アパート経営を成功に導く資格6選 イチオシは、あの国家資格 合格率から不動産投資に必要な知識まで解説
アパート経営の魅力の一つが、特段の許可や資格がなくても始められるというハードルの低さです。ただし、賃貸不動産経営管理士や宅建士などの資格を持っていると、その知識が経営に役立ちます。不動産鑑定士がアパート経営に役立つ資格をわかりやすく解説します。
アパート経営の魅力の一つが、特段の許可や資格がなくても始められるというハードルの低さです。ただし、賃貸不動産経営管理士や宅建士などの資格を持っていると、その知識が経営に役立ちます。不動産鑑定士がアパート経営に役立つ資格をわかりやすく解説します。
目次
アパート経営に資格や許可は不要です。アパート経営にはある程度の知識が必要ですが、資格を何も持っていない人でも始めることができます。
自分の物件を他人に貸す不動産賃貸業は、宅地建物取引業の適用対象外であるため、宅建業の許可も不要です。行政に対する許可や届出も不要であり、個人でも法人でも自由に始めることができます。こうしたハードルの低さは一つの魅力と言えるでしょう。
特別な資格は不要とはいえ、アパート経営において資格を取得するメリットもあります。賃貸不動産経営管理士、宅建士、不動産鑑定士など、資格を得ることのメリットを3つ紹介します。
有益な資格を取ることで、アパート経営に必要な知識を得られる点がメリットです。知識の幅が広がることで、トラブルが発生したときの対応力も上がります。賃貸不動産経営管理士など、取得する資格によっては物件の目利きも高まります。
アパート経営の知識を得ることで、空室や賃料下落、家賃滞納といったリスクを減らすことができる点がメリットです。リスクを事前に回避することで、安全な経営がしやすくなります。
資格を取得することで、仕事につながるケースもあります。宅建士や中小企業診断士などの資格があると、就職したり、副業したりしやすくなります。
アパート経営を成功に導くためには、どのような知識が必要なのか、解説します。
利回りとは「投資額に対して一定期間でどのくらいの収益が得られるか」を表すもので、投資効率や収益性を表す指標であり、同時にリスクも表す指標です。不動産投資でも、株式投資等のほか他の投資と同様にハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンが基本となります。
ただし、土地持ちの人がアパート経営を行う場合、投資は建物のみです。従って、都市部の賃料の高い場所に土地を持っている人がアパート経営を行うと、ローリスクハイリターンとなります。
逆に、賃貸需要の低い地域に土地を購入してアパート経営を始めれば、ハイリスクローリターンとなる恐れがあります。
利回りの知識を身につければ、土地持ちの人と土地なしの人で利回りの捉え方を分けることができるようになります。
また、アパート経営に必要な経費を知ることで、シミュレーション方法も身につけることができます。適切な空室率や、平均入居期間、将来発生する修繕費の予測方法を知ることが可能です。
アパート経営には、以下のようなリスクがあります。
リスクに関する知識を得ることで、想定されるリスクと対処法を知ることが可能になります。
資格取得で得られる会計やファイナンスの知識もアパート経営で役立ちます。
アパート経営は建物投資を行うため、「減価償却費」という知識が必要となってきます。
減価償却費とは、建物部分の価格を一定の年数に分け、毎年の経費として計上するために発生する会計上の費用のことです。
また、借入金の返済も生じます。
アパート経営では「減価償却費」と「借入金の返済」の2つがあることで、会計上の損益とキャッシュフロー(手残り)が異なるという現象が生じます。会計上は黒字なのにキャッシュフローはマイナスといったことも生じうるため、会計やファイナンスに関する知識はあったほうが望ましいです。
市場調査方法もアパート経営に役立つ知識です。
具体的には、同じ地域の同じ間取り、近い築年数の物件がいくらで賃料を募集しているのかを調べます。相場の把握方法がわかれば、適切なシミュレーションを行うことができるようになります。
アパート経営に役立つ資格を6つ紹介します。
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸物件の管理の専門家となるための国家資格です。直近3年の合格率は30%程度で推移しており、国家資格としては取得しやすい部類に属します。
主に管理会社の社員がめざす資格ですが、アパートだけでなく不動産の賃貸経営に関する全般の知識を得ることができます。数ある国家資格の中でアパート経営に直結する知識が豊富に得られる資格であり、勉強するなら賃貸不動産経営管理士が特にお勧めです。
