目次

  1. 1. 不動産売却に適した時期
    1. 1-1. 市況が上昇している時期
    2. 1-2. 引っ越しシーズンに合わせた時期
    3. 1-3. 築年数で売りやすい時期
  2. 2. 確定申告で税金を納税する時期
  3. 3. まとめ

不動産売却に適した時期について解説します。

市況が上昇している時期は、不動産を高く売ることが期待できます。以下に首都圏における中古のマンションと戸建ての過去20年間の価格の推移を示します。

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2006.pdf)( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2016.pdf)( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2020.pdf)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2006.pdf) (http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2016.pdf) (http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2020.pdf)

マンションは価格が上昇傾向にあります。戸建ても総じて上昇傾向が続いている状況です。昨今は住宅ローンの金利が低い状況が続いていることから、2021年においても不動産は売りやすい時期であると言えます。

引っ越しシーズンに合わせた時期は取引件数が伸びやすいため、売却しやすい環境にあります。引っ越しシーズンは、主に4月と10月であることから、毎年3月と9月は取引件数が伸びて売却しやすくなります。参考までに首都圏における月別の取引件数を示すと以下の通りです。

新型コロナウイルスの影響を考慮し、2019年の取引件数を示します。

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch2019(令和1)年12月度」( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201912data.pdf)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch2019(令和1)年12月度」 (http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201912data.pdf)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch2019(令和1)年12月度」( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201912data.pdf)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch2019(令和1)年12月度」 (http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201912data.pdf)

不動産の売却にはトータルで5~6カ月程度かかるため、前年の10~11月に売却をスタートさせると、翌年の3月ごろに引き渡しを行うことができます。

築年数で売りやすい時期は、一般的には木造の戸建ては築20年以内、マンションは築25年以内とされています。理由としては、築20年以内の木造戸建てと築25年以内のマンションは、買い主が住宅ローン控除を利用できるからです。住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて家を購入すると一定期間所得税が節税できる制度のことを指します。

以下に首都圏における中古マンションと中古戸建ての築年数別の在庫物件と成約物件の割合を示します。

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202102.pdf)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202102.pdf)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202102.pdf)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202102.pdf)

築25年以内の物件は、成約物件の割合が在庫物件の割合を上回っている状況です。築25年以内の物件は品薄状態であり、よく売れていることになります。逆に築25年超となると、在庫物件の割合が成約物件の割合を上回るようになります。築26年以上の物件は過剰状態であり、売れにくいということです。一般的に売りやすい築年数は住宅ローン控除が利用できる年数であり、木造戸建てなら築20年以内、マンションなら築25年以内となります。

【コラム】~コロナで不動産売却時期はどう影響する?~
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、不動産の売却時期を逃したのではないかと心配している方もいらっしゃると思います。結論からすると、2021年9月時点においては、新型コロナウイルスの影響は、ほぼ脱したといえます。

以下に、2020年1月から2021年7月までの首都圏における中古マンションと中古戸建ての「価格(マンションは単価)」と「取引件数の前年比」の推移を示します。

出典:首都圏成約単価・取引件数「公益財団法人東日本不動産流通機構」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202107_summary.pdf)( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202101_summary.pdf)
出典:首都圏成約単価・取引件数「公益財団法人東日本不動産流通機構」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202107_summary.pdf) (http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202101_summary.pdf)
出典:首都圏成約単価・取引件数「公益財団法人東日本不動産流通機構」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202107_summary.pdf)( http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202101_summary.pdf)
出典:首都圏成約単価・取引件数「公益財団法人東日本不動産流通機構」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202107_summary.pdf) (http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202101_summary.pdf)

マンションも戸建ても第1回の緊急事態宣言が出た2020年4月と5月に大きく落ち込みましたが、その後は堅調に上昇傾向が続いています。2021年に入ってからは新型コロナウイルスの感染拡大の影響はほとんどなく、売りどきの状況が続いている状況です。

この章では、確定申告で税金を納税する時期について解説します。不動産の売却では、以下の税金が発生します。

【不動産の売却で生じる税金】

  • 印紙税
  • 抵当権抹消の登録免許税
  • 所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税

税金の発生時期の流れを示すと下図の通りです。

印紙税は売買契約書に貼り付ける印紙のことを指し、売買契約時に生じます。印紙税は売買契約書に記載される売買代金によって決まり、売買代金が1,000万円超5,000万円以下なら1万円、5,000万円超1億円以下なら3万円です。

売却する不動産に住宅ローン等の抵当権が設定されているときは、抵当権抹消のための登録免許税が生じます。抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。抵当権の抹消は、引き渡しと同時のタイミングで行うため、引渡時に発生します。司法書士に代行してもらう場合は、引き渡しの前に登録免許税を司法書士に預けることが通常です。

所得税および復興特別所得税、住民税は譲渡所得が発生したときに生じます。譲渡所得が発生しない場合には、所得税と復興特別所得税、住民税は生じないことになります。

譲渡所得は以下の式で求められるものです。

譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用

譲渡価額とは売却価額のことです。

取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。減価償却費とは、一定の算式で計算される会計上の費用のことです。

譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費などの売却に直接要した費用になります。

譲渡所得が発生している場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行うことが必要です。売却による所得税等は、納税通知書が勝手に送られてくるものではなく、自分で確定申告を行わなければならない自己申告制となっています。所得税と復興特別所得税に関しては、確定申告時に納税手続きも行います。住民税については、確定申告をした内容に基づき、売却の翌年に課税されます。給与所得者の場合、会社が源泉徴収をしてくれるため、特に納税手続きは不要です。

一方で、譲渡所得が発生していない場合(譲渡所得がマイナスとなる場合)は、確定申告は不要です。若干気持ち悪いですが、特に何もする必要もなく、税金も生じないことになります。

税務署は登記移動記録によって売買が行われたことを把握しています。また、不動産の相場もある程度把握しており、未申告者のうち、売買時期等から譲渡所得が発生している可能性のある人を推測できます。

そのため、売却後に確定申告を行わなかった人のうち、一部の人に対して売却後に税務署から「お尋ね」というアンケートシートが来る場合があります。譲渡所得が発生していない場合は、「お尋ね」に正直に回答すれば大丈夫です。「お尋ね」が来ない場合には、税務署も今回の売却では譲渡所得は発生していないだろうと推測していることになります。

なお、マイホームの売却では「3,000万円特別控除」などの節税ができる特例があります。3,000万円特別控除を使うと、結果的に税金が生じないことが多いです。ただし、3,000万円特別控除等の特例を使う場合は、「確定申告が必要」となります。つまり、特例を使う場合は税金の有無に関係なく、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告が必要になるということです。

また、マイホームの売却では譲渡所得がマイナスのときに税金の還付を受けられる特例もあります。譲渡所得がマイナスであっても、特例を使う場合には、同様に売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に「確定申告が必要」です。つまり、確定申告が不要な人は、「譲渡所得が発生しておらず、かつ、特例も利用しない人」となります。言い換えると「納税が必要な人」または「特例を使う人」は確定申告が必要になるということです。

不動産売却の時期について解説してきました。不動産の売却は、「市況が上昇している時期」や「引っ越しシーズンに合わせた時期」、「住宅ローン控除が利用できる築年数」のタイミングが売却しやすいと言えます。また、売却によって税金が発生する場合には、売却の翌年の2月16日から3月15日に確定申告を行って納税する必要があります。不動産売却の適切な時期がわかったら、早速に査定を依頼することから始めてみましょう。

(記事は2021年10 月1日時点の情報に基づいています)

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