目次

  1. 1. 市街化調整区域とは?
  2. 2. 市街化調整区域の不動産が売却しにくい理由
  3. 3. 市街化調整区域でも売却しやすい不動産
    1. 3-1. 市街化調整区域でも売却しやすい不動産とは?
  4. 4. 市街化調整区域で、特に売却しにくい不動産は?
    1. 4-1. 市街化調整区域で特に売却しにくい不動産
  5. 5. 売却のコツは「買ってくれそうな人を絞ること」
  6. 6. 売却できないときの活用方法
  7. 7. まとめ

「市街化調整区域」とは、都市計画法で定められた「市街化を抑制すべき区域」のことです。市街化とは「街づくり」のことを指します。

街づくりでは、「建物を建てて」人が住んだり働いたりする場所を作り出します。一方、市街化調整区域では、その街づくりを「抑制」しているエリアであるため、建物を建てることが制限されている地域になります。

市街化調整区域の最大の特徴は、都市部である「市街化区域」と隣接しているという点です。
市街化区域とは、「すでに市街化を形成している区域またはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」を指します。

市街化区域は、市街化調整区域とは反対に「どんどん街づくりをしてください」という区域です。市街化区域は、人が多く住む都市部に指定されています。

市街化調整区域と市街化区域を分けることを「線引き」と呼びます。市街化調整区域は市街化区域と隣接した地域であり、例えば全国の政令指定都市や中核市の中に存在します。

市街化調整区域の周辺には多くの人が住んでおり、決して不動産需要が低いエリアではないのです。では、なぜ「市街化調整区域」の不動産は売却しにくいのでしょうか。その理由を説明します。

市街化調整区域はすぐ隣が人口の多い市街化区域であるため、不動産の購入需要は高まるように思えます。しかし、実際には市街化調整区域の不動産は売却しにくくなっています。

市街化調整区域の不動産が売却しにくい理由は、原則として「建物が建てられない」からです。市街化調整区域内で建物を建てるには、「開発許可」と呼ばれる許可が必要になります。
市街化調整区域における開発許可の要件は厳しく、簡単には建物を建てることができません。

買主は市街化調整区域の不動産を購入しても、自由に建物を建てることができないことから、需要者が少なくなってしまい、結果的に売りにくくなっているのです。

市街化調整区域は周辺の市街化区域に多くの人が住んでいることから、利用価値のある不動産は比較的すぐに売ることができます。

市街化調整区域内で売却しやすい不動産は、以下のようなものが挙げられます。

1つ目は、開発許可を取得して建てられた建物が存在する不動産です。
開発許可を取得して建てられた建物が存在する不動産は、市街化調整区域内で合法的な手続きを経て建てられた建物であり、同規模・同用途の建物であれば将来的に再建築もできます。

2つ目は、60条証明によって建てられた建物が存在する不動産です。
60条証明とは、都市計画法の開発許可を要しない計画に適合している証明のことを指します。

具体的には、農家住宅や農林漁業用建築物、日常生活用品の販売・加工等の業務用の建築物等が該当します。
これらの建物が建っている不動産の土地は、すでに宅地となっているため、新たに開発許可を取得する必要がありません。

すでに宅地利用されている土地であれば、都市計画法第34条に該当する建物なら建てることができます。

都市計画法第34条に該当する建物には、具体的にはガソリンスタンドやコンビニエンスストア、レストラン等の日常生活のため必要な店舗があります。

ただし、都市計画法第34条に該当する建物を建てる場合でも、都市計画法43条による建築許可は必要です。

3つ目は、開発許可が得られる可能性のある土地です。
開発許可が得られるかどうかは、都市計画法第34条により立地基準が定められています。

例えば、市街化区域に隣接し、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であって、おおむね50以上の建築物(一般的に市街化区域内に存するものを含む) が連たんしている地域であれば、開発許可を受けられる可能性があります。

このように、再建築できる土地や、新たな建物を建てやすい土地、開発許可が得やすい土地等は利用価値が高いため、市街化調整区域内でも売却しやすくなっています。

市街化調整区域で特に売却しにくい不動産を挙げると、以下のようなものがあります。

1つ目は、農地です。農地を農地以外にするには、農地法による転用許可が必要です。

市街化調整区域の農地は、農地法と都市計画法によるダブル規制を受けるため、売却がしにくい不動産となります。

2つ目は、開発許可が得られない土地です。
具体的には、都市計画法第34条により定められた立地基準を満たさない土地は、売却しにくくなります。

都市計画法第34条の立地基準には、例えば「市街化区域に隣接したおおむね50以上の建築物が連たんしている地域」があります。

市街化調整区域では、ほとんどの立地が都市計画法第34条の立地基準を満たしておらず、開発許可が得られない可能性が高いため、市街化調整区域内の「更地」は売却しにくい不動産となっています。

市街化調整区域における売却のコツは、「買ってくれそうな人を絞ること」がポイントです。
市街化調整区域内の不動産を購入する可能性のある人としては、以下のような人たちが挙げられます。

【市街化調整区域内の不動産を購入する可能性のある人】

農家の人であれば、開発許可を受けずに自宅を建てることができるため、購入する可能性があります。
また、周辺で商売を行っている人であれば、従業員用や来客用の駐車場が欲しいというニーズがあるため、購入可能性はあります。このように、隣地所有者に声をかけることは基本です。

建物が建っている不動産であれば、現在の建物をそのまま使ってくれる人なら購入してくれる可能性が高いです。

市街化調整区域内の不動産を購入してくれそうな人を探すのは、地元の不動産会社が得意としているため、市街化調整区域の物件を売るなら必ず地元の不動産会社にも相談することをおすすめします。

市街化調整区域の土地が売却できない場合は、コインパーキング(時間貸し駐車場)で活用することが最もおすすめです。

市街化調整区域は、周辺に人口が多い市街化区域があるため、コインパーキングのニーズもそれなりに存在します。

コインパーキングは建物を建てる必要がないことから、開発許可は不要であり、市街化調整区域でもできる土地活用です。

また、市街化調整区域の不動産の売却には時間がかかるため、売れるまでコインパーキングで運用しておくことで維持費の負担も軽くすることができます。

興味のある方は、相続会議内にある『土地活用プラン請求サービス』を使って、コインパーキングの提案を受けてみてはいかがでしょうか。

以上、市街化調整区域内の不動産売却について解説してきました。

市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域のことです。市街化調整区域では、建物を建てるために開発許可を要することから売却しにくくなっています。

市街化調整区域で売却しやすい不動産は、「開発許可を取って建てられた不動産」や「開発許可が得られる土地」等があります。
それに対して、「開発許可が得られない土地」は売却しにくいです。

市街化調整区域の不動産を売るには、「農家」や「隣地所有者」等に買主を絞ることがポイントとなります。市街化調整区域の不動産売却の概要がわかったら、早速、不動産会社に相談してみましょう。

(記事は2021年8月1日時点の情報に基づいています。)

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