ガレージハウス賃貸経営の特徴と注意すべき落とし穴

新しい賃貸経営の一つにガレージハウスがあります。ガレージハウスは希少性も高く、比較的高い賃料で貸せる点がメリットです。一方で、ガレージハウス賃貸経営にも落とし穴があります。ガレージハウス賃貸経営の落とし穴にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では「ガレージハウス賃貸経営」について解説します。
新しい賃貸経営の一つにガレージハウスがあります。ガレージハウスは希少性も高く、比較的高い賃料で貸せる点がメリットです。一方で、ガレージハウス賃貸経営にも落とし穴があります。ガレージハウス賃貸経営の落とし穴にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では「ガレージハウス賃貸経営」について解説します。
目次
ガレージハウスとは、建物内に車庫のある住宅のことです。
ビルトインガレージとも呼ばれており、建物内で車庫と住居の間を行き来できる住宅になります。
ガレージハウスは、長屋タイプと戸建てタイプのものがありますが、戸建てタイプが主流であるため、この記事では戸建てタイプを前提に解説します。
ガレージハウスは車の愛好家がターゲットです。
車にこだわりを持っており、車のためならお金を出すことを惜しまないような人たちを借主の対象としています。
この章ではガレージハウス賃貸経営のメリットについて解説します。
ガレージハウスは、通常の戸建て賃貸と比べると高めの賃料設定ができる点がメリットとなります。
ガレージハウスの賃貸物件はまだまだ少なく、希少性は高いです。
ビアノが弾ける防音室付きのマンションのように、ガレージハウスも賃料をアップさせる付加価値となります。
ガレージハウスは戸建てが建てられる土地であれば可能なため、小さな土地でもできる土地活用です。
40坪程度あれば、十分なガレージハウスを建てることができます。
規模的には、例えば相続した親の古い家をガレージハウスに建て替えるといったことも可能です。
ガレージハウスは入居者が車での移動を前提としていることから、立地条件の劣る土地でもできる点がメリットです。高速道路のインターチェンジに近い場所等、愛車ですぐに遠出ができるような立地もガレージハウスに向いています。
必ずしも駅に近い必要はないので、一般的なアパートや戸建て賃貸に向いていないような立地でも可能な土地活用となります。
この章ではガレージハウス賃貸経営のデメリットについて解説します。
ガレージハウスは贅沢な住宅ですので、建築費が割高となる点がデメリットです。
建物内にガレージの広い空間を作るため、木造では建てられないことも多く、コストの高い重量鉄骨造が採用されることもよくあります。
また、シャター等の通常の住宅にはない設備も設置することが必要です。
しかしながら、ガレージハウスは割高であることから、賃貸ニーズも根強いといえます。
車の愛好家の中には、自分では自宅をガレージハウスにできないことを理由に賃貸物件を探している人も多いです。
ガレージハウスはコストが割高となりますが、少し我慢して車の愛好家が「こんなガレージハウスを自分でも建ててみたい」と思えるような物件にしておくと賃貸経営が安定します。
ガレージハウスはアパートに比べると投資効率が劣るという点がデメリットとなります。
理由としては、ガレージハウスは基本的にファミリータイプの物件であり、ワンルームに比べると賃料単価が安くなってしまうからです。
同じ延床面積でもアパートであれば、賃料単価の高いワンルームを複数戸詰め込むことができます。
同じ敷地でアパートと収支シミュレーションを比較すると、十中八九、アパートの方が収益性は高くなります。
空室リスクが大きい点もガレージハウス賃貸経営のデメリットです。
戸建てタイプのガレージハウスは一棟貸しですので、借主が退去すると賃料収入がゼロ円となってしまいます。
ニッチな市場をターゲットとしていることから、次の入居者がなかなか決まらないこともあります。
汎用性が低く、万人受けする建物ではないため、通常の戸建て賃貸よりも空室リスクは大きいです。
この章ではガレージハウス賃貸経営の落とし穴について解説します。
ガレージハウス賃貸経営では、固定資産税は安くならないという点が落とし穴となります。
なぜこのようなことをお伝えするかというと、インターネット上に「ガレージハウスは固定資産税が安くなる」という誤情報が溢れかえっているからです。
ガレージハウスを建てても建物の固定資産税は安くならないのでご注意ください。
インターネット上でよく見る誤情報は、車庫部分は延床面積の5分の1まで固定資産税の課税面積に含まれないといった誤解です。
ガレージ部分も固定資産税の課税面積に全て含まれますので、ガレージハウスをつくったからといって固定資産税が安くなることはありません。
なぜこのような誤解が溢れているかというと、車庫部分は建築時に延床面積の5分の1まで容積率の対象面積には含まないという建築基準法上の規定があるためです。
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことを指します。
建築基準法上の容積対象床面積と固定資産税の課税面積は全く別物です。
むしろ、ガレージハウスは固定資産税が高くなる可能性があります。
新築建物の固定資産税は、延床面積が120平米までは当初3年間は半額になるという規定があります。
しかしながら、延床面積が大きくなりがちなガレージハウスは120平米を超えてしまうことも多いです。
120平米を超えた部分は初年度から満額の固定資産税がかかるため、普通の住宅よりも固定資産税が高くなってしまうこともあります。
ガレージハウスは建物に関する固定資産税のメリットはないと理解しておきましょう。
ガレージハウス経営は、近所からクレームが入ることがある点も落とし穴となります。
理由としては、深夜や早朝に車を出し入れする人がおり、開閉のシャッター音がうるさいからです。
賃貸物件ですので、仮に今の借主を注意して改善されたとしても、次の入居者はマナーが悪く夜間の開閉を繰り返してしまう可能性もあります。
シャッター音のクレームを避けるには、まずは賃貸借契約書や使用細則によって入出庫の時間を制限することがポイントです。
また、これからガレージハウスを建てる場合には、できるだけ開閉音が静かなタイプのシャッターを選定しておくことも適切な対策となります。
ガレージハウス賃貸経営は、設計や企画で失敗しやすいという落とし穴です。
利用しにくいガレージハウスとなってしまうと、早期退去の原因となります。
例えば、ガレージ内に換気扇をつけ忘れると、排気ガスやワックス等の臭いが充満して入居者に不評なガレージとなってしまうこともあります。
また、ガレージ内にエアコンや壁面収納を設置し忘れてしまい、ガレージ内で真夏や真冬に洗車しにくくなると不満の種となります。
その他、ガレージの上に寝室を配置してしまうと、夜間の入出庫で家族の睡眠を妨害し、入居者の家族から不評となることもあります。
ガレージハウスは特殊な建物であることから、経験値の高い実績豊富な設計会社に依頼することがコツです。
また、依頼主も設計ポイントを研究し、準備をしたうえで発注することが望ましいといえます。
以上、ガレージハウス賃貸経営について解説してきました。
ガレージハウス賃貸経営のメリットには、「高めの賃料設定ができる」や「小さな土地でもできる」等があります。
それに対して、デメリットは「投資効率が劣る」や「空室リスクが大きい」等です。
またガレージハウス賃貸経営には、「固定資産税は安くならない」や「近所からクレームが入ることがある」等の落とし穴があります。
ガレージハウス賃貸経営は特徴を十分に理解した上で始めましょう。
(記事は2021年9月1日時点の情報に基づいています。)