目次

  1. 1. 相続税の未成年者控除とは
  2. 2. 未成年者控除の控除額
  3. 3. 未成年者控除適用のための必要書類
  4. 4. 未成年者が相続する場合の注意点
  5. 5. 民法改正による成人年齢引き下げの影響
  6. 6. まとめ

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相続税は、たとえ5歳の子どもであっても、払う義務があります。

しかし、そんな小さい子どもが高額な納税資金を準備するのは難しいもの。また、その親も幼い子どもを抱えて、今後の生活をどうするかといった心労も大きいかと思います。

こんなときに活用できるのが「相続税の未成年者控除」です。

未成年者控除とは、18歳未満の未成年者が被相続人から遺産を相続する場合に、相続税の一部が控除される制度のことをいいます。

未成年者控除を受けるためには、この未成年者が法定相続人でなければならず、相続の際に日本国内に住んでいる必要があります。

これらの要件を満たしていれば、相続税の未成年者控除の適用を受けることができます。

未成年者控除の控除額は、次の計算式によって決まります。

(18歳 ― 相続した時の年齢)× 10万円

相続したときの年齢に端数月がある場合は切り捨てとなります。

例えば、相続時に12歳3カ月の相続人がいたとします。この場合、この相続人はいくらの税額控除をいくら受けることができるのでしょう?

このケースの場合3カ月と言う端数は切り捨てられ、相続したときの年齢は12歳となります。従って、(18歳−12歳)× 10万円 = 60万円となり、この相続人の未成年者控除額は60万円となります。

また、この相続人の相続税が60万円未満であれば、残りの金額は、その扶養義務者が支払うべき相続税の減額にあてることができます。

未成年者控除を利用するためには、相続税申告書の第6表「未成年者控除・障害者控除額の計算書」の添付が必要となります。この計算書において、上記の未成年者控除額の計算を行うようなイメージとなります。

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原則として未成年者は、法律行為をすることができません。相続においては遺産分割が法律行為のひとつです。従って、未成年者が遺産分割を行う場合には、代理人を立てる必要があります。

この代理人には「法定代理人」と「特別代理人」の2種類があります。相続の遺産分割協議を行う場合においては「特別代理人」を選任することとなっています。

法定代理人とは、基本的に親などの保護者を指します。しかし、相続の場合は親も相続人であることから、自分に有利な遺産分割を行う可能性があり、公平な分割ができなくなる場合もあるかもしれません。

そういった場合には、利害関係のある法定代理人ではなく、家庭裁判所が「特別代理人」を選任し、特別代理人が未成年者の代理人となります。

民法改正によって成人年齢が引き下げられるまで、未成年とは20歳未満を指していました。それゆえ、未成年者控除は満20歳まで適用がありました。しかし、民法改正により2022年4月1日から18歳から成人となり、これまで控除できたはずの10万円×(20 – 18) = 20万円分の控除がなくなり、控除額が少なくなりました。

相続となると遺産分割や書類準備、相続税の申告など、やらなくてはならないことがたくさんあります。幼い子どもを抱えてご主人を亡くされた場合には、心労もあり、とても大変な作業です。

未成年者控除など大した慰めにもならないかもしれませんが、今後の生活のためにも、少しでも相続税を減額できるこの制度を活用してください。

(記事は2022年9月1日時点の情報に基づいています)

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