目次

  1. 1. アパート経営が個人事業になる場合とは
  2. 2. 個人事業主としてアパート経営するメリット
    1. 2-1. 青色申告を選択できる
    2. 2-2. 配偶者への給与が経費になる
    3. 2-3. 経費として計上できる項目が増える
    4. 2-4. 繰越控除できる
  3. 3. アパート経営で個人事業主になるための手続き
  4. 4. 個人事業主になる場合の注意点
  5. 5. 個人事業主と法人の比較
  6. 6. まとめ

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アパート経営では「個人事業主」として経営するという選択肢があります。この個人事業主とは、「個人で事業を営む人」のことです。サラリーマンなどは会社と雇用契約を結び、会社に属しています。それに対し、個人事業主は会社などには属さず、自ら事業を営んでいるのです。個人事業主として税務署に開業届を提出することで、誰でも個人事業主になることができます。

開業する=独立するというイメージを持っている方もいらっしゃるでしょう。個人事業主だからといって必ずしも独立する必要はなく、会社員として働きながら個人事業主として不動産アパート経営している方も多いものです。

アパート経営の場合、「貸室数が10室以上」となる場合は、事業的規模とみなされるため、開業が必要になります。ちなみに、それ以下の規模であっても開業して経営することは可能です。

個人事業主として開業しなくても罰則はありませんが、開業することでさまざまなメリットを受けられるようになります。そのため、一定規模以上になる場合は開業届を提出することでお得にアパート経営できるようになるのです。

なお、事業的規模になっている場合は、個人事業主以外にも「法人」としてアパート経営するという選択肢もあります。法人と個人事業主との比較は、後述するので参考にしてみてください。

個人事業主としてアパート経営するメリットには、以下の3つが挙げられます。

  • 青色申告を選択できる
  • 配偶者への給与が経費になる
  • 経費計上できる項目が増える
  • 繰越控除できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

青色申告とは、一定の書式の帳簿を備えて申告する確定申告の方法です。青色申告することの最大のメリットは、「青色申告特別控除」を適用できるという点にあります。青色申告特別控除を適用することで、最大65万円を所得から控除できるのです。

アパート経営の場合、その収入は基本的に「不動産所得」という所得区分に分類されます。不動産所得は一定規模以上になることで「事業的規模」に区分されるのです。青色申告特別控除で65万円の適用を受けるには、この事業的規模と認められる必要があります。それ以外の場合は、控除額は10万円となるのです。

アパート経営の場合、事業規模以上で経営して個人事業主になることで大きな控除を適用でき、節税効果を高められます。ただし、青色申告するには事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。青色申告承認申請書の提出期限は、開業から2か月以内となっているため、開業届を提出するタイミングで一緒に申請することをおすすめします。

事業的規模で青色申告することで、配偶者や家族への給与を経費計上できるというメリットもあります。給与を家族に支払えるため、所得の分配につながり、さらに経費計上することで所得額を抑えて節税効果を見込めるでしょう。ただし、経費計上するには事前に「青色専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。

また、経費として認められるのは「事業主の仕事に専従している人」への「適正な金額の給与」である点には注意しましょう。働いている実績のない人であったり、働いていても明らかに過度な給与であったりする場合は、認められない可能性が高くなります。

アパート経営の場合、不動産所得はアパートの家賃収入から必要経費を差し引いた額となります。この額に対して税金が課せられるため、節税のためには必要経費を多く計上することがポイントとなるのです。個人事業主となることで、必要経費として認められる項目が多くなるため、所得を抑えるうえで大きなメリットとなります。

個人事業主が経費として計上できるものには、次のようなものがあります。

  • 固定資産税や都市計画税
  • 保険料
  • 管理料や修繕費
  • 司法書士や税理士への報酬
  • 減価償却
  • ローンの金利部分
  • 交通費や消耗品費など

青色申告した場合、繰越控除できるというメリットもあります。繰越控除とは、その年だけでは相殺できない損失を翌年以降最長3年間繰越できる仕組みのことです。仮に、その年の赤字が300万円の場合、翌年の所得に赤字を繰り越して相殺でき、相殺しきれない部分はさらに翌年に繰り越せます。

