アパート経営をするなら知っておきたいアパートローンの全知識を解説

はじめてアパートローンを組む人は、住宅ローンとの違いに戸惑っている人も多いと思います。アパートローンは住宅ローンよりも金利が高く、借入可能な期間も短いです。また融資審査も住宅ローンとは視点が若干異なります。これからアパートローンを組むのであれば、ある程度概要を知っておくとスムーズです。この記事では「アパート経営のローン」について解説します。
はじめてアパートローンを組む人は、住宅ローンとの違いに戸惑っている人も多いと思います。アパートローンは住宅ローンよりも金利が高く、借入可能な期間も短いです。また融資審査も住宅ローンとは視点が若干異なります。これからアパートローンを組むのであれば、ある程度概要を知っておくとスムーズです。この記事では「アパート経営のローン」について解説します。
アパートローンの金利相場は、一般的に2~5%程度です。
地域で有名な資産家のような人であれば、1%前後で組める人もいます。
アパートローンの金利は、住宅ローンよりも高いことが一般的です。
住宅ローンは国民の住宅取得意欲を促すための政策的な配慮があり、特別に金利が低いローンとなっています。
アパートローンの金利が高いというよりは、住宅ローンの金利が例外的に低いというのが実際のところです。
また、アパートローンは住宅ローンのように金利が銀行間でほぼ横並びということはなく、金利は銀行によってもかなり異なります。
アパートローンの金利は、融資審査が甘い銀行ほど高くなる傾向があります。
どの銀行の条件が良いかは、ハウスメーカーがよく知っています。
ハウスメーカーは普段から多くのオーナーの融資状況を耳にしていることから、外部からは入手できないリアルな情報を把握しています。
そのため、アパートローンを組む際は、一旦、ハウスメーカーから情報収集して銀行を選ぶことをおすすめします。
アパートローンの審査ポイントは銀行によっても異なります。
ここでは、一般的なアパートローンの審査ポイントを紹介します。
住宅ローンの審査とは異なり、どの銀行でも以下の項目が必ず審査されるわけではないということにご留意ください。
【アパートローンの審査ポイント】
1つ目としては、頭金の有無です。
昨今は金融機関のアパートローンに対する融資姿勢が厳しいため、頭金ゼロでアパートローンを組むことはほぼ不可能となっています。
一般的に求められるアパートローンの頭金は、建築費の1割です。
2つ目は、アパートの収益性になります。
中古物件の場合、築年数の古く立地の悪い物件は審査に通らないケースがあります。
新築物件の場合、施工会社が大手のハウスメーカーだと収益シミュレーションの信頼性も高く、審査は比較的通りやすいです。
3つ目は、借りる本人のアパート経営の実績も見られます。
はじめてアパート経営をする人よりも、何棟か実績がある人の方が審査は通りやすいです。
ただし、実績といっても不良物件を抱えている人は、逆に未経験の人よりも審査が通りにくくなります。
未経験だから審査に通らないというわけではなく、他の条件が整っていればはじめてでもアパートローンを組むことはできます。
4つ目は、本人の資産状況です。
住宅ローンは本人の収入状況が重視されますが、アパートローンでは本人の資産状況の方が重視されます。
資産家で他に多くの不動産を持っている地主のような人が、審査には通りやすいです。
資産家であれば仮にアパート経営が上手く行かなくなっても、他の資産を売却することでローンを返済することができます。
銀行にとって資産家の方が融資のリスクは低いことから、金利も資産家の方が一般的に低いです。
5つ目として、他の借入金の状況も加味されます。
各銀行は1人に対するアパートローンの融資限度額を設けていますが、借りる本人に住宅ローン等の他の借入金が残っている場合、融資限度額が減額されます。
例えば、融資限度額を1億円と設定している銀行であれば、3,000万円の住宅ローン残債が残っている人に対しては7,000万円しか貸せないことになります。
よって、他に借入金のない人の方が、多くの融資額を引き出すことができます。
ローン期間は長いほど毎月の返済額が減るため有利となります。
ただし、アパートローンが組める年数は、原則として建物の耐用年数以内であることが一般的です。
建物の耐用年数は、構造によって下表のように定められています。
木造アパートなら耐用年数は22年であり、アパートローンが組める期間は最長でも22年となります。
アパートで多い軽量鉄骨造は、一般的に鉄骨の厚さが6mm未満のものを指します。
鉄骨の厚さによりますが、軽量鉄骨造の場合はローンの期間が19~34年の間になります。
また、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造については、耐用年数は47年であるものの、多くの銀行は最長で35年を設定しています。
一部の銀行では、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造で47年の融資が可能な銀行もあるようです。
この章ではアパートローンの注意点について解説します。
アパートローンはわざと残さないと相続税対策にならない点がポイントです。
アパートローンでも、住宅ローンのように団体信用生命保険に加入できるローンがあります。
団体信用生命保険とは、本人が死亡したときに保険金によってローン残債を全額返済できる生命保険のことです。
相続財産の中に借入金が残っていると、マイナスの財産として課税対象の資産家から残債額が控除されます。
相続税の計算対象の遺産総額が小さくなることから、借金が残っていると相続税対策となります。
よって、相続税対策でアパート経営を行うのであれば、団体信用生命保険には加入せず、借金をわざと残すことがポイントとなります。
アパートローンの元本返済額は毎年の所得税を計算するにあたり経費にはならない点が注意点です。
理由としては、お金の貸し借りは収入でも経費でもないからです。
アパートローンを借りたときに収入として課税されないのと同様に、返したときも経費として節税できないという理屈になります。
ただし、借入金の返済のうち、「利子」部分については経費です。
確定申告をする際は、支払利息は経費に計上することで所得税の節税ができます。
アパートローンには、住宅ローン控除のような節税制度はありません。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入すると所得税等を節税できる制度のことです。
アパートはマイホームではないため、住宅ローン控除の対象外となります。
アパートローンを組む際は、配偶者や子供などの推定相続人が連帯保証人となることが求められることが一般的です。
推定相続人とは、現時点で相続人になり得る人のことを指します。
推定相続人を連帯保証人にすることで、相続放棄されることを防ぐ目的があります。
アパートローンは基本的にアパートの収益で返済していくものであるため、連帯保証人の収入はあまり重視されていません。
そのため、推定相続人が無職であっても連帯保証人に指定されます。
以上、アパート経営のローンについて解説してきました。
アパートローンの金利は一般的に2~5%程度です。
審査ポイントとしては、「アパート経営の実績」や「本人の財産状況」も加味されます。
アパートローンを組める年数は、耐用年数以内であることが基本です。
アパートローンの注意点としては、「わざと残さないと相続対策にならない」、「元本返済額は経費にならない」等がありました。
アパートローンの概要がわかったら、早速に銀行に相談に行ってみましょう。
(記事は2021年11月1日時点の情報に基づいています。)