1.アパートの管理方式の種類

最初にアパートの管理方式の種類について解説します。

1-1.自主管理

自主管理とは、アパートオーナーが自ら管理を行う管理方式です。
昔の下宿のようなものが自主管理の物件であり、「大家さん」が物件の近くに住んでいるようなケースでは今でもたまに見かけます。

物件がアパートオーナーの近くにあり、戸数もそれほど多くない場合は、自主管理も可能です。

自主管理は管理委託料が発生しないことから、収益性が最も高くなるというメリットがあります。
一方で、トラブルも全て自分で対処しなければならず、手間がかかる点がデメリットです。

1-2.管理委託

管理委託とは、アパートオーナーが管理会社に管理を委託し、建物所有者と入居者が直接賃貸借契約を締結する管理方式です。

管理委託は管理会社に家賃収入の5%程度の管理委託手数料を支払いますが、管理に関する内容は全て任せることができます。

管理委託のメリットとしては、家賃保証型のサブリースよりも収益性が高いという点です。
一方で、デメリットは入居者と直接賃貸借契約を締結するため、空室リスクを直接負という点になります。

尚、管理委託契約は厳密には空室を埋める賃貸仲介業務を含まないことから、管理委託契約とセットで賃貸代理の契約を締結することが一般的です。
賃貸代理とは、管理会社が貸主の代理人となって、賃貸借契約等を締結する業務となります。

1-3.サブリース

サブリースとは転貸による管理方式のことです。
アパートオーナーはサブリース会社(管理会社)にアパート一棟を一括で貸し出し、サブリース会社が各入居者と転貸借契約を締結します。

アパートオーナーとサブリース会社の一括借り上げの賃貸借契約のことをマスターリース契約と呼びます。
また、サブリース会社と各入居者の転貸借契約のことをサブリース契約と呼びます。

サブリースには、「パススルー型サブリース」と「家賃保証型サブリース」の2種類があります。

パススルー型サブリースとは空室に応じて賃料が変動するタイプのサブリースで、家賃保証型サブリースは空室が生じても賃料が変動しないタイプのサブリースです。

パススルー型サブリースでは、サブリース会社が入居中の部屋の家賃から5%程度の手数料を差し引いた賃料をアパートオーナーに振り込みます。
パススルー型サブリースの収益性は管理委託と同じです。
契約形態が賃貸借契約か、管理委託契約かだけの違いとなります。

一方で、家賃保証型サブリースでは、サブリース会社が満室想定の家賃から15%程度の手数料を差し引いた固定の賃料をアパートオーナーに振り込みます。

家賃保証型サブリースは空室に関わらず賃料が毎月固定になる点がメリットですが、収益性がパススルー型サブリースや管理委託よりも低い点がデメリットです。

尚、家賃保証型サブリースでも、空室が多く発生し続ければサブリース会社から賃料の減額要請があるため、アパートオーナーは間接的には空室リスクを負っていることになります。

2.管理業務の内容

管理会社の管理業務の内容について解説します。
管理委託やサブリースに関わらず、管理の業務は基本的に同じです。

2-1.鍵の管理

管理会社は、鍵の管理を行います。
鍵は管理会社がアパートオーナーから預かっているものであり、新しく入居者が決まると管理会社が入居者に鍵を引き渡します。

また、入居者が退去したら、鍵交換の手配等を行います。
鍵の交換費用は貸主側で負担することが通常です。

2-2.クレーム対応

管理会社は、入居者からのクレーム対応も業務の一つです。
新しく入居者が決まると、管理会社は入居者に対して「館内規則」や「入居のしおり」に記載されたルールの周知徹底を図ります。

また、入居中に不具合が発生した場合、管理会社が一次対応をします。
クレームの内容としては、「設備の不具合」や「他の居住者のマナー違反」、「賃料の減額要求」等があります。
さらに、漏水や火災等が発生した場合に緊急対応することも管理会社の業務です。

2-3.設備業者・清掃業者等の手配

管理会社は、設備業者や清掃業者、警備会社等の外部の会社への手配も行います。
設備の点検や不具合が生じた場合には、管理会社が設備業者に依頼して点検や補修を行うことになります。

また、規模の大きな物件では、清掃や警備を管理会社が外部の会社にアウトソーシングすることもあります。

2-4.家賃の入出金管理

家賃の入出金管理は管理会社の日常的な業務です。
借主の家賃は一旦管理会社の口座に振り込まれ、管理委託料が差し引かれた金額がアパートオーナーに送金されます。

借主からの入金の有無は管理会社が確認しますので、アパートオーナーは借主からの入金についていちいち確認しなくても良いという点がメリットとなります。

2-5.家賃の督促業務

入居者からの家賃不払いが生じた場合、督促業務は管理会社の業務です。
督促業務は後で裁判になることも想定し、適切なステップで行う必要があることから、専門的な知識を要します。

賃貸借契約は家賃の不払いが生じてもすぐに解除できず、一般的には3ヶ月程度家賃の不払いが生じないと契約解除事由にならないとされています。
貸主側は、不払いの間に適切な督促を行った証拠を積み上げていくことが必要です。

2-6.契約更新手続き

入居者が更新の希望を申し出てきた場合、契約更新の手続きを行うことも管理業務となります。

更新料の取り決めがある場合は、借主から更新料を徴収します。
また、更新契約書や覚書の書面を作成することもあります。

2-7.原状回復の確認

退去時の原状回復の確認も管理会社の業務です。
借主が負う原状回復義務とは、借主の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、退去時に、借主の故意・過失や善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用など、借主の責任によって生じた損耗や傷を復旧することであると定められています。

昨今の原状回復に関しては、国土交通省が開示している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて判断することが一般的であり、一定の専門知識を要する業務となっています。

3.賃貸代理の業務内容

管理会社が行っている入居者募集等の業務は、宅地建物取引業法の免許を必要とする賃貸仲介であり、厳密には管理業務とは異なります。
ここでは、管理委託とセットで賃貸代理を依頼しているときの賃貸代理の業務内容について解説します。

3-1.入居者募集

空室が生じたら、インターネット等に広告を出して新しい入居者を募集します。
適切な賃料を調査し、必要があれば貸主の了解のもとに募集賃料を引き下げることもあります。

3-2.物件の案内・入居審査

入居希望者から問い合わせが来たら物件の案内を行います。
管理会社は入居希望者が適切な借主かどうかの入居審査も行います。

入居審査は、収入証明書等の書面による審査だけでなく、物件案内時の受け答え等からも人柄を判断していることが通常です。
そのため、管理会社は物件の案内をしながら入居審査も行っていることになります。

3-3.契約締結業務

入居者が決まれば、賃貸借契約を締結します。
昨今は、借主に家賃保証会社への加入を義務付けることが多いです。

家賃保証会社とは、借主が家賃の不払いを発生したときに保証してくれる会社のことです。
家賃保証会社の紹介や加入手続きも管理会社が行います。

まとめ

以上、アパートの管理業務について解説してきました。
管理方式には、「自主管理」と「管理委託」、「サブリース」の3種類があります。

管理業務の内容には、「クレーム対応」や「家賃の入出金管理」等があり、賃貸代理の業務内容には「入居者募集」や「契約締結業務」等がありました。

管理業務も把握することで管理会社の役割期待がわかりますので、依頼先を選定するときに役立てていただければと思います。

(記事は2021年11月1日時点の情報に基づいています。)