目次

  1. 1. 失敗の原因は事前の調査不足
  2. 2. 駐車場経営の失敗事例 原因と対策のポイント
  3. 3. 駐車場経営で失敗しないために考えておくこと

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駐車場経営は初期費用が安いといっても、経営を開始するためにはそれなりの費用がかかります。月極駐車場の場合、アスファルト舗装、車止め、白線引きなどの工事費がかかり、コインパーキングを自分で運営する場合は機械の設置費用もかかります。また建物が建っている場合には解体も必要です。しかし、せっかくお金をかけて駐車場経営を始めたのに失敗してしまったという話も耳にします。「駐車場がなかなか埋まらない」「税金が高くて驚いた」「近隣から苦情がきた」などなど。さらには、「アパート経営のほうが良かった」「売却すれば良かった」と後悔する声もあります。

これらの失敗に共通する原因は、事前の調査不足と考えられます。アパートやマンションの経営には、高額な初期コストがかかり、多額の借入を必要とする場合も多いため、慎重に事前調査を行う人が多いですが、駐車場経営は初期費用が少ないからと、たいした調査もせずに始めてしまいがちです。それでは、具体的な失敗事例の紹介をします。

〈ケース1〉借り手が少なくなかなか埋まらない
せっかく駐車場を整備しても、ほとんど借り手がつかずガラ空きの状態が続くと、収支が赤字になることもあり、初期費用もなかなか回収できません。稼働率が低い原因として、もともと立地が駐車場向きではなかったことがあげられます。たとえば、敷地内に駐車スペースがある一戸建て中心の住宅地内は、一般的に駐車場の需要が少ない立地です。以前は住宅地でも複数の自家用車を所有する世帯も多く、2台目からは月極駐車場を借りるケースもありましたが、最近は核家族化・高齢化が進み、1台しか持たない少人数世帯や、免許を返上して自家用車を保有していない高齢者世帯も増えています。

〈ケース2〉競争相手が多く、駐車料金を値下げした
需要があるエリアでも、駐車場が多すぎると、借り手の奪い合いになります。また最初は順調でも、近くに大きな駐車場ができて利用者を取られてしまったという話もあります。駐車場はアパートと違い気軽に解約ができるため、利用者は少しでも便利で安い駐車場があれば簡単に借り替えます。対抗して駐車料金を値下げし、なんとか稼働率は維持できたとしても、収入自体が下がってしまうため、当初の収支計画通りにはいかなくなります。

〈ケース1〉〈ケース2〉のような失敗を防ぐためには、事前に綿密な立地の調査を行うことが必要です。調査にはいろいろな方法がありますが、まずは不動産会社に周辺の駐車場の供給状況や、駐車場のニーズがあるかを相談しましょう。また、自分の目で近隣の駐車場の空き状況を確認することも大切です。住宅地の場合は、夜間に確認をしてみましょう。車で外出しても帰宅する人が多い時間帯なのにガラガラという場合、空きが多いと考えられます。オフィス街や商店街の近くの立地では、日中や土日の稼働状況を確認したほうが良いケースもあります。

駐車料金の相場については不動産会社に確認する方法もありますが、最近はインターネットの月極駐車場検索サイトもあり、近くの駐車場の相場を調べるのに便利です。

〈ケース3〉固定資産税や、所得税が高くなってしまった
住宅を解体して駐車場にしたところ、固定資産税・都市計画税が大幅に増えてしまったという話もよく聞きます。住宅が建っている土地は、小規模住宅用地として200㎡までの固定資産税の課税標準が固定資産税評価額の6分の1に、都市計画税の課税標準が3分の1に軽減されています。しかし、住宅を取りこわして更地にすると、土地は非住宅用地として評価され、固定資産税は約4倍、都市計画税は約2倍と大幅に上がってしまいます。

また、所得税をたくさん払わされてびっくりしたというケースもあります。駐車場経営を行うと不動産所得を申告する必要があります。会社員の場合、不動産所得は給与所得と合算されるので合計所得金額が上がり、所得税・住民税が思った以上に増えてしまうことがあります。そのため、税金についても事前に予測しておく必要があります。建物を解体すると固定資産税・都市計画税等がどのくらい上がるかは市区町村で教えてくれます。また所得税や住民税については、税理士に相談すると良いでしょう。税金を差し引いた最終的な手取り額をあらかじめ確認した上で、駐車場経営の判断をするようにしましょう。

〈ケース4〉近隣からの苦情
近隣からの苦情も駐車場経営でよくあるトラブルです。苦情で多いのは、夜間のエンジン音や排気ガスなどです。近隣にも配慮した駐車場の設置計画とともに、利用者に駐車場利用時のルールを徹底してもらうことが大切です。不動産会社に管理委託し苦情の窓口となってもらうことで、直接苦情を受けることはほとんどなくなります。

駐車場の失敗事例や対処法について解説してきましたが、事前にデメリットを知り、失敗するリスクを抑えながら稼働率の高い駐車場経営を行うことは資産維持や収入の確保にもプラスになります。そのためには、不動産会社や税理士などの専門家の意見を聞きながら検討することが大切です。

ただし、駐車場については、賃貸経営と同様、今後の需要の減少が懸念されます。人口減少や高齢化に加えて、社会が車を持たない文化に変わりつつあることも一因です。都市部など公共交通機関が発達している地域では、自家用車がなくてもあまり困ることはありません。また、カーシェアリングも普及が進み、会員数は200万人を超えています。(公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」より)。

高い駐車場代や保険料等を払うよりも、公共交通機関やタクシーで移動したり、カーシェアリングを利用したりするほうが合理的と感じている人は増えており、若者のクルマ離れも進んでいます。幸い、駐車場はいざとなれば他の有効活用への転用や売却も可能です。長期的な視野に立った上で、中期的な有効活用という位置付けで駐車場経営を検討してみるのも良いかもしれません。

(記事は2021年3月1日時点の情報に基づいています)

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