目次

  1. 1. 不動産売却全般の注意点
    1. 1-1. スケジュールに十分な余裕を持つ
    2. 1-2. 複数の不動産会社に査定を依頼する
    3. 1-3. 安易に専任媒介契約を選択しない
    4. 1-4. 欠陥は正直に告知する
    5. 1-5. 住宅ローンの仮審査に通っている人と契約する
  2. 2. ケース別にみる不動産売却の注意点
    1. 2-1. 相続時の売却の注意点
    2. 2-2. 離婚時の売却の注意点
    3. 2-3. 個人売買の売却の注意点
  3. 3. まとめ

最初に不動産売却全般の注意点について解説します。

不動産の売却ではスケジュールに十分な余裕を持つことがポイントです。

不動産の売却は順調に進んでもトータルで6カ月近くの時間を要します。特に販売開始から売買契約の締結までに時間がかかり、この期間は標準で3カ月程度です。場合によっては半年近く売れないこともあります。売却までの期間に余裕がないと、焦って安く売る「売り急ぎ」と呼ばれる現象につながります。売り急ぎにならないようにするためにも、ゆとりを持ったスケジュールを確保しておくことがポイントです。

不動産の売却では、売買契約から引き渡しまで1カ月程度の期間を空けます。買い主はその間に住宅ローンの本審査を通します。住宅ローンの審査には売買契約書が必要となるため、買主の住宅ローンの本審査は売買契約の「後」となってしまうのです。

不動産を売却するには、最初に複数の不動産会社に査定を依頼し、高く売ってくれる不動産会社を探すことがポイントです。査定価格は不動産会社によって異なりますので、複数の不動産会社の意見を聞いてみることが、損をせずに売るコツとなります。

不動産の売却では、安易に専任媒介契約を選択しないという点もポイントとなります。

媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。媒介契約には、「専任媒介」と「専属専任媒介」、「一般媒介」の3種類があります。専任媒介または専属専任媒介は1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約です。それに対して、一般媒介は複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約を指します。

専任媒介または専属専任媒介は、1社の不動産会社にしか依頼できないことから、囲い込みを受けるリスクがあります。囲い込みとは、売り主から依頼を受けた不動産会社が自社で買主を見つけることにこだわり、他社からの買い主のあっせんを断ることです。囲い込みがなされてしまうと売却が長期化し、高く売却できない可能性も出てきます。囲い込みを避けるには、一般媒介によって複数の不動産会社に依頼して情報をオープンにすることが効果的な対策です。

複数の不動産会社に売却を依頼すれば、売却が1社の不動産会社の力に依存してしまうリスクを避けることもできます。媒介契約は安易に専任媒介または専属専任媒介を選択するのではなく、一般媒介も十分に検討した上で選択することをおすすめします。

不動産の売却では、欠陥は正直に買い主へ告知することがポイントです。不動産の売り主は契約不適合責任と呼ばれる売り主責任を負います。

契約不適合責任とは、「契約の内容に適合しない場合の売主責任」のことを指します。売り主は契約不適合責任によって、契約内容とは異なるものを売ると、売却後に買い主から追完請求(修補請求)や契約解除、損害賠償といった責任追及をされる可能性があります。

契約不適合責任は、契約内容とは異なるものを売ったときの責任であるため、逆に欠陥を売買契約書に明記し、買い主に了承を得た上で売却すれば避けられる責任となります。売主が知っている欠陥は隠さずに買い主へ告知し、契約書にしっかり記載することがポイントです。

不動産の売却では、住宅ローンの仮審査に通っている人と契約することも注意点です。

買い主の住宅ローンの本審査は売買契約後に行われるため、買い主が本審査に通らなかった場合、売買契約が解除されるリスクがあります。つまり、売買契約が成立しても、買い主の住宅ローンの本審査が通過するまでは、売主の立場は不安定であるということです。住宅ローンの審査に通らないことによる契約解除のリスクを抑えるには、住宅ローンの本審査に通る可能性の高い人と売買契約を締結することが適切な対策となります。

具体的には売買契約の前に、住宅ローンの「仮審査」に通った人とのみ契約を行うことが効果的な対策です。仮審査には売買契約書の提出は不要ですので、売買契約の前でもできます。仮審査に通過した人は、本審査にも通過する可能性が高いと考えられます。不動産会社には事前に「仮審査に通っている人のみと契約したい」と伝えるようにしましょう。

この章ではケース別にみる不動産売却の注意点について解説します。

相続時の売却の注意点は以下の2点になります。

【相続時の売却の注意点】

相続した物件を売却するには、購入希望者に対し売り主が誰かを明確にする必要があるため、売却前に名義変更を行うことが必要です。

相続物件の名義変更の方法としては、「法定相続」と「遺産分割協議による分割」、「遺言による分割」の3種類があります。法定相続とは法定持分で共有した状態のままの名義変更すること、遺産分割協議とは相続人の話し合いによる名義変更すること、遺言とは遺言書に基づく名義変更をすることをそれぞれ指します。また、相続税の納税のために不動産を売却する人は、期限を意識することも重要です。相続税の納税期限は相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内となります。売却を開始してから現金化できるまでの期間を6カ月と考えると、遅くとも相続後4カ月目から売却をスタートすることが望ましいです。

離婚時の売却の注意点としては、財産分与を目的とする場合は離婚「後」に売却することが考えられます。財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を分配することを指します。離婚「前」に売却し、その財産を分けてしまうと贈与に認定されてしまいます。贈与と認定されると、財産をもらった側に贈与税が生じます。離婚「後」に売却すれば贈与税はかかりませんので、財産分与を目的とした売却であれば離婚後に行うことがポイントです。

個人売買の売却の注意点は、「取引を個人売買に適したものに限定する」という点です。

不動産の売り主は契約不適合責任を負います。仲介を入れた売買であれば、不動産会社が売い主に不測の損害が及ばないように配慮した売買契約書を作成してくれます。しかしながら、個人売買の場合、売り主に法律知識が浅いと契約書に記載漏れが生じ、売却後に契約不適合責任を追及されてしまう可能性があります。契約不適合責任を追及されないようにするには、買い主をあらかじめ「物件を良く知っている人」または「敵対的な責任追及をしてくる可能性の低い人」に限定することがポイントです。

例えば、個人売買でも良いと思われる取引としては以下のようなものがあります。

【個人売買でも良いと考えられる取引】

全く知らない第三者に不動産を売るようなケースは個人売買に適さないため、不動産会社に仲介を依頼すべき取引といえます。

以上、不動産売却の注意点について解説してきました。不動産売却の注意点としては、「スケジュールに十分な余裕を持つ」や「複数の不動産会社に査定を依頼する」といった点があげられます。大切な資産の売却では、注意点を意識しながら進めていただければ幸いです。

(記事は2021年8月1日時点の情報に基づいています)

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