目次

  1. 1. まずは「現状把握と情報共有」
    1. 1-1. 子どもは親の老後が心配
    2. 1-2. 月々の収支も把握を
    3. 1-3. 今は元気でもいつか必ず考える必要

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前回のコラムでは、「家族会議」をどのように招集するかについてお話をしました。
「家族会議」で、家族全員が実際に何を話し合うか。話し合うべき3つの議題について、今回から3回に分けてご紹介します。

家族会議の開催には、3つの重要な議題と意義があると考えています。
一つ目は、老親の保有資産と収支状況についてです。資産と収支について、家族全員が正しい情報を把握・共有し、共通した現状認識を持つ意義は非常に大きいと言えます。

親から見れば、自分の保有資産を全て子に開示することは、心理的ハードルが高いのも事実です。親がある程度の資産を持っている場合は、「子に無心される」「財産をあてにされる」と考える親世代も少なくありません。

ただ、10、20代ならまだしも、40、50代となった子世代にそのような心配を抱く必要は無いと考えます。むしろ子世代は、「子育てにまだまだお金がかかるのに、それに加えて親の老後も自分たちが経済的に支えなくてはならないのか」という漠然とした不安を抱えているケースが多いからです。

親がどんな資産を持っているかを家族が把握することは、保有資産が多ければ子世代にとっては無用な心配がなく安心できますし、保有資産が少なければ、早い段階で子側の覚悟ができると言えます。

毎月の収支状況はどうなっているかも大切です。具体的には、2ヶ月に一度受け取る年金の額はどの程度で、さらに不労所得(不動産の賃料収入や株式・投資信託等の配当など)の額も加え、毎月の実質的な収入はどのくらいか、という総収入の大まかな把握は必須です。
自宅で暮らしている親なら毎月の生活費の概算、施設入所されている親なら毎月の施設利用料がどのくらいかを把握することで、月次の収支のプラスとマイナスが分かります。

もし毎月の収支が赤字なら、預貯金をちょっとずつ食い潰し、将来的に預貯金が足りなくなったときには、自宅等の不動産や株式等の有価証券類を売って生活費・介護費に充てるいう資金計画も立てやすくなります。

今は自宅で元気に過ごしている親世代でも、将来的には、入院や施設入所をせざるを得なくなる事態も想定しなくてはなりません。親が望むランクの高齢者施設にいつ入所し、その後平均寿命以上(できれば100歳くらいまで)長生きしてくれたとしても、経済的に困らない状況が安心と言えます。

(記事は2019年11月1日時点の情報に基づいています)

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