相続すると住民税は増えるの?住民税の仕組みと増えるケースを解説
両親が他界し、相続した自宅を売ろうと考えている方もいるでしょう。気になるところが税金です。特に、住民税は収入に応じて増えます。その結果、国民健康保険税や保育料が高くなることもあります。この記事では住民税の仕組みや、相続した場合の住民税への影響などをまとめ、節税対策について解説していきます。
両親が他界し、相続した自宅を売ろうと考えている方もいるでしょう。気になるところが税金です。特に、住民税は収入に応じて増えます。その結果、国民健康保険税や保育料が高くなることもあります。この記事では住民税の仕組みや、相続した場合の住民税への影響などをまとめ、節税対策について解説していきます。
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亡くなった人の財産をもらうと、もらい受けた人は財産所得が増えます。ここで、住民税は所得に対してかかる税金のため、財産をもらった人はその分の住民税が増えるようにも思えますが、そんなことはありません。亡くなった人の財産を相続してかかるのは相続税だけで、住民税はもちろん、所得税など他の税金はかからないことになっています。
亡くなった人が生命保険に加入していれば、亡くなったことで死亡保険金を受け取ることもよくあるでしょう。死亡保険で受け取ったお金についても、住民税はかかりません。ただし、死亡保険金も相続税の課税対象です。一定額の基礎控除額(非課税枠)が設けられており、死亡保険金の全額に対しての相続税が必要です。
住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得に対し、今年になってから納税するという仕組みです。したがって、今年亡くなった人の場合には前年の所得に対しての納税通知書(納付書)が5月から6月頃に送付されてきます。すでに亡くなった人の名前で納税通知書が届いても誤送付ではないので、きちんと納付しましょう。
所得とは簡単に言うと「稼ぎ」のことです。間違えやすい用語に「収入」があります。税金について理解するうえで「収入」と「所得」は明確に区別しておかなければなりません。
「収入」と「所得」の関係は以下の算式で表すことができます。
「所得」= 「収入」-「経費」
つまり、「収入」から「経費」を差し引いたものが「所得」となります。
住民税は所得割と均等割に分けられます。納付しなければならない住民税は、所得割と均等割の合計額です。
1.住民税所得割
所得割とは「所得」から、基礎控除や社会保険料控除、扶養控除など一定の所得控除を差し引いて計算される課税所得金額に対して、一定の税率を掛けた金額が納付すべき住民税の所得割となります。課税所得金額がゼロの場合は、所得割もゼロとなります。
住民税の所得割 = 課税所得金額 × 住民税率
2.住民税均等割
一方、所得がゼロであっても、住民税非課税世帯を除く全員に対して、一定額の納税義務があり、これが均等割と言われるものです。東京都の場合、住民税均等割は一律5千円となっています。
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相続の相談が出来る税理士を探す相続した財産から所得が発生するケースもあるでしょう。たとえば、賃貸マンションを相続したら、相続人は賃貸料を受け取るため、不動産所得が発生します。また、相続した株式を売却すれば、相続人には譲渡所得が発生するでしょう。そして、所得が発生した場合には、その所得に対して住民税がかかってきます。
相続で住民税が増えるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
財産を相続すると住民税が大幅に増える可能性がありますが、住民税を抑えるための特例がいくつか用意されています。正しく活用して、正確に納税していきましょう。
・取得費加算の特例
取得費加算の特例とは、相続した不動産を売却して売却益が発生した場合に、売却益(譲渡所得)から発生した所得税や住民税が軽減されるという特例です。取得費加算の特例を活用すれば、相続した不動産を売却した際の売却益の計算において、不動産の取得費に相続税の一部を加算できるため、結果としては所得税とともに住民税も軽減することができます。
・空き家の3000万円控除の特例
亡くなった人が住んでいた家やその敷地を、相続した相続人が売却した場合は相続した時から譲渡時まで空き家であったことなど、一定の要件を満たせば、売却益から最大3000万円まで控除を受けることができます。
相続した財産を国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した場合、一定の要件を満たすことで、その寄付した財産について相続税を非課税とすることができます。したがって、その財産を寄付しなかった場合に発生する不動産所得や譲渡所得は発生せず、結果として所得税と住民税が軽減されます。
所得税には、青色申告と白色申告があります。青色申告事業者を選択し、その届出をすると、税金面でさまざまなメリットを受けることができます。亡くなった人が青色申告事業者としてアパート経営をしており、相続した人がアパート経営を受け継いだ場合、相続した人は改めて青色申告の承認申請が必要となるので注意が必要です。
取得費加算の特例も空き家の3000万円控除も適用要件が厳しく、複雑な制度となっています。また、不動産所得の青色申告では特別控除65万円の適用は難しいかもしれません。なぜなら、不動産所得で特別控除65万円を適用するためにはアパート5棟やマンション10室程度と、事業と言える規模の不動産経営が要件となっているからです。事業規模でなければ、特別控除は最大10万円の適用となります。
大きな財産を相続した場合、思いもよらず多額の住民税が発生するケースもあるので、注意が必要です。相続税も住民税も非常に複雑な仕組みになっていますので、相続が発生した際は、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
(記事は2021年3月1日時点の情報に基づいています)
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