーン化事業」や「こどもみらい住宅支援事業」などが挙げられます。
3-1. 地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、グループと呼ばれる国土交通省の採択を受けた事業者団体が建てる省エネルギー性や耐久性等に優れた木造住宅に対して補助金が交付される制度です。
地域型住宅グリーン化事業では、建築の依頼者(発注者)に対して補助が行われるのではなく、グループが補助を受けます。
グループは、原木供給・製材・建材・設計・施工等の地域の中小工務店を中心にした事業者で構成されています。
依頼者はグループに対して建物建築を依頼すると、グループが補助金を受けて建物を建築することができるため、割安で建物を建てることができます。
地域型住宅グリーン化事業の補助額は、住宅の種類によって下表のような補助上限額が定められています。
長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、所管行政庁による認定を受けた住宅のことです。
高度省エネ型は、「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき、所管行政庁による認定を受けた住宅のことを指します。
ゼロ・エネルギー住宅とは、高性能断熱や高効率な設備等の導入と、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入によって、年間の一次エネルギー消費量の収支がおおむねゼロとなる住宅のことです。
上表の住宅には、地域住文化加算(プラス20万円)、バリアフリー加算(プラス30万円)、地域材加算(プラス20万円)、三世代同居加算(プラス30万円)の補助金の加算制度があります。
地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けるには、グループに一定の要件を満たす住宅建築を依頼することがポイントです。
グループに関しては、一般社団法人木を活かす建築推進協議会が運営する以下のサイトで検索することができます。
【参考:地域型住宅グリーン化事業が利用できるグループの検索サイト】地域の住まいづくりのお手伝い(地域の住まいづくりのお手伝い)
3-2. こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅支援事業は、2050年のカーボンニュートラルの実現と子育て支援を目的とした制度で、高い省エネ性能の認定を受けた住宅を新築した際に補助金が受け取れます。
子育てをしている若者夫婦を対象としているため、子どもや夫婦の年齢が規定要件を満たしていることが適用条件となります。補助額は住宅の省エネ性能によって決定され、60万円〜100万円が受け取れます。
なお、こどもみらい住宅支援事業は、補助金申請額が年度予算上限に到達すると交付申請ができません。2023年3月時点においては、既に補助金申請額が予算上限に達しているため、2022年11月28日をもって交付申請および交付申請の予約の受付は終了しています。
4. 贈与を受けるときの特例制度
住宅の建築に関しては、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」という贈与制度を利用することができます。
2023年12月31日までに父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受け、一定の要件を満たしたうえで住宅を建築・取得すると、贈与税が以下の金額まで非課税となる制度です。
「質の高い住宅」とは、以下のいずれかの要件を満たした住宅となります。
- 断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級等級4以上であること
- 耐震等級2以上又は免震建築物の基準に適合していること
- 高齢者等配慮対策等級3以上であること
住宅取得等資金贈与の非課税特例を利用するには、贈与者(お金をあげる人)と受贈者(お金をもらう人)が以下の要件を満たすことが必要です。
また、床面積は40平米以上240平米以下という制限があります。その他、詳しい要件は以下の国税庁ホームページをご参照ください。
5. まとめ
以上、実家の建て替え費用について解説してきました。実家の建て替え費用は、解体費用に150万円程度の費用が必要です。一般住宅を建てるなら1800万円~2400万円程度、二世帯住宅なら3000万円~4000万円程度の新築工事費用が必要となります。
解体では、要件に当てはまると自治体の補助金を利用できるケースがあります。新築では、地域型住宅グリーン化事業の要件に合致すると補助金を使って建物を建てることができます。
贈与を受けて建物を建てる場合、住宅取得等資金贈与の非課税特例を利用することが可能です。実家の建て替え費用の概要がわかったら、気になるハウスメーカーなどにプランの相談をしてみましょう。
(記事は2023年3月1日時点の情報に基づいています。)