駐車場経営にかかる税金の種類

例えば、親から相続した未利用の土地(空地)が売却できずに、土地所有者が駐車場経営をはじめる場合、以下のように多くの種類の税金がかかってきます。

駐車場経営にかかる税金のイメージ図
駐車場経営にかかる税金のイメージ図

土地にかかる固定資産税・都市計画税

貸駐車場の土地所有者に対しては、固定資産税が課税されます。さらに、貸駐車場が都市計画法上の市街化区域内にある場合には、都市計画税も課税されます(市街化調整区域内の場合には都市計画税は課税されません)。

固定資産税 = 課税標準額(※)× 税率1.4%
都市計画税 = 課税標準額(※)× 税率0.3%
※課税標準額は、固定資産税評価額(地価公示の約7割水準)の約70%です。自身で計算するものではなく、4月~5月に市町村から送られてくる納税通知書で確認できます。住宅用地の場合には、課税標準の特例措置(200㎡まで固定資産税評価額の1/6等)がありますが、貸駐車場の土地にはこうした特例措置はありませんので、住宅用地よりも固定資産税・都市計画税は約4~6倍程度大きくなります。

駐車場設備にかかる償却資産税

駐車場設備(アスファルト舗装、フェンス等)の所有者には、償却資産税が課税されます。

償却資産税 = 課税標準額(※)× 税率1.4%
※課税標準額は、設備ごとに取得価額から一定の算式で計算した償却費を控除して計算しますので、償却資産税は年々減少していきます。

賃料収入にかかる消費税

地面の整備等が一切ない青空駐車場の場合を除き、駐車場の利用者である賃借人からの賃料収入には、消費税が課税されます。ただし、消費税が課税されるといっても、そもそも課税売上が毎年1000万円以下であるような個人の場合、消費税の納税義務はありません。

利益にかかる所得税

賃借人からの賃料収入から各種経費(上記の固定資産税、都市計画税、償却資産税含む)を控除した残額(利益)に対しては所得税がかかります。なお、所得税の取扱いは、駐車場の経営形態や規模により異なります(以下参照)。

駐車場の経営形態・規模で異なる所得税の取扱い

駐車場の経営形態としては、大きく「時間貸し駐車場(コインパーキング)」と「月極駐車場」の2種類があり、さらに、土地所有者自身が運営管理する場合や、運営会社に一括借り上げしてもらう場合など様々な形態があります。

所得税の計算上、駐車場経営で得た利益(所得)は、その運営形態により、不動産所得、事業所得又は雑所得に区分されます。一般的には、月極駐車場は不動産所得、コインパーキングは事業所得又は雑所得という解説が多いですが、コインパーキングでも一括借り上げの場合には不動産所得になる等、個々の運営形態により区分が異なり容易に判断できませんので、実際に駐車場経営をはじめる際には税理士に相談することをお勧めします。

また、不動産所得で事業的規模の場合には青色申告控除として65万円控除が可能ですが、事業的規模でない場合には10万円控除になります。貸駐車場の場合、50台以上であれば事業的規模と判断する基準がありますが、これはあくまでも形式的な基準なので絶対ではありません。判断に迷うような場合には、税理士に相談することをお勧めします。

相続税計算上の評価額は?

将来、土地所有者に相続が発生した際の貸駐車場の土地の相続税評価は、その利用形態に応じて以下の通り異なります。賃貸用建物を建てた場合や建物所有目的で貸した場合に比べ、駐車場経営をしても土地の評価額は下がりません(ただし、一定要件を満たした場合には小規模宅地等の特例の適用はあります)。

土地所有者が自ら設備等の費用を負担して貸駐車場を経営している場合
貸駐車場の土地の相続税評価額 = 自用地評価額

駐車場設備を駐車場の利用者(賃借人)の費用で造ることを認めるような契約の場合
貸駐車場の土地の相続税評価額 = 自用地評価額 - 賃借権価額(※)
※控除する賃借権価額の評価方法は国税庁HP「貸駐車場として利用している土地の評価」を参考

駐車場経営での節税ポイント

駐車場経営の場合、できる節税も限られてきますが、一般的なものを挙げれば以下の通りです。

所得税の節税
・細かな経費の拾い漏れがないようにする。
・青色申告の承認を受け、帳簿作成して青色申告特別控除を適用する。

償却資産税の節税
自営の場合、以下のような駐車場の設備投資は償却資産税がかからないので金額に注意して設備投資する。
・取得価額10万円未満の設備
・取得価額10万円以上20万円未満の設備で、3年間一括償却を選択したもの
・市町村(区)ごとに課税標準額の合計が免税点(150万円未満)となる場合

親からの相続ですでに土地を持っている場合、駐車場に適した土地探しや借入は不要ですが、そもそもその土地で駐車場需要が見込めるのか、コインパーキングか月極駐車場か、自営か一括借り上げかなど、事前に検討するための情報収集が必要となります。自分で動いて情報収集するのはもちろんのこと、税金に関しては税理士に、駐車場経営に関しては専門の運営会社等に相談して、駐車場の経営形態を決定する必要があります。また、駐車場経営開始後は、固定資産税等の支払いの目途が立ち、時間的余裕が多少生まれますので最終的にどうするかという出口戦略も検討しておく必要があるでしょう。

(記事は2020年12月1日時点の情報に基づいています)