目次

  1. 1. 遺贈寄付を実現するまでの流れ
    1. 1-1. 遺贈寄付を知る
    2. 1-2. 自分の人生を振り返る
    3. 1-3. 遺贈寄付の情報を集める
    4. 1-4. 専門家に相談する
    5. 1-5. 寄付先を選ぶ
    6. 1-6. 財産配分を決める
    7. 1-7. 遺言書を作成して保管する
    8. 1-8. 寄付先とともに人生を歩む
    9. 1-9. 亡くなった後に遺言が執行される
    10. 1-10. 遺産の一部が寄付される
  2. 2. まとめ 遺言は執行されてこそ意味がある

遺贈寄付をする場合の流れにそって、それぞれのポイントごとに解説します。

遺贈寄付の流れ図。遺贈寄付は自分の人生を振り返るきっかけになります。
遺贈寄付の流れ図。遺贈寄付は自分の人生を振り返るきっかけになります。

遺贈寄付とは、個人が亡くなったときに亡くなった方や相続人が、遺言や契約にもとづき、財産の一部を公益法人やNPO法人などに贈ることを言います。国税庁の資料(NPO法人シーズ調べ)によれば、2017年に約340億円、2018年に約468億円が遺贈寄付されています。では、なぜ遺贈寄付をするのでしょうか。「自分の思いを未来へ伝えたい」「自分が生きた証を後世に残したい」「自分が築いた財産を自分が望む使い道に利用してほしい」など、人によって様々です。遺贈寄付がどのような思いで行われ、どのような方法があるのか、まずは知ることから始めましょう。
遺贈寄付のポータルサイト「いぞう寄付の窓口」や9月に開催される「遺贈寄付ウィーク2020」のWEBサイトを確認すると良いでしょう。

遺贈寄付は人生最期の社会貢献である、とも言えます。大切な財産を寄付するのですから、寄付先の選定は慎重にしたいものです。自分の人生を振り返り、影響を受けた経験や人物などを考えたときに、心の底から応援したいと思える団体や活動が浮かび上がってくるのだと思います。
人生の内面を深掘りするプロセスをお手伝いする専門家もいますので、こうした相談に対応してもらえるのかを確認した上でご相談しましょう。

遺贈寄付の様々な事例の情報を集めましょう。共感できる事例があれば、それが自分にとって最適な遺贈寄付の形に近い可能性があります。例えば、「遺贈寄付~最期のお金の活かし方」(星野哲:著)には様々な事例が紹介されています。
団体の遺贈寄付パンフレットや活動報告書には、その団体のポリシーや特徴がよく現れていますので、気になる団体に資料請求したり、相続セミナーに参加したりするのも良い方法です。

専門家には、人生を振り返りつつ寄付先選定をサポートする「遺贈寄付プランナー」の役割と、遺言作成をサポートする役割があります。前者は全国レガシーギフト協会の加盟団体や登録士業など、後者は弁護士や信託銀行などです。
なお、遺言執行者(遺言に基づき相続手続きする者)に知人を指定することもできますが、確実に遺贈寄付を実行するためにもプロに任せるのが良いでしょう。遺言作成の相談をする専門家が遺言執行者になるケースが多く、遺言作成の背景を知っていますので遺言執行も安心して任せられると思います。

ここまで来れば、意中の候補はかなり絞られているはずです。ボランティアやイベントに参加して、団体との相性を肌で感じる方法もあります。体力的に難しい場合は、実際に少額の寄付をして、期待通りの反応なのかを確認することもできます。
数字やデータも重要ですが、感覚も大事な要素なので、楽しみながら選定されてはいかがでしょうか。

自分の保有財産を洗い出して概算の評価額を算定して、相続人や寄付への財産配分を検討します。遺留分の侵害についてもここで確認します。ご家族のことを第一に考え、残った財産があれば遺贈寄付するくらいに考えた方が、円滑な遺贈寄付が期待できます。少額でも立派な遺贈寄付です。遺贈寄付は一部の富裕層だけのものではありません。
一般的に、ご家族に財産配分の内容まで知らせることはありませんが、「財産の一部を遺贈寄付する」ことだけはご家族に伝えておく方が、後日驚かれなくて良いでしょう。
なお、不動産など金銭以外を遺贈寄付する場合は、現物で受けてもらえるのか団体に確認しましょう。

上記4で相談した専門家のサポートにより、遺言書を作成すると円滑です。自筆証書遺言でも良いのですが、専門家のチェックは必ず受けましょう。紛失を避けるためにも、法務局の保管制度は利用すべきです。確実に遺言が執行されるように、定期照会(安否確認)サービスを利用する方法もあります。また、遺言作成時の手数料と遺言執行時の報酬がかかりますので、事前に確認しておきましょう。
なお、相続人が全くいない方(相続人不存在)は包括遺贈を検討されることもあると思いますが、包括遺贈を受ける団体が少ないので、注意が必要です。

遺言を書いておしまいではありません。ここから豊かな人生が始まります。積極的に団体と関わりましょう。このような姿をご家族に見せることも、後日ご家族の納得感を得る有効な手段です。
また、団体の活動に不満や気持ちの変化などがあった場合は、遺言を書き換えることも可能です。

遺言者が亡くなられると、遺言執行者が相続人や受遺者に対して遺言の開示を行い、遺贈の承認または放棄を確認した上で、相続の手続き(換金や名義変更等)を行います。
遺言者が亡くなったことが遺言執行者に確実に伝わるように、信頼できる方にお願いしておきましょう。

遺言執行者から受遺団体に対して財産が引き渡され、寄付が実行されます。
遺言書の付言事項に、遺贈寄付をした「理由」「想い」「志」などを記載しておくと、意思あるお金を引き渡すことができます。

遺言は書いて終わりではなく、遺言執行がなされて初めて意思が叶えられます。様々な制度やサービスを活用して確実に想いを実現させましょう。遺贈寄付は、自分が望む未来を選択し、自分が亡くなった後の社会を創造します。少しでもご興味があれば、まずは第一歩、遺贈寄付について知ることから始めませんか。

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(記事は2020年9月1日現在の情報に基づきます)