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社会的養護の子どもたちに向けて進学応援金

――朝日新聞厚生文化事業団での主な活動を教えてください。また、寄付が活かされている活動はどのようなものでしょうか。

朝日新聞厚生文化事業団は、1923年9月の関東大震災の被災者救援活動をきっかけに設立され、100年近くの歴史があります。私たちの活動は広範囲にわたっており、子どもや高齢者、障害のある人はもちろん、災害救援活動など幅広い分野で福祉事業を行っています。

近年で特に力を入れているのが児童福祉関連です。2008年から児童養護施設や里親家庭で暮らしている子どもたちに向けて、返済不要の奨学金である「進学応援金」を大学生など約400人に届けてきました。

当時は、児童養護施設で暮らす子どもたちが進学する環境がまだまだ整っておらず、ある施設では職員さんが子どもに「大学にチャレンジしてみたら」と言うと、他の職員さんに「期待を持たせるようなこと言ったらだめだ」と怒られる時代。まだまだ民間団体での取り組みも少なかった中、私たちが取り組むことで社会的にも広まってほしいという思いで始めました。

2022年10月にオンライン開催した「ぴあ応援フェス」実行委員として運営を担う社会的養護出身の学生。写真は朝日新聞厚生文化事業団提供
2022年10月にオンライン開催した「ぴあ応援フェス」実行委員として運営を担う社会的養護出身の学生

――児童福祉事業の特徴を教えてください。

単にお金を助成するだけでなく、伴走支援にも力を入れていることです。進学応援金を受けながら全国や専門学校で学んでいる学生さん(応援生)たちが「自分たちは支援してもらうだけの存在ではない。自分たちも社会の役に立ちたい。自分たちの経験も誰かのために活かしたい」と我々の理念とも共感することを言ってくれました。そこから、応援生とともに「ぴあ活動」を始めています。

例えば、中高生に向けて自分たちの学生生活や進学情報を届けるYou Tubeのラジオ番組「ぴあ応援ラジオ」の放送や、冊子の「ぴあ応援ブック」を発行しています。また、2022年10月には児童養護施設や里親家庭で暮らす中高生を対象にしたオンラインフェス「ぴあ応援フェス」を開催。これらは応援生が中心に企画や編集、運営などをしています。

私たちは、ご寄付や遺贈いただいたお金をただ使って終わりではなく、その活動が次に広がっていくか、どう活かされていくかを大事にしています。まさに応援生たちは「いただいた支援を社会に返していきたい」という思いを持って活動してくれています。応援生たちがご支援くださる方の思いをしっかりと受け止めて次につなげてくれていることを、私たちもきちんとお伝えしていきたいと思っています。

「次世代や子どもたちに」と遺贈寄付を考える人

――実際に遺贈寄付があったケースをご紹介ください。

山岡さんという方からの遺贈寄付ケースをご紹介します。山岡さんご自身も苦学されて大変な学生時代を過ごしたそうです。ずっと働いていて忙しくて恩返しができずに来てしまったけれど、最後には経済的に厳しい状況にある子どもへの奨学金に使いたいという思いを持っていらっしゃいました。亡くなる前に「山岡こども応援資金」として2015年に基金を設立しました。

また、最近あったケースでは、教師をされていた方から「向学心のある児童養護施設の学生さんにお送りしたい」と当事業団に遺贈寄付をしていただきました。やはり、ご寄付・遺贈いただける方は、「次世代や子どものために」という思いを持っていらっしゃる方が多い印象です。

YouTubeやPodcastなどで配信中の「ぴあ応援ラジオ」は企画から編集まで学生がほぼすべてを手がけています
YouTubeやPodcastなどで配信中の「ぴあ応援ラジオ」は企画から編集まで学生がほぼすべてを手がけています

――遺贈寄付をしたいという相談があった場合には、どのような案内をされていますか。

遺贈寄付を考えているというご相談をいただいた場合は、使い道などのご希望をお伺いしたり、当事業団の取り組みやこれまで遺贈寄付いただいたケースなどをご説明したりします。

ご相談内容はケースバイケースで、ご本人様からの問い合わせはもちろん、弁護士や司法書士など、遺言書の執行者になっている方からお問い合わせがある場合も多いです。また、既に遺贈寄付について弁護士などの専門家に相談して遺言書を書く準備もできている方もいらっしゃれば、遺贈寄付を考え始めたばかりという方もいらっしゃいます。丁寧にお話をお伺いしながら、当事業団で対応できることをお伝えしたり、専門家をご紹介したりすることもあります。

遺贈寄付は「好循環が生まれるスタートになる」

――寄付者の遺志で寄付の使途を指定することは可能でしょうか。

もちろん可能です。私たちの取り組みは、ずっと同じ福祉事業を続けるだけではなく、その時代に必要とされる事業を考えて行っていることも特徴のひとつです。その点にご共感いただいて、「使途は一任します」と言ってくださる方もいます。

また、大きなお金の遺贈寄付で、ご要望があれば基金として設立することもあります。ただ、時代とともに取り組む内容が変わっていくという点から、基金をあまりにも狭い分野に特定した形にしてしまうと、資金が使えなくなってしまったり、資金を使い切るためだけにその事業を継続しなければならなくなったり、といったことが起こり得てしまいます。例えば、「進学応援金だけに」というよりは「子どもの貧困に関係する事業」と少し幅を広げていただけませんか、とご相談することもあります。

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――寄付をされる方は、ある程度まとまった金額の寄付を考える方が多いのでしょうか?

こちらもケースバイケースです。「○円以上でなければ受け付けられない」ということもありません。数万円でも遺贈したいなと思ったらぜひご相談いただければと思います。

――最後に、遺贈を考えている方にメッセージをお願いします。

進学応援金を受け取る応援生の中には、親から虐待を受けてきた子どもたちもいます。一番大切にされるはずの親から虐げられて、近くの親族も助けてくれなかった。そんな子どもたちが進学しようと思っても、金銭面から諦めざるを得ない状況もあります。ところが、会ったこともない知らない方から善意の寄付によって進学が叶うことで「そんなことってあるんだ」と驚く子どももいるそうです。

お金だけでなく、そこに込めた思いも子どもたちにはしっかりとお届けできているということです。そこからさらに、「次世代に返したい」と学生さんたちが取り組んでいます。遺贈や寄付はこういった好循環が生まれるスタートになると考えています。

朝日新聞厚生文化事業団
朝日新聞社を母体とする社会福祉法人で、朝日新聞社の社会福祉の実践組織として事業を行っている。本部は東京都中央区。遺言書をテーマにしたセミナーを定期的に開催しており、2023年度からは遺贈寄付に特化したセミナーも開催予定。

(記事は2023年1月1日現在の情報に基づきます)

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