目次

  1. 1. 委任状とは
  2. 2. 不動産売却で委任状が用いられるケース
  3. 3. 委任状では不動産売却ができないケース
  4. 4. 委任状作成時の注意点
    1. 4-1. 書式は自由
    2. 4-2. 本人と代理人の名前と住所を記載する
    3. 4-3. 委任事項を限定すること
    4. 4-4. 「一切の件」という表現は使わないこと
    5. 4-5. 委任した日付を記載すること
    6. 4-6. 実印を用いて印鑑証明書も添付すること
    7. 4-7. 捨印を押印しないこと
  5. 5. 委任状による不動産売却でも本人の売却意思の確認は必要
  6. 6. まとめ

委任状とは、代理人に代理権があることを証明する書類のことです。
代理人とは、本人に成り代わって法律行為ができる人のことであり、代理人が行った法律行為の効果は本人におよびます。

法律行為とは、例えば不動産の売買等が該当します。
本人AがBに不動産売却に関する代理権を与えた場合、Bは代理人としてAの不動産を売ることができます。

代理で不動産を売却するには、取引の相手方である買主に対し、BがAの代理人であることを明らかにしたうえで行うことが必要です。
この代理人であることを明らかにすることを「顕名(けんめい)行為」と呼びます。
委任状は、売買契約時の顕名行為のために必須となる書類です。

代理人には主に「法定代理人」と「任意代理人」の2種類があります。
法定代理人は、成年後見人や未成年者の親権者等の法律で定められた代理人のことです。

それに対して、任意代理人とは法定代理人以外の任意で委任された代理人のことを指します。
任意代理人は本人が自由に指名できるため、誰でもなることができます。

代理人というのは、使者とは異なる点がポイントです。
使者とは、本人の意向を伝えるだけの人であり、その場で判断はできない人になります。

一方で、代理は本人に成り代わって法律行為ができる人であり、その場で判断をすることが可能です。

例えば、買主が値引きを要求してきた場合、使者は本人の意思を確認する必要がありますが、代理人は本人の意思を確認せずにその場で値引きに応諾できる立場にあります。
代理人は基本的に本人と同じであり、権限が非常に強いという点がポイントです。

不動産の売買契約時は本人が立ち会うことが原則です。
ただし、事情によっては本人が売買契約に立ち会えないケースがあります。

例えば、以下のようなケースでは委任状を用いて代理による売買が行われることもあります。

【不動産売却で委任状が用いられるケース】

多人数で共有する物件を売る場合、全員が不動産売買に立ち会えないことがあります。
共有物件を売るケースでは、共有者の1人が他の共有者の代理人となって売却するケースが多いです。

また、遠方の不動産を売る場合や本人が入院等でやむを得ず売買契約に立ち会えない場合には、親族が代理人となって売却することもあります。

委任状では不動産売却ができないケースとしては、例えば本人が成年被後見人である場合が挙げられます。
成年被後見人とは、認知症等の本人に判断能力がない人のことです。

成年被後見人は本人に判断能力がないため、そもそも他人に代理権を与えるという判断を正常に行うことができません。

そのため、本人が成年被後見人である場合には、委任状を使った任意代理人による売却ができないことになります。

成年被後見人が不動産を売却する場合には、裁判所によって指定された成年後見人が法定代理人となって売却を行います。

委任状作成時の注意点について解説します。

まず委任状の書式は自由であるという点がポイントとなります。
縦書きや横書きでも構いませんし、メモ用紙に自筆しても、パソコンで記載しても有効です。
何らかの形式要件を満たさないと無効になるものではないため、逆に怖いといえます。

特に専門知識のない人が書いても有効となってしまうことから、代理人に権限を与え過ぎないようにすることが重要です。

委任状では、本人と代理人の名前と住所を記載します。
委任状では本人のことを「委任者」、代理人のことを「受任者」と表現します。

名前だけだと同姓同名の人も存在するため、委任者と受任者を確実に特定するために「住所」も記載することが一般的です。

委任状は、代理人の権限を拡大解釈されないために委任事項を限定することがポイントです。
委任事項とは代理人に依頼する内容のことになります。

不動産売却の場合、まず対象となる物件を正確に表示します。
次に、売買契約の骨子となる条件の部分を明記し、代理人に判断の余地を与えないようにすることがコツです。

【委任状に記載すべき骨子の部分】

売買金額や引渡の時期等の基本的なことを明記しておけば、代理人がその場で値引きに応じるような判断ができなくなります。

「一切の件」という曖昧な表現は使わないことがポイントです。
例えば「自宅売却に関する一切の件を委任する」と記載してしまうと、代理人の権限が無限に広がってしまいます。

代理人にその場での判断余地を与えないためにも、突発的な事項が生じた場合に備え、委任状では以下のような注意書きを記載しておくことが適切です。

【委任状に記載すべき注意書き】

委任状には、「委任した日付」を記載することもポイントです。
日付によって代理権がいつから存在していたのかを明らかにすることができ、不動産の売買契約の有効性を証明しやすくなります。

委任状は、実印を用いて印鑑証明書も添付することが望ましいです。
委任状はそもそも書式が自由であるため、三文判で押印しても構いませんし、印鑑証明書も添付しなくても有効となります。

しかしながら、三文判で押された委任状は高額な取引の不動産売買には馴染まないことから、実務では実印による押印と印鑑証明書の添付まで求められることが一般的です。

買主の信用を得ることが重要ですので、簡素過ぎる委任状は作らないことがポイントとなります。

委任状には捨印を押印しないことがポイントです。
捨印とは、あらかじめ委任事項の訂正に備えて、委任状の余白部分に行う押印のことを指します。

捨印が押された委任状は、その場で代理人が訂正して新たに委任事項を加えることができてしまいます。
勝手に売買条件が変更されてしまうため、捨印は絶対に押さないようにしてください。

委任状による不動産売却でも、本人に売却意思があるかどうかを直接確認することは必要です。
本人に確認を行う人は、「不動産会社」もしくは「買主」となります。

本人の意思確認が必要な理由は、委任状が捏造されたものでないことを把握するためです。
例えば代理人が親族であれば、実印や印鑑証明書が簡単に入手できてしまいます。

捏造された委任状によって取引すれば詐欺になってしまうことから、事前に本人の意思確認を行って万全を期すことが必須なのです。

以上、不動産売却の委任状の注意点について解説してきました。
委任状は、任意代理人が顕名行為を行うために必要な書類です。
共有名義の不動産を売る場合は、共有者の一人が代理人となるケースがあります。

本人が成年被後見人である場合には、委任状を使って任意代理人が不動産を売却することはできません。

委任状作成時の注意点としては、「本人と代理人の名前と住所を記載する」、「委任事項を限定すること」等がありました。
委任状による不動産売却でも事前に本人の売却意思を確認することは必要です。
任意代理人によって売却をする場合には、注意点を意識した上で委任状を作成しましょう。

(記事は2021年10月1日時点の情報に基づいています。)

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