目次

  1. 1. 贈与契約書に印紙が必要なとき、不要なとき
  2. 2. 贈与契約書に必要な印紙の金額
  3. 3. 印紙の貼り方と消印の方法
  4. 4. もしも印紙を貼り忘れたら
  5. 5. 印紙は誰が負担する? どこで買える?

契約書などに貼付する収入印紙は、印紙税の納税のためのものです。印紙税の対象となる課税文書に、郵便局やコンビニエンスストアなどで買える収入印紙を貼ることで、印紙税を納税したことになります。

印紙税の課税文書には、契約書や領収書、手形など複数のタイプがあり、不動産の譲渡契約書もその一つです。不動産の売買契約書を作成する場合、その取引金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。

それでは、不動産を贈与した場合はどうなるのでしょうか? 無償の贈与契約であっても、実は印紙税の対象になります。生前の贈与契約であれ、死因贈与契約であれ、印紙税に注意する必要があります。ただ、印紙税の金額は取引金額に応じて決まりまるため、無償贈与の場合は大きな負担にはなりません。

注意が必要なのが、「負担付贈与」の契約書を交わしたケースです。たとえば、「不動産の贈与を受けたが、残りの住宅ローンを負担することになった」といった場合をイメージしてください。贈与を行う見返りが発生するので、売買や交換と同様の効果があります。この場合、無償贈与契約よりも高い取引金額と判断されるため、相応に印紙税も高くなります。

なお、印紙税の対象となる契約書は以下のとおり定められています。したがって、現金や有価証券など、該当しない財産については、贈与契約書を交わしたとしても、印紙を貼る必要はありません。

  • 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶、航空機又は営業の譲渡に関する契約書
  • 地上権または土地の賃借権の設定や譲渡に関する契約書
  • 消費貸借に関する契約書
  • 運送に関する契約書(傭船契約書を含む)

それでは、印紙税の金額を見ていきましょう。まず、不動産の無償贈与の契約書については、一律200円と定められています。仮に贈与契約書のなかに不動産の評価額が記載されていたとしても、その金額は取引金額ではありませんから、印紙税の金額には影響しません。

一方、負担付贈与の場合は、前述のとおり、売買や交換と同様の扱いになります。そのため、取引金額に応じて以下のとおり印紙を用意する必要があります。

取引金額と印紙税の金額

収入印紙は、契約書などの課税文書に貼ります。作成する契約書の枚数分、印紙を用意してください。たとえば贈与契約書を交わすとして、贈与者と受贈者のそれぞれが契約書を作成するのであれば、2通分の印紙が必要です。

印紙の貼り方については、「どこに貼るか」「どういった方法で貼るか」といった細かなルールはないのですが、契約書1枚めの左上に貼るのが一般的です。

ここで気をつけたいのが、「消印」のルールです。収入印紙を貼るときは、課税文書と印紙にまたがるように押印するなどし、貼った印紙を再利用できなくする必要があります。この処置を怠ると、後ほど説明する過怠税(かたいぜい)の対象となります。

消印を行うときは、特別な準備は必要ありません。消印に使う印鑑は何でも良く、契約書に使う実印とは違うものでも大丈夫です。さらに、氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなものでも認められます。

氏名や通称、商号などをペンで自筆して消印とすることも可能ですが、簡単に消せる鉛筆や、単に斜線を引くような方法は避けましょう。印紙を貼るときは、一見して誰が消印したかが明らかとなる程度に、押印や署名をするように意識してください。

印紙の正しい貼り方

印紙の正しいはり方
印紙の正しいはり方

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契約書に印紙を貼っていなくても、契約そのものの効果には影響ありません。しかし、印紙税を納めていないことになりますので、税法でペナルティが設けられています。

印紙税を貼っていないことが明らかになり、あとから税務署に指摘を受けた場合、印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収されます。つまり、本来支払うべき印紙税の3倍の金額を負担することになります。ただし、自主的に印紙税の貼り忘れを税務署に申し出た場合は、過怠税の金額が「印紙税の額の1.1倍」に下がります。

さらに、印紙を貼っていたとしても、正しく消印をしていなかった場合、上記と同様の過怠税がかかります。消印漏れがあとから明らかになった場合は、印紙の貼り忘れと同じペナルティが科されますので、注意しましょう。

印紙税の不備は、税務調査の過程で見つかるケースが少なくありません。たとえば不動産の贈与について贈与税の調査が入ったり、贈与者の死亡に伴い相続税の調査が入ったりすると、印紙税の不備が発覚することが考えられます。

最後に、収入印紙にまつわるその他のポイントを説明します。まず、印紙は契約の当事者が負担すべきものですが、誰が負担しても良いというルールになっています。贈与契約書に貼る印紙は贈与者が負担しても、受贈者が負担しても影響はありません。

次に、印紙を買う場所ですが、主に以下の場所で購入できます。

  • 郵便局
  • コンビニエンスストア
  • 法務局
  • 市役所
  • パスポートセンター

ちなみに、24時間利用できるコンビニエンスストアは便利ですが、一般的には200円の収入印紙しか販売されていません。高額の収入印紙が必要であれば、郵便局などで購入したほうが便利です。

今回は贈与契約書に関係する印紙税のルールを説明しました。一般的な贈与契約であれば200円の印紙で足ります。ただし、負担付贈与になると契約書の記載内容によって慎重に判断しなくてはなりません。契約書を交わす前に税理士ら専門家に確認を取っておくと安心です。

(記事は2021年5月1日時点の情報に基づいています)