賃貸不動産経営管理士になるうえでは、借地借家法や民法といった法律知識だけでなく、建物設備や修繕サイクルといった建築知識も身につきます。
宅地建物取引士とは、不動産取引の専門家となるための国家資格です。合格率は15~18%程度で推移しています。
不動産業界を代表する有名な資格ですが、不動産の安全な取引を仲立ちすることを目的とした資格であることから、アパート経営に直結する知識はそれほど多くありません。
ただし、都市計画法や建築基準法を学ぶため、ハウスメーカーから提案を受ける際、知識が役立つ場合もあります。民法を重点的に学べる一方、肝心の借地借家法や建物に関する知識についてはあまり多くない点は認識しておきましょう。
不動産鑑定士とは、不動産の適切な価値を評価する専門家となるための国家資格です。
合格率は短答式が30%程度、論文式は15%程度であり、実質的に4.5%程度となります。
機関投資家等のプロに向けて鑑定評価書を提出する仕事もできるため、不動産の目利き力が特に身につく資格です。投資家目線という意味ではアパート経営に役立ちます。ただし、合格への難易度が高いため、わざわざアパート経営のために取得する必要はないかもしれません。
ファイナンシャルプランナー(FP)とは個人のお金に関する専門家であり、国家資格と民間資格の2種類があります。「FP技能士」と呼ばれる国家資格の合格率の目安は、3級が60%~80%、2級が35~50%、1級が7~18%となっています。
個人のお金に関する専門家のため、相続について学べる点がメリットです。不動産に関しては少しだけ試験範囲に入っています。アパート経営に直結する知識は少ないですが、俯瞰的な目線で相続対策をすることができるようになります。
簿記とは帳簿に関する知識を身につけることができる公的資格です。日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験で、合格率は3級で30%〜50%程度、2級で15~30%程度、1級で8~13%程度です。
固定資産の減価償却といった知識を身につけることができ、アパート経営における会計やファイナンスの部分に明るくなれます。
中小企業診断士とは、経営コンサルタントになるための国家資格です。合格率は、1次試験が30%程度、2次試験が20%程度であり、実質的に6%程度となります。
「経営」に主眼を置いた資格であるため、アパート経営にも役立ちます。付加価値や差別化、競争回避といった経営者が考えなければいけない知識が身につき、自分の中にアパート経営の羅針盤ができるようになります。
不動産関連の資格には、そのほかに「住宅診断士」や「マンション管理士」、「不動産実務検定」や「土地活用プランナー」などの資格があります。
「住宅診断士」や「マンション管理士」はアパート経営とは関連性が低いです。「不動産実務検定」や「土地活用プランナー」は民間資格です。せっかく時間をかけて勉強するのであれば、しっかり考え抜かれて作られている国家資格を取得することをお勧めします。
アパート経営や不動産投資に必要な知識を得るための方法は、資格だけではありません。
本屋、電子書籍、不動産コンサルトや業者、また不動産投資家などさまざまなタイプの著者の本を読むとよいです。
ある程度の知識が身についたら、少し専門的になりますが「借地借家法」に関する書籍を読むことをお勧めします。
不動産投資セミナーやスクール、あるいはコミュニティへ参加し、相談役になってくれる先輩投資家などの人脈を得るのも一つです。
ただし、不動産投資セミナー等は怪しい勧誘も少なくありません。人脈を作るよりも知識を得ることを優先して場を選び参加したほうがよいでしょう。
不動産投資家や兼業投資家のブログで役立つものもあります。
賃貸管理を中心に行っている不動産会社では、空室対策を公開している会社もあります。インターネット上から情報を得るのであれば、さまざまな管理会社が発信している「空室対策術」がお勧めです。
良質な不動産会社へ相談するのも一つと言えます。
よい不動産会社を知っている場合、その会社に管理を任せてしまえばアパート経営者は客の立場になれるという点がメリットです。客の立場になれば、竣工後に無料で気軽にさまざまなことを相談できるようになります。
以上、アパート経営の資格について解説してきました。賃貸不動産経営管理士、宅建士、不動産鑑定士、ファイナンシャルプランナー(FP)、簿記、中小企業診断士といった資格は、円滑なアパート経営を後押ししてくれます。
アパート経営に資格は不要ですが、その勉強は必ず役に立ちます。今回紹介した資格の勉強を進めるとともに、一括プラン請求などを活用して良質な不動産会社へ相談し、積極的に情報収集してみましょう。
(記事は2022年7月1日時点の情報に基づいています)