目次

  1. 1. 共有名義は放置せず解消しておこう
    1. 1-1. 共有名義のままにするデメリット
    2. 1-2. 共有名義を解消する方法
  2. 2. 不動産の評価を出してみる
  3. 3. 住み続ける場合に注意すべきこと
    1. 3-1. 住宅ローンが残っている場合
    2. 3-2. 配偶者への財産分与
    3. 3-3. 共有名義を解消する際にかかる税金
  4. 4. 売却する際に必要なこと
    1. 4-1. 共有名義のまま売却できる
    2. 4-2. 売却して利益が出た場合の分け方
    3. 4-3. 税金
  5. 5. まとめ 弁護士に対処法の相談を

離婚時に自宅をはじめとした「共有名義不動産」があるなら、必ず共有状態を解消しましょう。

離婚後も互いの関係が続いてしまう
離婚後、夫婦で物件を共有していると、離婚後もお互いの関係が続きます。共有物件の場合、一人ひとりの共有者ができることが限られており、他の共有者の同意がないと長期の賃貸借や抵当権設定、売却などの重要な行為はできません。リフォームすら制限されます。離婚した後も、何かあるたびにいちいち相手に連絡をとって協議するのはストレスになるでしょう。意見が合わずもめてしまうケースも少なくありません。

放置される可能性も高くなる
共有物件を活用するには双方の合意が必要ですが、実際には元夫婦が協力して物件を活用するのは困難です。かといって売却したいと思っても相手が反対する可能性があるでしょう。結果として不動産が放置されてしまい「もったいない状態」になります。

維持費がかかる
不動産は、所有しているだけで毎年固定資産税がかかります。不動産業者に管理を任せると、管理費もかかるでしょう。活用しなくても出ていくお金があることもデメリットとなります。また共有している以上、固定資産税は分担するのが原則です。ところが相手が清算に応じてくれないと負担が1人に集中してしまい、トラブルにつながります。

共有状態を解消する方法は、以下の2種類です。

  • どちらかが相手の持分を買い取る
  • 2人で協力して売却して代金を分け合う

夫婦の一方が離婚後も家に住みたいなら持分の買取を、どちらも住まないのであれば売却をするのが良いでしょう。

持分を買い取ってもらう場合も不動産全体を売却する場合も、「不動産の価値」の把握が重要なポイントとなります。相手の持分を買い取ったり自分の持分を売却したりするとき、不動産の評価額が基準となるからです。

たとえば、不動産の価値が1000万円で夫の持分が5分の3、妻の持分が5分の2のケースを考えてみましょう。夫が妻の持分を買い取るなら「1000万円×5分の2=400万円」を払えば良いことになります。このとき不動産が「1000万円」という評価額がわからないと、適正な買取価格を算定できません。不動産の価値は、不動産会社へ「査定依頼」をすれば出してもらえます。簡易査定であれば、物件の内覧なしに対応してもらえるので、手間もかかりません。お近くの不動産会社やネットの査定サービスを利用すると良いでしょう。

離婚後も夫婦のどちらかが家に住み続ける場合、以下の点に注意が必要です。

住宅ローンが残っている場合、離婚後も「ローン名義人」が住宅ローンを払っていかなければなりません。またローンを完済するまでは、他者への名義変更ができません。夫婦共有名義にしていても、すぐに名義を変えるのが難しくなる可能性があります。一方、ローン名義人が家に住み続けて相手の持分を買い取る方法なら可能です。

住宅ローンが残っている家も財産分与の対象になる可能性があります。
「家の評価額-残ローンの金額」がプラスであれば、その金額が財産分与対象です。マイナスになったら財産分与対象から外れます。たとえば、1500万円の価値のある不動産を購入して、残りのローンが1000万円なら、家には500万円の価値があります。家を取得する側は、相手に半額である250万円を払わなければなりません。

離婚をする時、家の共有名義を解消すると税金がかかる可能性があります。

持分を取得する側にかかる税金
共有持分を受け継ぐと、法務局で名義変更の登記をしなければなりません。そのとき「登録免許税」という税金がかかります。その他の税金は、基本的に発生しません。ただし分与された財産が過大な場合、離婚を利用して贈与税や相続税を逃れようとした場合などには「贈与税」がかかります。贈与税がかかると「不動産取得税」も発生する可能性があります。
また不動産を取得した後は、毎年固定資産税を払っていかねばなりません。

持分を相手に譲る場合にかかる税金
共有持分を相手に譲る場合には「譲渡所得税」がかかる可能性があります。ただし居住用不動産の場合、譲渡所得(不動産譲渡によって得られた利益)が3000万円以下であれば譲渡所得税はかからない特例が用意されています。

次に共有不動産を売却する際に注意すべきことを確認しましょう。

共有不動産は「夫婦共有名義」のままで売却できます。ただしその場合、2人が協力して手続きを進めなければなりません。不動産仲介業者への依頼、買主との売買契約など、すべて夫婦連名となります。印鑑登録証明書なども2人分が必要です。面倒でも最後の共同作業と思って、協力して進めましょう。

不動産を売却すると、売却金が入ってきます。売却金は財産分与の対象になるので「2分の1ずつ」に分けるのが原則です。売却金から不動産仲介手数料や測量費などの経費を差し引き、残ったお金を2分の1に分けましょう。なお、分配割合は2分の1にしなければならないわけではありません。「共有持分とおり」にしてもかまいませんし、頭金を出した配偶者が多く受け取る方法もあります。

不動産を売却すると「譲渡所得税」がかかる可能性があります。譲渡所得税は「不動産を譲渡(売却)して得られた利益」にかかる税金です。購入金額とかかった経費を上回る金額で売れたら譲渡所得が発生すると考えましょう。ただし。譲渡所得税には「居住用不動産の場合、3000万円まで控除される」特例があります。物件が居住用の自宅なら、発生しないケースが多いでしょう。

離婚の際、夫婦共有の不動産があると財産分与の方法や計算が複雑になり、トラブルが発生しやすいので注意しましょう。相手の持分を買い取るにせよ、売却するにせよ大変な手間がかかります。できれば早めに弁護士に相談して、最適な対処方法を聞いておきましょう。物件を売却したいなら、親身になって対応してくれる不動産業者を探してみてください。

(記事は2020年9月1日時点の情報に基づいています)

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