目次

  1. 1. 売り出し価格と成約価格の違い
    1. 1-1. 都市圏の成約価格の推移
  2. 2. 不動産売却相場の調べ方
    1. 2-1. 戸建てとマンションの売却相場の調べ方
    2. 2-2. 土地の相場は『土地総合情報システム』で
    3. 2-3. マンションの相場はサイトやチラシで
  3. 3. 相場を調べるための注意点
    1. 3-1. 事例との要因の違いを意識する
    2. 3-2. 比較は「単価」で行う
    3. 3-3. 自分の調査結果を過信しすぎない
  4. 4. まとめ

相場を調べるにあたっては、最初に「売り出し価格」と「成約価格」の違いを知ることがポイントです。

「売り出し価格」とは、チラシやインターネット広告に記載されている価格を指します。一方「成約価格」とは、実際に取引が行われた価格のことです。

不動産の売買では、売主と買主との間で値引き交渉などもあり、売り出し価格と成約価格が異なることがよくあります。売り出し価格は、インターネット上の物件広告やチラシなどで知ることができますが、成約価格は売買当事者と不動産会社しか知りえない価格です。

実際の相場は成約価格の相場水準のことを指すため、一般の方は不動産の相場を把握しにくくなっています。また、売り出し価格と成約価格との差は、土地や戸建て、マンション等の物件の種類によっても異なります。

『公益財団法人東日本不動産流通機構』によると、首都圏における過去10年間の土地と戸建て、マンションの売り出し価格と成約価格の推移は以下の通りです(グラフ内のパーセントは成約価格の売り出し価格に対する割合)。

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」 

成約価格の売り出し価格に対する割合を過去10年間の平均で見ると、土地は「93%」、戸建ては「80%」、マンションは「101%」となっています。

土地は、成約価格が売り出し価格に対して1割程度低いという結果です。戸建ては、成約価格が売り出し価格よりも2割程度も低くなります。マンションは、成約価格と売り出し価格との間にほとんど差はありません。

売り出し価格と成約価格との差は、物件の種類によって異なるため、チラシやインターネット広告の売り出し価格から相場を把握するときは、売り出し価格と成約価格との違いを意識することがポイントです。

次に、不動産売却相場の調べ方について解説します。

戸建てとマンションの相場を調べるには『レインズマーケットインフォメーション』が適切です。

『レインズマーケットインフォメーション』は、成約価格を元に相場情報がデータベース化されたサイトであり、もっとも信頼できます。

『レインズ』とは、全国の不動産会社しか見ることのできない取引情報のデータベースのことです。レインズは国土交通省が指定する『不動産流通機構』が管理している公的なサイトになります。

不動産会社は、自社が関わった仲介が成約すると、その情報を『レインズ』に登録します。
『レインズマーケットインフォメーション』は、全国の不動産会社から集まった成約価格の情報を集計し、地域の相場がわかるようにしています。

ただし、実際の物件は特定されないようにデータが加工されているため、成約価格といってもある程度の内容までしかわかりません。そのため、地域や最寄り駅、面積、間取り、築年数等の条件を絞り込み、自分の物件と近い条件の事例から相場を推測することになります。

土地の場合は、『土地総合情報システム』で調べましょう。

先述した『レインズマーケットインフォメーション』には、残念ながら土地だけを調べる機能がありません。もし土地だけを調べたいのであれば『土地総合情報システム』がおすすめです。『土地総合情報システム』は、国土交通省が運営している公的なサイトです。
『土地総合情報システム』も土地の成約価格がわかるサイトとなっています。

不動産の売買を行うと、国土交通省は売買当事者に対して価格のアンケート調査を行います。そのアンケート調査の結果は、実際の物件が特定されないように加工され、データとして公表されています。それが『土地総合情報システム』です。

『土地総合情報システム』でも、戸建てやマンションの相場を調べることができますが、『レインズマーケットインフォメーション』に比べると使いにくいです。そのため、戸建てやマンションの相場を調べるなら『レインズマーケットインフォメーション』の方がおすすめとなります。

マンションは売り出し価格と成約価格にほとんど差がないため、マンションならポータルサイトやチラシで調べても相場を把握することができます。ポータルサイトとは、物件の広告サイトのことです。

ポータルサイトやチラシで相場を調べる場合、特に参考になるのが同じマンション内にある他の部屋の売り出し中の物件です。同じマンション内の物件は、ポストにチラシが入っていることが多いです。マンションを売却するのであれば、チラシは大切に保管し、どの部屋がいくらで売りに出ているのか把握しておくといいでしょう。

不動産の相場を調べるにも、以下のように注意点がいくつかあります。

相場を調べる際は、参考にした事例と要因の違いを意識することがポイントです。一般的に、自分の物件と事例とは、以下のような要因が異なり、それぞれ価格に影響を与えています。

【価格に影響を与える主な要因】

価格に影響を与える要因は、複合的に価格を左右します。例えば、事例が対象物件よりも駅からの距離が離れていれば価格が低いですが、建物の築年数が浅ければ価格は高くなります。

事例の中には対象地よりも劣る部分と優る部分の両方が複合的に含まれているため、事例から価格を推測することは基本的に難しいのです。

事例との比較は「総額」ではなく「単価」で行うことが基本です。

対象物件の総額を把握するには、事例から相場の単価を算出し、その単価に対象物件の面積を乗じることである程度の推定ができます。

マンションは専有面積、土地は敷地面積を使って単価や総額を計算することができます。一方で戸建ての場合、面積に建物面積または土地面積のどちらを使うべきか迷うところですが、一般的には建物面積で割った単価を比較することが多いです。

ただし、建物面積を使ってしまうと土地の広さはまったく考慮されないため、総額は実際の価格と大きくずれてしまうこともあります。そのため、建物の相場を把握するときは、土地の広さができるだけ近い事例同士で比較することがポイントです。

相場を調べるときは、自分の調査結果を過信し過ぎないことも重要です。マンションなら同じマンション内の売り物件から、それなりに正確な相場を把握することができます。土地は、対象物件と条件の似た事例があれば、相場を把握できるケースもあります。

しかし、戸建てに関しては相場の把握は実際にはかなり難しいです。戸建ての相場は自身で一生懸命に調べても、大きく外れてしまう可能性があります。そのため、相場の調査はある程度調べれば十分であり、ほどほどに終わらせることも適切な判断となります。

妥当性のある価格は、複数の不動産会社から査定を取り寄せて比較すれば見えてきます。
相場調査にはあまり時間をかけ過ぎずに、不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。

以上、不動産売却の相場について解説してきました。

不動産売却相場は、「レインズマーケットインフォメーション」や「土地総合情報システム」で調べることができます。

相場を調べるための注意点としては、「事例との要因の違いを意識する」ことや「自分の調査結果を過信し過ぎない」といった点があります。相場の調査方法がわかったら、早速に調べてみて、妥当性のある価格を出してみましょう。

(記事は2021年7月1日時点の情報に基づいています。)

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