ポイントやマイルは相続できる? 死後の申請で可能な場合も
日々の買い物でこつこつ貯める「ポイント」は、相続できるのでしょうか。「マイル」は航空券などの購入に充てられますし、ポイントで買い物もできる店も増えました。ポイントやマイルの相続について、デジタル遺品を長年取材してきたライターの古田雄介さんが最前線をお伝えします。
日々の買い物でこつこつ貯める「ポイント」は、相続できるのでしょうか。「マイル」は航空券などの購入に充てられますし、ポイントで買い物もできる店も増えました。ポイントやマイルの相続について、デジタル遺品を長年取材してきたライターの古田雄介さんが最前線をお伝えします。
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今回は大阪在住の60代女性(Yさん)からのご相談です。
「家電メーカーを勤め上げてようやくリタイア生活が始まった夫が、数年前に先立ちました。諸々の相続手続きや遺品整理は済ませましたが、今でも少しだけ気になっているのがポイントのことです。
というのも夫はポイントを貯めるのが大好きで、貯めたマイルで一緒に夫婦旅行したこともあるくらいです。退職後もカード決済やオンラインショッピングなどで様々なポイントを貯めているのをたまに話していました。
けれど、相続の際はポイントのことが頭から抜けていて・・・。今となっては過去のことですが、これらのポイントはお金と同じように相続できるのでしょうか? 私の備えのためにも教えてください」
確かに気になりますよね。ポイントやマイルは、人によっては数10万円や100万円を超えるほどに貯めることもあります。亡くなった後に家族に託せるのか説明していきましょう。
ポイントやマイルが家族に渡せるか否かは、各サービスの利用規約にかかっています。
相続性について明言している利用規約を調べてみると、現状では「会員の死亡時に解約」と規定しているサービスが目立ちます。本人が亡くなった時点でポイントがどれだけ残っていても、権利が失効するために相続できないという立て付けです。クレジットカードやショッピングモール、通信キャリアなどのポイントはこのタイプに当てはまることが多いです。
一方で、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)のマイルのように、会員の死亡時には法定相続人に相続できると明記している場合もあります(ANAは会員の死亡から6ヶ月以内に申請しなければなりません)。
また、ビックカメラは「ご家族であれば生前でも死後でもポイントを引き継ぐことは可能です」(同社広報)というスタンスをとっています。家族同士のカードをひとつにまとめる際にポイントを合算する仕組みになっていて、それが死後にも適用されるというルールです。
ポイントの有効期限である2年間を過ぎると無効になりますが、それまでの期間なら故人がポイントカードを紛失していても「故人の戸籍謄本、及び引き継がれる申請者の免許書など身分証明書があれば」(同)引き継げます。
ヨドバシカメラのヨドバシポイントも、「一緒に暮らしているご家族であれば、亡くなられた後もポイントの合算が可能です」(同社広報)とのことで、近いスタンスで運用しているようです。
Yさんのお連れ様が残されたポイントやマイルも、ものによっては現在でも引き継げるものがあるかもしれません。
つまるところ、ポイントは運営元の裁量によって価値が作られているため、会員死亡時の措置も運営元のルール次第ということになります。
なお、電子マネーや○○ペイの残高、プリペイドカードなどは混同しやすいですが、別物と捉えるのがよいでしょう。ポイントはサービス内で獲得したり他のサービスのものと交換したりして貯めますが、電子マネー等は現金で購入して使えるという違いがあります。
以前LINE Payの残高が相続できることを説明しました(過去記事「亡夫の「○○ペイ」に数十万円の残高… 電子決済システムは払戻や相続できる? 」)が、同社が提供する「LINEポイント」や「LINE Payボーナス」に関しては相続できません。このように、同じサービス内でも○○ペイとポイントで死後の扱いに違いが生じることもあります。
ただ、これは個人的な考えですが、以上のような状況を踏まえても、「ポイントだから引き継げない」と諦めるのはもったいないとも思います。利用規約やヘルプページには明言されていなくても、遺族からの相談に耳を傾けるサービスは少なくありませんから。
前回は、欧米が先行する「デジタル遺産」についての法整備について書きました。今後もこちらのコラムで、デジタルの遺品や相続にまつわる疑問や不安にお応えしていきます。
(記事は2020年7月1日時点の情報に基づいています)
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