目次

  1. 1. 外出自粛でオンラインセミナーが増加
  2. 2. 欲しい情報をしっかり意識するのが大事
  3. 3. 参加してみての心構え
  4. 4. 受講する際の注意点

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投資期間がどうしても長くなる不動産投資を行う上で、定期的に最新情報を収集することはとても大切です。ただ、今回の新型コロナ感染拡大に伴い、外出を自粛することが多いので、公開セミナーや講演会が中止され、オンラインでのセミナーや講演会が情報発信の手段として活用されるケースも増えてきました。

業者側から考えたオンラインセミナーの目的は、効率良く情報を提供することでビジネスチャンスにつなげることです。大きく分けると次の3点が考えられます。

  1. ネット商材など講演自体で収益をあげる
  2. 営業促進や既存顧客の囲い込みなどで収益につなげる
  3. たくさんの人を集めて宣伝・広報する

現在、通常の会場を利用したセミナーを行う場合、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ三密に配慮するため、どうしても少人数にせざるをえません。このため、講演で収益をあげようとすると、1人当たりの受講料は高額になります。

それに対して、販売促進を目的としたセミナーをオンラインで開くと、1回当たりの参加者は多いようです。会場で開催するより参加者の上限が増えるので、結果として1人当たりの集客コストは安くなります。講師も社員や提携先のコンサルタント・士業などハードルが低くなり、費用もリーズナブルにおさまるでしょう。つまり、前述の2や3のセミナーには向いているようです。このため、スマホが主な情報収集手段になり、新規格の通信環境が整えば、オンラインセミナーは増えていくしょう。

次は、情報の受け手となる消費者側の視点から考えてみます。セミナーに参加する際に、大事なのは、どんな情報が欲しいのかをきちんと意識することです。また、そもそも提供されている情報がどんなレベルの内容なのかを理解できるようにもしましょう。特に無料セミナーの場合、形式上、売り込みをされることはまずありませんが、対話の中で誘導的な手法が用いられます。営業手法の一つとしても応対も含めマニュアル化もされているケースもありますから、気を付けましょう。

実は、今年のゴールデンウィーク中、複数の不動産投資会社が行った無料のオンラインセミナーをお客さまと一緒に拝聴する機会がありました。基本的には集合型と変わらず、パワーポイントを利用したセミナーでしたが、その中で気づいた四つの点を挙げながら、参加する上での心構えをみていきます。

まず1つ目は「配付資料がないケースが多い」ということです。これはシステムなどの問題もあるかもしれませんし、受け取っても実際に事前に印刷をするのも手間です。ただ、後で資料を見直したいときに手元に無いのは不便に感じました。
2つ目は「根拠にしているデータが不明確なことが多い」点です。恐らく、ほとんどは公的なデータだと思いますが、明確な出典が示されていないケースがほとんどです。出典の有無は、信頼性があるのかどうかを判断するのに大切なポイントです。
3つ目は、「根拠としているデータが最新ではないものも含まれていた」ことです。私も講演時に、あえて古いデータを利用することもありますが、その場合は理由を伝えます。そのような断りがないと、恣意的にデータを利用しているようにも見えてしまいます。
最後の4つ目に挙げるのは、ソースにしている「データが無い」ケースも多々あった点です。例えば、「当社調べ」や過去に受け付けた相談といった具体例は、内部の人でないと分からず確認もできません。個人情報なので、明確にできないのは分かりますが、良く考えると整合性がとれていない事例もありました。

ほかにも、話題になっている専門用語や最新情報を説明するケースもありましたが、事実と主張が混合されているケースが意外に多かったように感じました。当初は、とても説得力を感じるのですが、良く考えると、話の筋が微妙に通っていなかったり、具体例の前提条件に無理があったり。聞き流してしまえばわからないのですが、そもそも、実現可能性が低いなど、違和感を覚えることもありました。

消費者契約法では、消費者契約の申し込み又はその承諾の意思表示の取消しについて不当な勧誘(4条関係)を定めています。もちろん、セミナー自体はこれにはあたりませんが、誤認を与えるような微妙な表現も見受けられました。

例えば・・・

  • しっかり事実を伝えていない「不実の告知」的な表現
  • 未確定のことを断定的な判断基準でそうだと認識してしまうような表現
  • 故意に不利益な事実を提供していないような表現

です。

個々人で感じ方に差があるとは思いますが、高額な不動産投資をする際の情報提供としては危うさを感じました。

では、セミナーを通して情報を集めるのにあたり、何に気を付ければいいのでしょう。その一つが、5W1Hの原則(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)です。事前に自分自身で受講する目的や基準も、しっかり意識しておきましょう。例えば、企業がどのような結果を求めているのかを考えてみるのも一つです。

情報を無料で提供するには目的があります。将来、お客さんになってくれるかもしれない人にリーチできることは、ビジネスチャンスにもつながります。一方で、聴く側も、貴重な時間や交通費などの出費があります。自分自身の貴重な個人情報も、ある程度提供することになると思います。
また、最近は何十万円もする高額の有料セミナーもあります。受け手である私たちが自分の欲しい情報とは何なのか、しっかりした目的意識を持っていないと、結果的に価値がない情報を高値づかみしてしまう可能性すらあります。聴いてみて、知っていることばかりだったり、あまり興味がないことだったりする恐れもあります。

以前からオンラインの高額セミナーはあります。例えば、最初は無料でメルマガ登録などしてもらい、そのメルマガを何回かにわたって読んでいく中で、徐々にモチベーションを上げ、最終的に収録した講演データをダウンロードしたりストリーミングしたりする形式で見る高額セミナーです。このようなセミナーの価値は千差万別です。

ただ、投資は成功する人もいれば失敗する人もいます。過去に成功した人は、その後に同じ分野で失敗しなければ、一生勝ちっ放しになれ、その実績を残せるかもしれません。情報が更新されるスピードは今後も早まっていきます。情報を受け取る私たちから考えると、時に情報は高い買い物になるはずです。その価格に見合った内容かどうか、検討する必要があります。

(記事は2020年6月1日時点の情報に基づいています)

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