目次

  1. 1. リバースモーゲージは大きく分けて2種類
  2. 2. リバースモーゲージの活用例
    1. 2-1. リタイア後の生活資金を得る
    2. 2-2. リタイア後のレジャー費を得る
    3. 2-3. 住宅を購入する・買い替える
    4. 2-4. 自宅をリフォームする
    5. 2-5. 住宅ローンを一括返済する
    6. 2-6. 相続時に遺産分割しやすくする
  3. 3. 金融機関のリバースモーゲージ利用のポイント
  4. 4. リバースモーゲージ利用の手順

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リバースモーゲージは、老後の資金が不足したときに自宅を担保にして金融機関等から融資を受けます。その点では、一般的な住宅ローンと同じですが、リバースモーゲージは契約者(借り入れた人)が亡くなったときに自宅を売却して借入金を一括返済する仕組みで、生前は返済しないか、あるいは利息のみを支払うのが特徴です。
この仕組みを使えば、自宅に住み続けながら資金を得ることができます。

リバースモーゲージは大きく2つに分けられます。
一つは、国の「不動産担保型生活資金」に基づく住民税非課税世帯など低所得者向けのものです。原則として65歳以上の人が対象で、所得が一定以下であることが条件です。窓口は各自治体の社会福祉協議会です。

もう一つは民間の金融機関が扱っているリバースモーゲージです。
金融機関ごとに商品内容に違いがありますが、60歳以上の人などが対象で、所得が一定以上であることが条件になっています。
国のリバースモーゲージは借入金の使いみちが生活資金に限られるのに対して、金融機関のリバースモーゲージは生活資金のほか、住宅の購入やリフォームの費用、住宅ローンの返済、レジャー費用などにも利用できるという違いがあります。ただし、どの使いみちが可能なのかは金融機関によって異なります。

民間金融機関のリバースモーゲージの仕組みについては、「マイホームを担保に老後資金を捻出するリバースモーゲージ 相続での注意点は」をご参照ください。

金融機関のリバースモーゲージはいろいろな使い方ができます。例えば、次のような活用法が考えられます。

年金収入では老後の生活費が不足する、でも保有する金融資産が少なくて不足を補いきれない、といった場合に利用するのが基本的な使い方といえるでしょう。

生活費は足りているけれど、リタイア後の生活をより豊かにするためにリバースモーゲージで借り入れた資金を趣味や旅行などの費用に充てる、という使い方もできます。

リタイア後に自宅を購入する、あるいは買い替える際、一般的な住宅ローンだと年齢的に借り入れが難しく、借り入れられたとしても、年金生活の中でローンを返済していくのは大変です。そのような場合に、リバースモーゲージで資金を借り入れて、住宅を購入したり買い替えたりすることが考えられます。
リバースモーゲージを使って住宅を購入し、それまで住んでいた自宅を賃貸して、賃貸料を利息の返済に充てている事例もあります。

住まいの外壁や屋根などは定期的にメンテナンスする必要があります。リタイア後の生活を快適にするためにキッチンやバスルームなどの水回りを交換したい、将来に備えて室内をバリアフリー化しておきたいという人もいるでしょう。
こうした自宅の改修・リフォームなどの工事費がない、あるいは、工事費のために資産を取り崩したくない、という場合に、リバースモーゲージの利用が選択肢となります。

退職後も多額の住宅ローンが残っていて、年金の中から返済していくのが難しいというケースでは、リバースモーゲージで資金を借り入れて、住宅ローンを一括返済します。リバースモーゲージという新しい借り入れを行うことになりますが、こちらは毎月の返済は不要、あるいは利息のみの支払いとなるので、リタイア後の家計への負担が大きく軽減されます。

相続のとき、現預金などに比べると自宅などの不動産は分割しづらいので、推定相続人(子など)が複数いる場合に、リバースモーゲージで資金を借り入れて自宅を現金化することで、遺産分割がスムーズになるようにしておくのも一案です。

このほか、セカンドハウスを購入する、サービス付き高齢者住宅(サ高住)や有料老人ホームへ入居する際の入居一時金に充てる、将来の医療や介護にかかるお金を用意しておく、などといった目的に使うこともできます。

このように、リバースモーゲージにはいろいろな活用法がありますが、金融機関によっては融資した資金の使いみちを、住宅購入やリフォーム資金、セカンドハウス、サ高住の入居一時金などに限っているところがあります。それ以外の目的で利用するなら、資金使途に制限がない金融機関を選ばなければなりません。

リバースモーゲージで借り入れた資金は一般的に、契約者(借り入れた人)が亡くなったとき、自宅を売却して一括返済するので、相続人は自宅を相続することができません。したがって、子どもがおらず、自宅を相続させる必要がない人には向いているといえます。
子どもがいても、すでに自分の住まいを確保していて親の家を相続することを望んでいない、あるいは、親の家でなく現金を相続したいと考えている、という場合などはリバースモーゲージを利用してもよいでしょう。

とはいえ、金融機関のリバースモーゲージは誰でも利用できるわけではありません。多くの金融機関は、対象となる不動産の所在地を首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)や関西圏(大阪、京都、兵庫)などに限っており、地方銀行の場合はその県内の不動産のみを対象とするところが多くなっています。また、マンションは対象にしない金融機関がほとんどです。
対象エリアにある一戸建て住宅でも、不動産としての価値が低いと担保とならず借り入れができません。
さらに、借り入れに際しては年齢や年収などに関する審査があります。

こうしたことから、リバースモーゲージを利用したくてもできないケースは多いといえるでしょう。

リバースモーゲージを利用するときはまず、利用の目的を明確にします。そして、その目的で借り入れができるリバースモーゲージを扱っている金融機関を探します。また、必要となる借入額もざっと見積もっておきます。

金融機関が絞れたら、資料請求してパンフレットなどを送ってもらい、利用条件などを確認しましょう。金融機関では個別相談会などを行っているので、それを利用して、自宅の担保評価額や借り入れ可能な目安額などを示してもらったり、不明な点について質問したりするとよいでしょう。

相談して融資条件を満たしていることがわかったら、金融機関は正式に担保評価を行い、融資金額を提示します。それがOKなら、利用者と金融機関が契約を結びます。その際、リバースモーゲージには、金利の上昇で返済すべき額が増えるリスク、不動産価値の下落で融資額が担保額を上回るリスク、長生きして借り入れた額を使いきってしまうなど、リスクがあることについて金融機関から十分に説明を受け、しっかり理解しておくことが大切です。

リバースモーゲージの契約にあたっては推定相続人の同意が必要となります。リバースモーゲージを利用するのであれば、契約前にその旨を家族に伝え、納得しておいてもらうことも欠かせません。

(記事は2020年5月1日時点の情報に基づいています)

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