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前回は「家族会議」で話し合うべき3つの議題のうち、2つ目の「介護や認知症など将来のリスクの洗い出し」についてご紹介しました。今回は、最後の3つ目をお話します。
1. 家族間の「情報格差」が生む疑心暗鬼
相続について、家族内での「情報格差」があれば、それだけで将来の家族間の疑心暗鬼・不満に繋がりかねません。
家族会議の中で、「現状把握」(老親の保有資産、収支状況、将来的な収支見込みなど)と「親と子の実現したい未来や想い、備えをしないことのリスク」について話し合い、その結果が家族内で同じ理解度・納得度で共有されることが大切です。
専門家の介在の下、メールや電話等で家族会議に同席できない家族への備忘録・議事録の提供を含め、上手に情報共有したいものです。
家族内で統一認識が持てた段階で、最後の議題に入ります。専門家主導のもと2つの視点から話を進めます。
2. 万が一に備え、財産管理と給付の体制作りを
1つ目は親の老後に関し、希望を実現するため、またはリスクに備えるため、どのような方策が考えられるのかを話し合います。
親の老後で大切なのは、財産の管理と給付の体制を整えることです。親が万が一認知症になるなど、自分で財産管理や処分ができなくなっても困らないように、また年金や家賃等の収入や預貯金を生活費・介護費用に適切に充てられるようにするためです。
代表的な方策が家族信託です。ただ、家族信託は選択肢の1つに過ぎませんので、場合によっては任意後見での対応もあり得るでしょう。
また、老親の資産凍結と相続税への対策を兼ねて、生前贈与で子や孫に財産を渡すことも選択肢になり得ます。生前贈与だと贈与税の課税を受ける可能性がありますし、他の相続人から特別受益の持戻しの問題も生じますので、あえて「親族間売買」で親から子・孫等に売却するのも良策でしょう。
ほかにも、家族で会社・法人を立ち上げ、賃貸不動産をその会社に売却したり、管理を委託したりして、賃貸業務の主体を法人に移すことも常套手段です(いわゆる「賃貸経営の法人化」)。
3. 円満な相続に、様々な方策の活用を
2つ目は、老親が天寿を全うした後、つまり親の相続発生に関してです。老親や相続人となる子の希望を踏まえ、また遺産争いが勃発する「争族」のリスクを回避し、円満円滑に資産承継を迎えるための方策を話し合います。
最も代表的なのは遺言です。ただ、前述した家族信託でも、託した財産については遺言の機能を持たすことができます(遺言代用機能と言います)。家族信託を遺言と併用することも有力な選択肢になります。
生命保険も相続税対策・遺留分対策等で大きな効果を発揮します。家族のニーズによっては、同じ対策として「養子縁組」の検討もあり得ますし、将来の争族を未然に防ぐために家庭裁判所で遺留分放棄の手続きを行うことも選択肢になります。
以上の方策を行うべきか、いくつかを併用するかなどについては、専門家が家族会議に同席して、その場で家族の疑問や質問に答えて様々な角度で検討することが重要です。専門家は一人でも複数でも構いませんが、少なくとも多くの方策に精通していないとお客様に最適なご提案ができないことになります。
(記事は2019年11月1日時点の情報に基づいています)
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