土地活用を考えたら複数社へプラン請求を 業者選びの注意点は?
相続した土地を有効活用したいと思う場合、その活用方法は駐車場経営やアパート経営だけでなく、店舗用に貸し出す、太陽光発電に利用するなど、さまざまな方法があります。自分の土地に一番向いた活用法を知るための手がかりとなる業者への「プラン請求」についてのポイントを、独立系ファイナンシャル・プランナー(FP)歴23年の“お金と記憶の専門家ヒッシー”こと菱田雅生が解説します。
相続した土地を有効活用したいと思う場合、その活用方法は駐車場経営やアパート経営だけでなく、店舗用に貸し出す、太陽光発電に利用するなど、さまざまな方法があります。自分の土地に一番向いた活用法を知るための手がかりとなる業者への「プラン請求」についてのポイントを、独立系ファイナンシャル・プランナー(FP)歴23年の“お金と記憶の専門家ヒッシー”こと菱田雅生が解説します。
相続で引き継いだ土地をそのままの状態で放置しておくと、毎年、固定資産税などの保有税の負担だけが続くことになります。建物が建っている場合でも、空き家状態のまま放置しておくのは、保有税の負担だけでなく、将来的にさまざまな問題が発生する可能性さえあります。土地を売却してスッキリするというのもひとつの方法ではありますが、保有し続けたいと思うのであれば、その土地の有効活用(土地活用)を考えるべきでしょう。有効活用の方法によっては、安定した収入が得られるだけでなく、固定資産税や所得税、住民税、相続税などの節税効果が得られる可能性もあるからです。
土地活用と一口に言っても、「駐車場にする」「アパートやマンションを建てて貸す」「トランクルームを設置して貸す」「太陽光発電システムを設置する」「店舗用の土地として活用する」「施設用の土地として活用する」など、選択肢は多種多様です。
初期費用がほとんどかからないものから、かなり高額な費用負担が必要になるものまでさまざまな活用方法があります。店舗用だけで考えてみても、コンビニ、ラーメン店、ファミレス、コインランドリーなど、さまざまな業態が考えられますし、施設用についても、保育園、医療施設、老人ホーム、グループホームなど、さまざま考えられます。重要なのは、その土地の大きさや形、立地条件などに合った土地活用の方法を選択することです。そうしないと、安定的な収入が得られないだけでなく、余分な出費ばかりがかさんでしまう可能性もあるからです。
例えば、人通りや車の通りの少ない土地にコンビニを建てたとしても、安定的な売上は期待できません。その土地に合った活用方法を慎重に検討していくことが重要なのです。とはいえ、土地活用に関する専門的な知識のない人が、さまざまな活用方法のメリット・デメリットを自力で情報収集しながら比較検討していくのは、大変な作業になると思います。その道の専門家に相談してしまうのが早道でしょう。相談先にも、不動産会社、ハウスメーカー、工務店、信託銀行、FP、税理士、会計士などの業者や専門家がいます。それぞれ得意分野が異なりますので、まずは複数の業者や専門家に問い合わせることが重要です。
近年では、インターネット上で複数の業者に一括でプラン請求のできるサイトも増えています。例えば、この「相続会議」の「土地活用プラン請求」のページでは、土地の住所や広さを入力することで、複数の業者にプラン請求を出すことができます(最大5社)。まずは、どんなプランが考えられるのか試してみるのもよいでしょう。
そして、提示されたプランについて関心があれば、該当の業者に質問をしてみてください。メリットだけでなく、デメリットやリスクについても聞きましょう。説明が適切で信頼できそうかどうかを判断していきます。そのうえで、複数の業者から提示されたプランについて、中立公正な専門家に客観的な意見を聞いてみるのも有効です。土地活用に詳しいFPや税理士、会計士などの専門家です。くれぐれも、プランを提示してきた業者と利害関係のない専門家に相談してください。相談費用はそれなりにかかるかもしれませんが、中立的な意見を聞けるはずです。
また、そのような専門家が見つからなかった場合は、プランを提示してきた業者に、他社のプランを見てもらって意見を聞くという方法もあります。
例えば、A社、B社、C社という3社のプランがあった場合、A社のプランをB社とC社の担当者に見せて意見を聞きます。同様に、B社のプランをA社とC社の担当者に見せ、C社のプランをA社とB社の担当者に見せるのです。おそらく普通の営業担当者であれば、自社のプランのメリットを強調してくると思います。そして、他社のプランについては、デメリットを強調してくるでしょう。結果としてそれぞれのプランのメリット・デメリットをバランスよく確認できる可能性が高まります。
中には、他社のプランのデメリットを強調せず、それぞれのプランにメリットとデメリットがあることを丁寧に説明してくれるような、お客さまの立場に立った説明をしてくれる担当者もいるかもしれません。しかし、こればかりはプラン請求をして実際に問い合わせをしてみなければわかりませんので、とにかく複数の業者にあたってみるのが無難でしょう。
土地活用の方法を決める際は、最初の費用負担が大きければ大きいほど、慎重かつ冷静にシミュレーションをし、そのシミュレーション結果をFPや税理士、会計士などの専門家に見てもらうのがよいと思います。
そのシミュレーションが本当に冷静な見積もりとなっているのか。希望的観測の多い甘い見積もりになっていないか。第三者の立場から見てもらうのは有効でしょう。できれば、業者の選定についても問題がないかどうか、客観的な意見をもらえるといいですね。業者は、必ずしも大手の業者のほうが安心だと言えるわけではありません。場合によっては大手のほうがコスト負担は重くなっている可能性もあります。もちろん、コストが安ければ何でもいいというわけでもありません。全体的なバランスを考えることが重要です。
土地活用は、うまく行えば、安定的な収入を確保することができるようになるだけでなく、税金面でもさまざまな優遇が受けられる可能性があります。しかし一方で、選択を間違えると、収入が得られないどころか、負担ばかりが重くなってしまう可能性もあるのです。是非とも、その土地に合った活用方法を、じっくりと時間をかけて探してみるようにしてください。多少のお金と時間をかけることで、本当に安心できる活用方法が見つかるのではないかと思います。
(記事は2021年1月1日現在の情報に基づきます)