目次

  1. 1. 物件選定の失敗
  2. 2. 間取りの失敗
  3. 3. 過剰な借入による失敗
  4. 4. 拙速な追加投資の失敗
  5. 5. サブリース選択による失敗
  6. 6. 入居者トラブルによる失敗
  7. 7. 原状回復の失敗
  8. 8. まとめ

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賃貸経営で最も多い失敗は、物件選定による失敗です。
賃貸経営の難易度は、他のビジネスと比べれば低いですが、物件選びそのものは難しいといえます。

特に物件選定の中で立地の重要性は大きいです。
賃貸経営の成否を左右する要因は「立地」といっても過言ではなく、物件の立地を間違えてしまうとその後の賃貸経営は誰がやっても失敗します。

物件選定で間違いを犯しやすいのは、利回りの高い物件を選んでしまうケースです。
賃貸経営はハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンの関係にあり、利回りの高いハイリターンの物件を購入すると賃貸経営がハイリスクとなります。

立地の悪い物件は土地価格が安いため、賃料収入に対して投資額が小さいです。
つまり、立地の悪い物件ほど利回りが高くなっており、失敗するリスクも高くなっています。

物件選定の失敗を防ぐには、立地を重視して物件を選ぶことに尽きます。
中古物件を購入する場合、築年数は新しい方が良いですが、物件選びにおいては築年数よりも立地を重視することがポイントです。

良い物件は必然的に利回りが低くなり、その分、ローリスクであって失敗のリスクも低くなります。

物件選びに成功すれば、賃貸経営の失敗をかなり防ぐことができますので、物件は十分に時間をかけてじっくり選ぶようにしましょう。

アパートや賃貸マンションでは間取りの失敗もあります。
具体的には3LDKのようなファミリー向けの間取りを選択してしまうという失敗です。

3LDKのような広めの間取りはファミリー世帯がターゲットとなります。
広い間取りは面積も広くなるため、家賃の総額も高くなることが通常です。

毎月、高額の家賃を支払うことのできるファミリー世帯は少なく、ファミリー世帯は基本的に住宅を借りるよりも買うことを選択します。
そのため、3LDKのような広めの間取りは賃貸需要が弱く、賃貸経営に苦戦することが多いです。

一方で、ワンルームのような狭い間取りは単身世帯がターゲットとなります。
狭い間取りは面積も小さいため、家賃の総額は安くなることが通常です。

ワンルームの家賃であれば支払うことのできる単身世帯は多く、単身世帯は基本的に住宅を買うよりも借りることを選択します。
そのため、ワンルームのような狭い間取りの賃貸需要は強く、賃貸経営も安定することが多いです。

また、ワンルームは1戸あたりの家賃総額は小さいですが、面積当たりの家賃単価を高くすることもできます。
よって、収益性もファミリータイプよりもワンルームの方が高くなることが通常です。

賃貸経営では過剰な借入による失敗もあります。
賃貸経営における適切な借入額は、以下の2つの要件を満たしていることが必要です。

【適正な借入額の条件】

  • 毎年の返済額は減価償却費以内であること
  • 融資期間は耐用年数以内であること

減価償却費とは建物の取得原価を各会計期間に費用として配分するときに生じる費用のことです。
減価償却費は支出を伴わないものですが、会計上の費用であるため、節税効果があります。

賃貸経営では、借入金の元本返済額が減価償却費を超えてしまう状態のことを「デッドクロス」と呼びます。
デッドクロスの状態になると、キャッシュフロー(手残りのこと)が非常に悪くなるため、借入金の元本返済額は減価償却費以内とすることが賃貸経営の基本です。

また、減価償却費は法律で定められた耐用年数の期間内だけ計上できる費用となります。
耐用年数を超えても借入金の元本返済額が残っている場合、減価償却費が存在しないことからデッドクロスの状態となり、キャッシュフローが極めて悪化してしまいます。

そのため、借入金は減価償却費が計上される耐用年数以内で完済することが賃貸経営の基本となっています。

「毎年の借入金の元本返済額が減価償却費よりも高い」、または「耐用年数満了後にも借入金の元本返済額が残っている」という状態は借り過ぎですので避けるようにしましょう。

賃貸経営では、拙速な追加投資の失敗というのも見られます。
1棟目の投資が終わったら、2棟目、3棟目と次々に投資を行ってしまうパターンです。

拙速に追加投資を進めると、すぐに借入過剰の状態に陥ってしまいます。
1棟目の投資は借入金を抑えられたとしても、2棟目以降は自己資金が残っていないため、借入過多の状態になりがちです。

拙速な追加投資がリスクを上げてしまう理由は、自己資金が無限にないからです。
自己資金が回復しないうちに借入金によって追加投資を行えば、投資家自身が借入過剰となってしまいます。

賃貸経営で資産の急拡大は最大の御法度ですので、資産は長い時間をかけて少しずつ増やしていくようにしてください。

賃貸経営では、サブリースを選択したことによる失敗もあります。
サブリースとは転貸による管理方式のことですが、空室保証または家賃保証とも呼ばれます。

サブリースは管理委託方式よりも収益性が低いため、貸主の手残りが少なくなり、将来発生する大規模修繕の備えがしにくくなる点がリスクです。

空室保証または家賃保証と呼ばれますが、完全に空室が保証されているわけではなく、空室が増えるとサブリース会社から賃料の減額要請があります。

サブリース会社による賃料減額要請は、過去に何回も裁判で争われており、最高裁もサブリース会社の賃料減額要請を認める判決を出しています。

法律上、サブリース会社からの賃料減額要請は防ぐことはできないことから、結局のところ、貸主は間接的に空室リスクを負っているということです。

サブリースは空室リスクを排除できないのみならず、単に収益性を落としているだけでもあるため、慎重に選択する必要があります。

賃貸経営では、入居者トラブルによる失敗もあります。
入居者トラブルとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。

【入居者トラブルの例】

  • 家賃不払いが発生する
  • 夜中に騒いで住民同士や近所の住人とトラブルとなる
  • 平気で用法違反が行われる
  • 夜逃げされる

入居者トラブルを防ぐには、管理会社に適切な入居審査を行ってもらうことがポイントです。

入居審査は、厳しく行えば入居者トラブルを防ぐことができますが、厳し過ぎると逆に入居者が決まらなくなってしまいます。

入居者トラブルを避けるには、実績豊富な管理会社に管理を委託し、厳し過ぎず甘過ぎない審査を行ってもらうことが対策です。

賃貸経営で多くあるトラブルは入居者が退去に行う原状回復です。
原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」を指します。

自然に生じた「経年劣化」や通常使用することで生じる「通常損耗」は原状回復の対象となっておらず、借主に経年劣化や通常損耗まで原状回復を要求するとトラブルとなります。

原状回復に関しては、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を定めており、それが業界標準となっています。

原状回復のトラブルを回避するには、まずは貸主がどこまで借主に原状回復を要求できるのか理解しておくことがポイントです。

以上、賃貸経営の失敗について解説してきました。
賃貸経営には、「物件選定」や「過剰な借入」等の失敗が存在します。
あらかじめ想定できる失敗は、対策を取りながら回避するようにしましょう。

(記事は2022年3月1日時点の情報に基づいています。)

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