駐車場経営の初期費用はどれくらい? 月極めとコインパーキングで解説
不動産の有効活用は、アパート(マンション)経営・戸建賃貸(シェアハウス)経営・太陽光発電経営など様々です。今回は、少ない初期費用で始められる不動産の有効活用の一つ「駐車場経営」の形式や運営形態を説明していきます。
不動産の有効活用は、アパート(マンション)経営・戸建賃貸(シェアハウス)経営・太陽光発電経営など様々です。今回は、少ない初期費用で始められる不動産の有効活用の一つ「駐車場経営」の形式や運営形態を説明していきます。
目次
土地活用として駐車場経営を活用する際のメリットは、次の4点を挙げられます。
アパート経営・戸建賃貸経営に比べて、雨漏り・ガス漏れ・騒音などのクレーム処理のほか、建物修繕も不要です。退去後の修繕手配も必要ないため、物件管理や入居者管理が容易です。
建物を建築していないので、投資費用が安価で追加投資も少ない。
2~3年契約が多いので、移設運営や撤退も容易。
建物がないので維持管理が少なく、災害に比較的強い。
一方で、駐車場経営のデメリットは、以下の3点です。
建物がなく、更地扱いのため、固定資産税など税金の軽減や減額がない。
少子高齢化や車離れの傾向のため、利用単価が低い。
近隣に競合他社の駐車場ができる可能が高い。
次に、駐車場経営の形式を「月極駐車場形式」と「コインパーキング形式」の二つに分けて説明していきます。
利用する方と毎月の利用契約を結んで、賃料を受けとるものです。コインパーキング形式と違い、フラット板・精算機・照明・その配線などを導入する必要はありません。極論をいえば、土地さえあれば、いつでも始められますが、最低限の設備として、整地・ライン引き・車止めは必要です。また、居住用普通借家の場合、借主が住みたいと思えば家主からの契約解除はなかなか難しいのが現状ですが、利用契約が終了すれば、いつでもやめることができる手軽さはあります。
月極駐車場では3つの方法があります。
募集から賃料回収まですべて自分で行う。
募集や管理を業者に手数料を支払って委託する方式。
業者に手数料を支払うが、空車・満車といった稼働状況に関わらず、毎月一定額がもらえる方式。
1.と2.は契約者がいなければ収入を得ることはできません。収入の安定性からすれば、3.>2.>1.となり、利益性からすれば1.>3.>2.となり、手数料の高さからすれば3.>2.(1.は0円)となります。1.はすべてを自分ですることなので、トラブルやクレームなどに対応しなければならないので、2.、3.が一般的です。
時間貸しの駐車場のことで、利用する方が駐車していた時間に応じて、設定された料金を支払うシステムです。24時間無人の時間貸しの営業が多く、屋外式と屋内式があり駐車台数は数台から数十台となっています。
駐車場の管理は駐車台数により、方式が分かれます。
・小規模(10台程度)の場合はロック式(フラップ板)
・大規模(20台以上)の場合はゲート式
コインパーキングには2つの方法があります。
運営会社が用地を一括で借上げ、オーナーに毎月固定賃料を支払う方式。舗装費用はオーナー負担にすることが多い。
運営会社とオーナーが共同運営をして、契約で決めた利益をそれぞれ受け取る方式。契約期間は2~3年契約が多いですが、こちらも利用契約が終了すればやめることはできます。
購入した土地であれ、相続で取得した土地であれ、所有している土地の中で、駐車場経営に適している立地を説明していきます。
月極駐車場の場合は利用者が固定になりますので、戸建て世帯の2台目以上の方に利用してもらう、あるいはマンション・アパート世帯であれば、その敷地に駐車できない方に利用してもらうことが可能な土地が適しています。また、意外かも知れませんが、周囲にいくつかの月極駐車場があっても、深夜や早朝時間に満車であれば、自宅近くで探している方がいる可能性もありますので、立地によっては適しています。
コインパーキングにおいては、都心部や中心街に多く見かけると思いますが、不特定多数の利用者に利用をしてもらいたいからです。
コインパーキングに適している条件は、以下のようなものがあります。
最低でも整地・ライン引き・車止めの費用は発生します。できるだけ費用を抑えたいと思っても、更地では草が生えていたり、地面にもデコボコがあるし、このままでは車の重量に耐えることができないので、どうしても整地は必要です。
立地などの条件や施工業者により金額は変わりますが、安価な方法は、砕石を敷きつめて重機で転圧して区画ロープ(通称トラロープ)で区画する方法で、未舗装タイプと言われるもので3000~4000円/㎡程度です。
未舗装タイプは区画ラインが引けないので、区画ラインを引くのであればアスファルト舗装が必要です。舗装費用は、4000~6000円/㎡程度です。コンクリート舗装もあります。鉄筋とコンクリートを使用するので、強度は申し分ありませんが、費用は8000~10000円/㎡程度になります。
機械設置や配線が必要なので、通常はアスファルト舗装タイプになり、整地費用の他に機械の設置費用が発生します。写真で紹介したロック式とゲート式に分かれますが、ここでは初期費用を抑える観点からロック式の費用を見ていきます。
ロック式の場合に必要なのは、フラット板・精算機・照明・看板・車止めです。フラット板が10万円/台、精算機が40~50万円、照明・看板設置が60~70万円、車止めが4000円/台程度です。また、場合によっては歩道の切り下げが必要になります。費用は30~60万円程度かかります。
立体駐車場では建物と同様の考え方になるので、費用は階数などにもよりますが、数千万円~数億円はかかります。
月極駐車場、コインパーキングのどちらの形式でも初期費用はオーナー負担になりますが、一括借上方式を選択し、「フリーレント」と言われるやり方を採用することで初期費用を0円にすることは可能です。
どういうことかというと、運営会社はコストなどを差し引いて、一定金額を毎月オーナーに賃料として支払いますが、本来は負担すべき初期費用を業者に立替えてもらう方法です。
数字を挙げて説明します。初期費用が300万円、オーナーは月額30万円を受け取れるとします。10か月分の賃料収入と初期費用を相殺することにより、実質的には0円となります。
初期費用を0円にできたとしても、毎年のコストはかかります。
土地所有者はご自身なので、固定資産税は必須ですし、所得税や住民税といったものも所得に応じて発生します。ちなみに舗装にした方が、固定資産税の減額措置を受けることができます。また、駐車場法というものがあり、月極駐車場は該当しませんが、コインパーキング形式は駐車面積にかかわらず、役所に届出が必要になります。
アパート経営・戸建賃貸経営とは違い、対象となるのが「物である」ので、立体駐車場は除き、借地借家法の適用外になり規制が緩やかになります。また、集合住宅経営と同じでいかに空室率を低くするかで利益率に直面してきます。
たくさんある駐車場運営会社にプランの相談をするのにも、基本的な知識を身につけておけば理解度が違ってくるはずです。
(記事は2021年2月1日時点の情報に基づいています)