目次

  1. 1. 土地売買契約の流れ
  2. 2. 公簿売買と実測売買
    1. 2-1. 公簿売買とは?
    2. 2-2. 実測売買とは?
  3. 3. 土地売買契約書のチェックポイント
    1. 3-1. 確定測量図の引き渡しの有無
    2. 3-2. 印紙の負担
    3. 3.3 登記費用負担の取り決め
    4. 3.4 手付解除およびローン特約による解除の期限
    5. 3-5. 契約不適合責任の内容
  4. 4. まとめ

最初に土地売買契約の流れについて解説します。

宅地のような土地の場合、売却前に土地の測量を終わらせておくことが基本です。ここでいう測量とは、境界を確定する確定測量のことを指します。すでに境界が確定してれば測量は不要です。

土地の査定を行い、不動産会社と媒介契約を締結したら、販売活動の開始です。媒介契約とは不動産会社に依頼する仲介の契約のことを指します。土地の売却では、売りに出してから買主が決まるまで、3ヶ月程度の時間がかかります。

購入希望者が現れたら、買付証明書を受領します。買付証明書とは、買主が購入意思を正式に意思表示した書面のことです。

買付証明書を受領しても売買が成立するわけではありません。買付証明書には、買主の購入希望価格が記載されており、いわゆる値引き交渉がこの段階で行われます。

買主の購入希望価格が許容できる範囲であれば応諾し、売買契約書の締結に向けて動きます。売買契約書を締結したら、正式に売買契約の成立です。

売買契約では、売主は買主から手付金を受領します。不動産の売買では、売買契約から引き渡しまでの期間を1ヶ月程度設けることが一般的です。

買主は、引き渡しまでの間に手付金を放棄することで契約を解除することもできます。
引き渡しまでの間に契約解除できる期限は、売買契約から2週間程度を目処とすることが通常です。

また、土地の売買では売主に境界の明示義務があり、引き渡しの直前に買主に対して境界を指示して伝えることが一般的となっています。

引き渡しでは、売主は買主から手付金を除いた残金を受領します。土地の所有権は、残金を受領した段階で初めて買主へ移転します。

つまり、売買契約を締結した段階では所有権はまだ売主にあり、引き渡しの段階になって所有権はようやく買主へ移転するということです。

土地の売却で税金が生じる場合には、売却した翌年の2/16~3/15の間に確定申告を行います。

土地の売買には、「公簿売買」と「実測売買」の2種類があります。
土地の売買契約書は実測売買と公簿売買で異なることが一般的ですので、まずはどちらの方式で取引するかを買主と協議して決めることがポイントです。

「公簿売買」とは、登記簿に記載された面積を売買対象面積とし、売買代金の総額も決定してしまう売却方法です。公簿売買は、例えば山林や原野、田、畑などの売買において用いられます。実測面積も不要なため、公簿売買を採用する場合は売却前の測量も不要です。

公簿売買では、売買契約書に「後日実測面積と公簿面積とが異なる場合でも、売主と買主は相手方に対し売買代金の増減を請求しないこと」と記載しておくことが最大のポイントとなります。

一方で「実測売買」とは、実測面積に基づいて売買を行うことを指します。
実測売買は、「売買契約時点で測量が完了している場合」と「売買契約時点で測量が完了していない場合」の2パターンで分けて考えます。

売買契約時点で測量が完了している場合には、すでに確定している実測面積に基づき売買代金の総額も確定させます。

それに対して、売買契約時点で測量が完了していない場合には、売買契約時点では単位面積当たりの金額を確定して売買契約を締結します。

その後、引き渡しまでに測量を完了させ、引き渡し時点で最終的な総額を確定させる精算を行います。売買契約時点で測量が完了していない実測売買を行うケースでは、「実測精算」に関する記載がある売買契約書を利用することがポイントです。

この章では土地売買契約書のチェックポイントについて解説します。

実測売買では、契約書の中に買主へ「確定測量図」の引き渡しが条件となっている売買契約書も多いです。

確定測量図とは、官民境界(公道との境界)および民々境界(隣地との境界)のすべての境界が確定しているときに作成される実測図になります。

既に確定測量図がある場合には問題ありませんが、ない場合には引き渡しまでに確定測量図を作成することが必要です。

確定測量図はすべての境界を確定しなければならないため、作製に時間がかかります。売買契約後に慌てて作成することがないように、測量はあらかじめ行っておくようにしましょう。

不動産の売買契約書は印紙を貼らなければいけない「課税文書」となります。
土地の売買契約書では、印紙税は売主と買主の双方で負担すると取り決めていることが一般的です。

売買契約書に記載する売買代金と印紙税の関係は下表のようになります。

土地の売買契約書では、登記費用の負担の取り決めも行うことが通常です。
一般的に、登記の内容と費用の負担者の関係は以下のようになっています。

土地の売買契約書では、手付解除およびローン特約による解除の期限を設定することが一般的です。

ローン特約による解除とは、買主が住宅ローンの本審査に通過しなかった場合に契約を解除できる期限になります。

売買契約を締結したとしても、手付解除またはローン特約による解除の期限までは契約が解除される可能性があり、売主の立場は不安定であるといえます。そのため、契約解除ができる期限はいつまでなのかをしっかり確認しておくことがポイントです。

ちなみに、手付解除およびローン特約による解除の期限は、売買契約から2週間程度とすることが一般的です。

土地の売買契約書では、契約不適合責任の内容を確認することがポイントです。
契約不適合責任とは、「契約の内容に適合しない場合の売主責任」のことを指します。

2020年4月の民法改正により、売主責任が瑕疵(かし)担保責任から契約不適合責任に変わりました。

契約不適合責任では、売主が契約内容とは異なるものを売ってしまうと、売却後に買主から追完請求(修補請求)や契約解除、損害賠償といった責任追及をされる可能性があります。

例えば土地の売買の場合、土壌汚染がないものとして売却したのにも関わらず、売却後に土壌汚染の存在が発覚してしまった場合には、売主は契約不適合責任を負うことになります。

契約不適合責任は、契約内容と異なるものを売ったときに問われる責任であるため、逆に可能性のあるものに関しては契約書に記載しておき、買主の了承を得て売買すれば契約不適合責任を問われないことになります。

そのため、土地の売買契約書においては、容認事項という形で懸念される内容を記載しておくことがポイントです。

参考までに土地の売買契約書で利用できる容認事項の記載例を挙げると以下のようになります。

【容認事項の例】

以上、土地売買契約書について解説してきました。
土地の売買には公簿売買と実測売買の2種類があります。

土地売買契約書は、「確定測量図の引渡の有無」や「契約不適合責任の内容」等がチェックポイントです。

売却後にトラブルを発生させないためにも、土地売買契約書は適切なひな形の書面を用い、内容を十分に確認したうえで締結するようにしましょう。

(記事は2021年8月1日時点の情報に基づいています)

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