目次

  1. 1. 共有、共有持分とは
    1. 1-1. 共有とは
    2. 1-2. 共有持分とは
    3. 1-3. 共有持分権者の権利
    4. 1-4. 共有状態はトラブルのもとになる
  2. 2. 共有状態を解消するための対処方法
    1. 2-1. 共有物分割の方法
    2. 2-2. 共有物分割の手順
    3. 2-3. 共有持分を売却する方法について
    4. 2-4. 共有持分権者とトラブルになったときの対処方法
  3. 3. まとめ: 共有状態は早期に解消を

不動産の共有とは、「複数の人が一つの不動産を共同で所有する状態」です。親が死亡して子どもたちが実家の土地建物を共有するケースが典型例です。

共有状態になると、一人ひとりの共有者には、「共有持分」が認められます。共有持分とは、一人ひとりの共有者の不動産に対する権利です。完全な所有権ではなく「割合的な権利」となります。たとえば3人で共有する場合、「3分の1ずつ」や「2分の1、4分の1、4分の1」などとなり、全員の共有持分を合計すると「1」になるのが通常です。個々の共有者を法律的に「共有持分権者」といいます。

不動産の共有持分権者には、完全な権利が認められません。一人ひとりができることは極めて限られています。以下で共有持分権者の権利について、みてみましょう。

保存行為は1人でもできる
物件の現状を維持するための「保存行為」は共有持分権者が単独でできます。たとえば不法占拠者を追い出したり壊れかけている物件を補修したりする行為です。

管理行為は過半数の同意が必要
不動産の性質を変えずに利用、改良する「管理行為」には、共有持分権者の過半数の同意が必要です。たとえば物件を賃貸に出したり契約を更新したり賃料を変更したりする行為などが該当します。

処分行為には全員の同意が必要
不動産の状態を変更する「処分行為」には共有持分権者全員の同意が必要です。1人でも反対する人がいたら、処分行為はできません。たとえば売却、抵当権の設定などが該当します。

共有状態は、トラブルのもとになるケースが多々あります。

意見が合わずにもめる
共有物件を賃貸活用したり売却したりするには、他の共有者の合意が必要です。しかし実際には意見が合わないことも多く、トラブルになりがちです。合意ができないと活用できないので、不動産が放置されて荒れてしまうケースも少なくありません。

固定資産税の負担でもめる
不動産は所有しているだけで毎年「固定資産税」が発生します。共有の場合、各共有持分権者が持分に応じて払わねばなりません。実際には代表者のもとに納税通知書が届くので、全員分をまとめて払います。ところが代表者が立て替え払いしても他の共有持分権者が清算に応じないケースもあり、トラブルになりがちです。

相続が起こって混乱する
共有持分権者が死亡したときにもトラブルが発生しやすいです。共有持分権者が死亡すると、その子どもなどの相続人が共有持分を法定相続分に応じて相続します。つまり共有持分がさらに細分化し、共有持分権者が増えてしまうのです。するとますます話し合いや合意が難しくなって活用しにくくなり、不動産は放置されてしまう可能性が高くなります。

共有状態を解消するには「共有物分割」という手続きをしなければなりません。

共有物分割とは、共有物を分割する方法です。以下の3通りの手法があります。

現物分割
共有物をそのままの形で誰かが引き継ぐ方法です。土地なら分筆して共有持分権者が分筆後の不動産をそれぞれ取得します。
たとえば土地を3分の1ずつ、3人の兄弟が共有しているなら、土地を3分の1(3筆)ずつ分けて分筆し、それぞれが1筆の土地を取得します。
代償分割
共有物を誰か1人の共有持分権者が引き取り、他の共有持分権者へ代償金を支払う方法です。たとえば3000万円の価値がある不動産を兄弟3人が共有しているとき、長男が不動産を取得して弟たちに1000万円ずつ代償金を支払うと代償分割になります。
換価分割
共有物を売却し、売却金を共有持分に応じて分配する方法です。たとえば3000万円の価値のある不動産を3人の兄弟が共有しているとき、土地を売却して3人が1000万円ずつ取得すると、換価分割になります。

共有物分割をしたいときには、まずは共有持分権者同士で話し合いをして対処方法を決定しましょう。話し合いなしに、いきなり裁判はできない制度になっています。
合意ができないときには、裁判を起こして裁判所に共有物分割方法を決めてもらえます。裁判所が決定する際にも、上記の3種類の中から分割方法が決定されます。このとき、必ずしも当事者の希望とおりの分け方になるとは限らないので、注意しましょう。

共有物分割請求をするのは手間ですし、時間もかかります。そんなとき、自分の共有持分のみであれば売却可能です。不動産全体を売却するには共有持分権者全員の合意が必要ですが、自分の共有持分だけであれば単独の判断で売却できるのです。他の共有持分権者の同意は不要ですが、後で知られるとトラブルになって人間関係がこじれるケースも多いので、慎重に対応しましょう。
また共有持分は放棄できます。放棄すると、その持分は他の共有持分権者のものとなります。共有状態から抜けたいなら、放棄するのも1つの手段といえるでしょう。こういったケースでは、共有持分の売却を専門に取り扱う不動産業者に仲介を依頼すると、トラブルを防ぎ、円滑に進めることもできるので、一度、相談するのも対策の一つです。

不動産を共有していると、どうしても他の共有持分権者と意見が合わずトラブルになりがちです。相続が発生して混乱してしまうケースもあるでしょう。当事者同士の関係がこじれてしまい、自分たちでは解決できなくなってしまったら、早めに弁護士に相談してみてください。弁護士であれば、状況に応じて最適な解決方法を提示してくれるでしょう。他の共有持分権者との代理交渉や共有物分割請求の訴訟対応も依頼できます。もめている時間が長くなるとその分状況が悪化していくケースが多いので、早めに対応してください。

不動産を共有していると、トラブルの種になります。もしも相続などで誰かと共有状態になったら、できるだけ早期に解消しましょう。共有持分がらみで困ったときには不動産に詳しい弁護士に解決方法を相談してみてください。


(記事は2020年9月1日時点の情報に基づいています)

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