また、不動産所得の場合は「損益通算」できるというメリットもあります。損益通算とは、不動産所得の赤字と給与所得などの黒字の所得を相殺して申告できる制度です。例えば、不動産所得の赤字が200万円で給与所得が300万円の場合、相殺した100万円を所得額として申告できます。これにより所得額の圧縮ができ、所得税・住民税の節税が見込めるのです。

損益通算は、青色申告でなくても活用できますが、繰越控除は青色申告でなければ活用できません。青色申告することで両方を活用でき、より高い節税効果を見込めるでしょう。

個人事業主として開業するための手続きは、管轄の税務署に「開業届」を提出するだけです。提出にあたり費用も必要なく、記入も手続きも簡単なので大きな手間もかからないでしょう。

原則として開業後2か月以内に提出という期限がありますが、遅れた場合でも罰則があるわけではありません。ただし、提出しなければさまざまなメリットが受けられないため、必ず提出するようにしましょう。

また、青色申告を利用する場合は、同時に「青色申告承認申請書」を提出しておけば提出し忘れることもないでしょう。

事業的規模のアパート経営の場合、「個人事業税」が課せられる点には注意しましょう。個人事業税は、所得税・住民税とは別に課せられるため、納税の負担が増えてしまいます。

個人事業税の計算方法は、以下の通りです。

個人事業税=(課税所得額-事業主控除)×税率

事業主控除は年290万円、税率は不動産貸付業の場合は5%です。仮に、不動産所得が400万円の場合は以下のようになります。

個人事業税=(400万円-290万円)×5%=5.5万円

個人事業税は自治体によって対象規模に違いがあるため、事前に確認するとよいでしょう。また、支払った個人事業税は経費計上できます。

アパート経営する場合、「個人事業主」もしくは「法人」として経営するという選択肢があります。アパート経営での法人化は、一般的に会社を設立して、その会社でアパートを所有・運用する方法です。この場合は、会社から給与という形で収入を得ます。

法人としてアパート経営するメリットには、次のようなことがあります。

  • 所得が高い場合は法人税率のほうが個人税率よりも低くなる
  • 給与を支払うことで所得の分散になる
  • 経費計上できる項目の幅が個人事業主よりも広くなる
  • 繰越控除の期間が10年になる

法人化する場合の大きなメリットとしては、所得が高い場合は節税効果が見込める点です。

個人の場合、所得に対して所得税・住民税が課せられます。それに対し、法人の場合は法人税や法人住民税などが課せられるのです。所得税は、所得額に応じて税率の高くなる累進課税制度であり、最大45%の税率が課せられます。住民税は、所得額に対して一律10%課せられるため、所得税・住民税で最大55%の税率になります。

一方、法人税などの法人にかかる税率の合計である法人実効税率は、自治体により異なりますがおおよそ30%~35%です。そのため、所得が高い人ほど法人にかかる税率のほうが低くなり、節税効果が見込めるといえるでしょう。

目安としては、所得税+住民税の税率が43%になる年収900万円以上が、法人化検討の一つのタイミングとなります。アパート経営での収入が一定規模以上になる場合は、法人化したほうがよりお得にアパート経営できる可能性があるものです。

ただし、法人化の場合、設立に費用がかかるだけでなく、維持のための費用も毎年かかってきます。これらのコストと節税効果を比較検討したうえで、法人化のタイミングを判断するようにしましょう。

個人事業主としてアパート経営するメリットについてお伝えしました。

アパート経営の規模が10室以上になるなら、個人事業主として開業する必要があります。個人事業主として経営することで節税しやすくなるといったメリットがあるので、まずは開業の手続きを進めるようにしましょう。

また、個人事業主として節税のメリットを受けるためには開業と同時に青色申告申請もするのがおすすめです。アパート経営においては、これ以外にもさまざまな方面で税金に関する知識が求められます。

本サイトを参考に、ご自分で知識をつけておくことは大切なことですが、専門家からアドバイスを受けるのも一つの方法です。

(記事は2022年5月1日時点の情報に基づいています)