土地の査定方法 査定額に影響するポイントを解説
相続した土地を売却する場合、不動産会社に価格の査定を依頼します。土地の査定はどのような基準によって評価されているのでしょうか。本記事では、土地評価の基準と査定額に影響するポイントを紹介します。
相続した土地を売却する場合、不動産会社に価格の査定を依頼します。土地の査定はどのような基準によって評価されているのでしょうか。本記事では、土地評価の基準と査定額に影響するポイントを紹介します。
目次
不動産会社に査定を依頼すると、どのような方法で査定が行われるのでしょうか。
ここでは、土地の査定方法をご紹介していきます。
不動産会社の土地の査定では、近隣の類似物件の価格の他、公的価格を参考にします。
具体的には、公示地価と相続税路線価、固定資産税評価額の3つと考えるとよいでしょう。
査定の際は、上記価格を参考にすることがありますが、上記通り、相続税路線価は時価の80%程度、固定資産税評価額は70%程度を目安にします。
このため、査定時にはそれぞれ80%、70%で割った価格を参考にするのです。
不動産会社の査定には机上査定と訪問査定があります。
机上査定とは、登記簿謄本など書類のみで価格を査定するもので、短い期間で査定額を出せるものの、精度に劣ります。
一方、訪問査定は直接訪問して査定する分、土地の形や周辺環境なども価格に反映することが可能です。
土地の査定額は書類だけでは分からない部分も多く、詳細な価格を知りたいのであれば訪問査定を検討するとよいでしょう。
土地の査定で査定額に影響する要素としては、以下のようなことが挙げられます。
まずは前面道路との関係です。
具体的には、方角や接道幅などと考えるとよいでしょう。
南側に道路がついていれば、日当たりがよくなりやすいため査定額にはプラス、一方で北側に道路がついていると日当たりが悪くなりやすいため査定額にマイナスとなります。
また、接道幅が広ければ自動車を複数横に並べることができるようになり、プラスになりやすいでしょう。
なお、原則として接道幅が2m以下だと接道義務を満たすことができず、建物の建築ができなくなってしまいます。
土地の広さについては、一般的な住宅地であれば、40~50坪程度の広さがあれば建物に駐車場をつけることができるため、坪単価を高くしやすいといえます。
少し古いデータですが、国土交通省の「住生活基本計画(全国計画)における誘導居住面積水準及び最低居住面積水準」によると、住宅内で快適に生活するために必要な広さは3人家族で100㎡(約30坪)、4人家族で125㎡(約38坪)となっています。また、国土交通省の「住宅・土地統計調査」によると、平成30年の一戸建て住宅32,070棟の内、2階建て以上は27,194棟と約84%を占めています。
仮に2階建ての建物を建てるとした場合、建物部分に必要な面積は概ね20~30坪と考えることができ、駐車場として2台確保すると最低でも5m×5m=25㎡(約8坪)程度必要であり、その他、庭や隣地とのスペースを考えると40~50坪が必要になる計算です。
広ければ広いほどよいというわけではありません。標準的な広さを大きく超えると総額が高くなり、買い手がつきにくくなるからです。目安としては70~80坪以上あると、坪単価が下がりやすい傾向にあります。一方、都心の土地は地価が高いため、建物を3階建て以上にしたり、駐車場をなくしたりして、15~30坪程度の狭小地に建物を建てるケースもあるでしょう。
どのくらいの広さが一番よいかについては地域ごとに異なる点に注意が必要です。
こうした考え方を不動産鑑定の用語で「最有効使用」と呼びます。
なお、土地の形についてはきれいな四角の形をしているほうが高くなりやすいでしょう。
最寄り駅や買い物施設、学校など周辺環境も土地価格に影響を与えます。
最寄り駅や買い物施設が近いと利便性の高い土地と判断されやすいでしょう。
また、学校が近いと子育て世帯に歓迎されやすい他、治安のよさも期待できます。
土地に高低差があると、建物を建てる際に整地しなければならないことがあります。
基本的には、平坦な土地のほうが価格を高くしやすいでしょう。
また、川や海の近くにある土地などでは、高さが低すぎると洪水などの問題に発展してしまう可能性があります。
日本では、エリアごとに用途地域が定められており、それぞれ建てられる建物の種類が決められています。例えば、工業専用地域には住宅が建てられません。
商業地域などさまざまな建物を建てられるエリアだと、住宅を建てても周辺が騒々しい環境になりやすく、住宅に適さない可能性があります。
最後に、土地を査定してもらうときの注意点を見ていきましょう。
土地査定では、まずは不動産会社に相談して、不動産会社が土地に関する情報を集めて査定額を出すといった流れで行われます。
このため、査定依頼の段階で登記簿謄本や測量図、取得したときの売買契約書など必要な情報や書類を揃えておくようにしましょう。
不動産会社から土地の査定額を聞くときは、単に査定額だけを見るのではなく、査定の根拠を聞くことが大切です。
というのも、不動産会社にとって査定は単なる営業ツールに過ぎず、査定後に媒介契約を勝ち取る必要があります。
このため、まずは媒介契約を勝ち取るために根拠もなく高い査定額を提示するケースがあるのです。
根拠もないのに高い査定額の提示を受けて、実際に売却活動を始めても売却に至らない可能性が高く、最終的には大幅値引きを検討せざるを得なくなることもあるでしょう。
土地査定の方法や価格に影響を与えるもの、注意点などをお伝えしました。
土地査定後に、少しでも信頼できる不動産会社を選ぶためには、売主側も査定に関する基礎知識を持っておくことが大切です。
評価の基準やポイントなど、本記事の内容をぜひ参考になさってください。
(記事は2021年8月1日時点の情報に基づいています)
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