目次

  1. 1. 年金受給者の準確定申告 どんなときに行う?
    1. 1-1. 準確定申告が必要なとき
    2. 1-2. 準確定申告をしたほうがいいとき
  2. 2. 準確定申告の対象となる年金とは
  3. 3. 年金受給者の準確定申告の期限と内容、手順は
    1. 3-1. 申告期限と申告する人
    2. 3-2. 死亡時期で申告年分が変わる
    3. 3-3. 準確定申告の手順
  4. 4. 年金受給者の準確定申告に必要な書類
    1. 4-1. 確定申告書AまたはB
    2. 4-2. 確定申告書の付表
    3. 4-3. 委任状
    4. 4-4. 添付書類
  5. 5. 年金受給者の準確定申告で知っておきたい注意点
    1. 5-1. 医療費控除は故人が払った分のみ
    2. 5-2. 還付額や納税額は相続割合に応じる
  6. 6. まとめ 税理士に相談したほうが安心

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年金受給者の準確定申告は、どんなときに行うのでしょうか。確認してみましょう。

年金受給者の収入が公的年金だけで、年間の受給額が400万円以下なら準確定申告は不要です。一方、次のいずれかに当てはまるなら、申告しなくてはなりません。

  1. 公的年金の年間受給額が400万円超
  2. 公的年金の年間受給額が400万円以下だが、公的年金以外の所得合計額が20万円超

年金受給額が50万円でも、賃貸事業などの所得合計額が30万円なら、準確定申告は必要です。

公的年金等から源泉徴収されている所得税があり、次のどれかに当てはまるなら、必要がなくてもあえて申告したほうがいいでしょう。税金の一部が還付されます。

①多額の医療費控除やふるさと納税、生命保険料などがある

故人の医療費が「10万円」「所得額×5%」のどちらか低いほうを超えるなら、準確定申告で税金の一部が戻ります。また、生前にふるさと納税の寄付金や生命保険料を払ったときも、申告すれば還付されます。

なお、ふるさと納税時に、確定申告をしなくとも寄付金控除が受けられる「ワンストップ特例」を選んでいたなら、準確定申告したほうがいいでしょう。亡くなった人はワンストップ特例を使えないからです。

②生前に配偶者や子ども、孫を扶養していた

死亡時に故人が配偶者や親族を扶養していたケースも、準確定申告をしたほうがいいでしょう。特に、扶養していたことが公的年金の源泉徴収票に反映されていないケースは申告しましょう。配偶者控除や扶養控除を申告すれば、還付を受けられます。

公的年金等の源泉徴収票
公的年金等の源泉徴収票

【引用元】「令和3年分 公的年金等の源泉徴収票」(日本年金機構)を加工して作成

準確定申告の対象となる年金は、原則として「故人が生前に受け取った年金」です。

この「生前に受け取った年金」は、預貯金口座に振り込まれたものだけではありません。生前に支払期限が到来していたにもかかわらず、受け取っていない年金も含まれます。

なお、未支給年金は、準確定申告の対象になりません。受け取った相続人の一時所得になります。

準確定申告の期限や内容、手順を確認しましょう。

申告期限は「相続開始を知った日の翌日から4カ月以内」です。たいてい、死亡日の翌日から4カ月以内となります。

申告は、相続人や包括受遺者が行います。相続人が複数なら「全員連名で申告」が原則ですが、通常は誰か一人が代表して申告します。

亡くなった時期によって、申告する年分が次のようになります。

*1月1日から3月15日までに死亡…前年分と今年の1月1日から亡くなった日までの分
*3月16日から12月31日までに死亡…今年の1月1日から亡くなった日までの分

通常、準確定申告は次の流れで行います。

  1. 申告する人を相続人等の中から選ぶ
  2. 必要書類を収集する
  3. 所得額や控除額、税額を計算して申告書を作成する
  4. 準確定申告書や必要書類を税務署に提出する

1以外は、確定申告と同じです。ただし、計算する期間は「亡くなった年の1月1日から亡くなった日まで」となります。

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年金受給者の準確定申告には、次の書類が必要です。

通常の確定申告書を使います。公的年金等や給与収入くらいしかないならAでもいいのですが、故人が個人事業主や不動産オーナーだったのならBが必要です。いずれも「準確定申告」と表記しなくてはなりません。

また、住所や氏名は、故人(被相続人)と申告する人(相続人)の両方を書きます。故人のマイナンバーは不要ですが、申告する人のマイナンバーは必要です。

相続人が1人なら、申告書の第一表は次のように書きます。

申告書の記載例
申告書の記載例

相続人が2人以上なら、住所と氏名は被相続人(亡くなった人)だけで十分です。余白に相続人のマイナンバーを書く必要もありません。確定申告書の付表に記載します。

相続人が2人以上のときに使うのが確定申告書の付表です。たとえば、被相続人が相続太郎さん、相続人が相続一郎さんと相続花子さんならば、次のように書きます。

相続人が2人以上のときに使う確定申告書の付表
相続人が2人以上のときに使う確定申告書の付表

委任状は還付金を相続人の誰かが代表して受け取るときに必要です。国税局ごとに様式が異なっており、東京国税局では次の様式になっています。

【引用元】委任状(準確定申告用)(国税庁)
【引用元】委任状(準確定申告用)(国税庁)

【引用元】委任状(準確定申告用)(国税庁)

申告書には、次の書類を添付しなくてはなりません。

  1. 生命保険等の控除証明書
  2. 医療費控除の明細書
  3. 申告する人のマイナンバーの証明書類の写し

1と2は、控除を受けるなら必要です。3は、マイナンバーカードがあるならカード両面の写しを添付します。マイナンバーカードがなければ、「通知カードや住民票の写し」と「運転免許証など身分証の写し」を提出します。

なお、2022年2月現在、公的年金等の源泉徴収票は添付不要です。ただし、作成する段階では必要となります。年金事務所から取り寄せましょう。

年金受給者の準確定申告には、次の注意点があります。

準確定申告で医療費控除にできるのは、亡くなった人が生前に払った分だけです。死後に家族が払った入院費や手術代は、含まれません。

なお、支払った人が故人と暮らしていた配偶者や親族なら、払った医療費は払った人自身の医療費控除に使えます。

準確定申告の納税額や還付金は、相続割合で按分します。遺産分割協議が終わっていないのなら、法定相続分で按分します。

なお、還付金は、相続財産となります。そのため、相続税の申告が必要です。

年金受給者の準確定申告は、必要かどうかの判断が難しいことがあります。また、準確定申告があるなら、相続税も考慮しなくてはなりません。相続が発生したら、準確定申告も含めて税理士に相談したほうが安心です。

(記事は2022年3月1日時点の情報に基づいています)