目次

  1. 1. 不動産売却の見積もりとは
  2. 2. 不動産売却の見積もりで費用が発生しない理由
  3. 3. 不動産売却の見積もりの種類
  4. 4. 不動産売却の見積もり時に用意すべき資料
  5. 5. 相場より見積額が高くなるケースや安くなるケース
  6. 6. まとめ

不動産の売却前に行う見積もりとは、不動産会社による売却予想価格の算出のことを指します。

なぜ売る前に売却予想価格を算出しなければならないかというと、適正な売り出し価格を設定するためです。

中古不動産には株価のように常に値段が付いているわけではないため、売る前は市場で売れる価格を調べる必要があります。

売り出し価格はどのような価格を付けても売主の自由ですが、安過ぎれば損をしますし、高過ぎれば全く売れないといったことが生じます。

損をせず、確実に売却するには、売り出し価格を安過ぎず、高過ぎない価格に設定する必要があるのです。

不動産売却前に行う見積もりは、「査定」と呼ばれるものになります。
査定が見積もりとも呼ばれるのは、工事の見積もりに似ているからです。

工事の見積もりでは、安い金額を得るために複数の施工会社に依頼することが一般的です。
施工会社に見積もりを取っても無料であるように、不動産の査定も無料となります。

また、工事の場合、金額が高ければ依頼を断っても大丈夫です。
不動産売却の場合も、査定価格が安ければ断ることになります。
工事も不動産売却も、見積もり時点で依頼を断っても費用は発生しない点は同じです。

工事の場合、請負工事金額の見積もりとなるため、基本的にその見積もり額で発注できることとなります。

そのため、複数の施工会社から工事の見積もりを取った場合には、単純に一番安い見積額を提示した施工会社を選ぶことが通常です。

一方で、不動産売却の場合、査定価格はあくまでも売却予想価格に過ぎないことから、その価格で売れるとは限らないという特徴があります。

そのため、複数の不動産会社から売却の見積もりを取った場合には、単純に一番高い見積額を提示した不動産会社を選べば良いとはいえないということです。

不動産の査定価格は確実な保証をするものではないことから、工事の見積もりと比べると提示される数字の責任は軽いといえます。

不動産会社によっては、単に媒介契約(仲介の契約のこと)が欲しいがために、意図的に高い査定価格を無責任に提示してくる会社も存在します。

よって、不動産会社は見積もりの金額だけで選ぶべきではなく、逆にいたずらに高い金額を提示してくる不動産会社は排除することも必要です。

妙に高い査定価格かどうかは、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格を比較することで見えてきます。

複数の不動産会社に見積もりを依頼することは、高い査定価格を得るだけではなく、高過ぎる金額を提示する不動産会社を排除する目的もあるのです。

結論からすると、不動産売却の見積もりでは費用は発生しません。
理由としては、査定(見積もり)は不動産会社にとって仲介の営業行為の一環であるからです。

不動産会社が得ることのできる仲介手数料は「媒介報酬」と呼ばれます。
媒介とは仲介のことです。

不動産会社が媒介報酬を得るには、以下の3つの要件を満たすことが必要となります。

【媒介報酬請求権の3要件】

  1. 不動産会社と依頼者との間で媒介契約が成立していること
  2. その契約に基づき不動産会社が行う媒介行為が存在すること
  3. その媒介行為により売買契約等が有効に成立すること

1つ目と2つ目の要件は、依頼者との間で仲介の契約があり、その不動産会社が実際に仲介を行ったことを条件としています。

ポイントは、3つ目の「その媒介行為により売買契約等が有効に成立すること」という点です。

媒介行為により売買契約等が成立しないと不動産会社に報酬請求権が発生しないことから、買主が決まらない限り不動産会社は仲介手数料を請求できないということになります。
つまり、仲介手数料は成功報酬であるということです。

不動産売却の見積もりは、仲介の営業行為の一環として行われます。
査定の段階は買主が決まる成功前であるため、媒介報酬請求権の3要件を満たしていないことになります。

よって、不動産会社は査定の段階では費用を請求できないことから、査定を依頼しても必ず無料となるのです。

不動産売却の見積もりには、「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

机上査定とは、不動産会社の営業担当者が実際に物件を見ることなく机上で行う査定のことです。
それに対して、訪問査定とは不動産会社の営業担当者が実際に物件を見た上で行う査定になります。

机上査定は物件を見ないことから、日照や眺望、通風、騒音、振動、臭気等の影響を価格に反映することができません。
そのため、机上査定の精度は訪問査定よりも劣ります。

不動産を損せず確実に売却するには、適正な価格で売り出すことが最大のポイントです。
よって、不動産を売却する場合には、最も価格の精度が高い訪問査定を行うことが必要となります。

不動産売却の見積もり時に用意すべき資料は、以下のような資料となります。

【見積もり時に必要な資料】

権利証(登記済証)または登記識別情報通知書は所有者本人しか持っていない書類です。
訪問査定時においては、依頼者が真の所有者かどうかを確認するために、不動産会社から提示を求められることが一般的となっています。

土地および戸建てを売る場合は、土地の確定測量図の提示も必要です。
確定測量図とは、全ての境界が確定していることを証する実測図となります。

土地や戸建ての売却では、買主が確定測量図のあることを条件とすることが多いです。
確定測量図の作成には時間がかかるため、不動産会社はすぐに売れる物件かどうかを知るために、確定測量図の有無について確認してきます。

また、チラシやインターネット広告に間取り図を掲載することから、戸建ての間取り図やマンションのパンフレットも求められます。

相場より見積額が高くなるケースや安くなるケースをまとめると、下表の通りです。

※新耐震基準とは1981年6月1日以降に建築確認申請を通した建物のこと

1つの不動産の中には価格が上がる要因と下がる要因が混在することが一般的であり、見積額は複数の要因を勘案して決定されます。

以上、不動産売却の見積もりについて解説してきました。
不動産売却の見積もりとは、売却予想価格を査定することです。
仲介の営業行為の一環である不動産査定では、費用が発生することはありません。

不動産の見積もりには机上査定と訪問査定の2種類がありますが、売却前には最も精度の高い訪問査定を行うことが通常です。不動産の査定時には、土地や戸建てであれば「確定測量図」、マンションであれば「分譲時のパンフレット」等が必要となります。

見積もり額は、リフォームが行われていれば相場よりも高くなります。逆に不具合箇所が多い物件は相場よりも低くなります。

不動産売却の見積もり方法がわかったら、まずは査定を依頼することから始めてみましょう。

(記事は2022年3月1日時点の情報に基づいています。)

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