今年2020年は東京オリンピックの年ですね。選手村跡地の開発であるHARUMI FLAGなど東京都心部や湾岸エリアを中心に超高層大規模開発や複合再開発プロジェクトなどが数多く控え、最近、タワーマンション=超高層マンションが話題になっています。

「超高層マンション動向2019」によると、2016年以降は伸び悩んでいた供給戸数も「2019年には増加に転じて1万8,000戸を突破、2020年も2019年と同水準を維持する見込み」です。

「超高層マンション動向2019」(株式会社不動産経済研究所:2019年4月11日) によると、2016年以降は伸び悩んでいた供給戸数も「2019年には増加に転じて1万8,000戸を突破、2020年も2019年と同水準を維持する見込み」だそうです。

今回は、このタワーマンションに視点を当て考えてみたいと思います。

そもそもタワーマンションとは

そもそもタワーマンションとは、何でしょうか?
実は、法律上、何階以上という明確な定義はありません。ただし、建築基準法で高さ60mを超える建築物に「自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして~(中略)~定める基準に適合するものでなければならない」として定義づけているのでこれが根拠となり、一般的にタワーマンション=“超高層建築物”は60m超となっています(建築基準法20条1項一号)。
一般的に階数にすると、20階以上のマンションになるでしょう。

なぜ、タワーマンションが増えたのか?

タワーマンションが増えた直接の契機になったのは、2000年前後に長期化する不況に対する景気対策の一環で行われた規制緩和です。都市計画法や建築基準法という法律の改正により、現在の形のタワーマンションが建てられるようになりました。また、同時に、汐留など東京中心部やお台場など湾岸エリアの再開発などが進捗したことが大きく影響したと思われます。

実際に供給サイド=販売会社から見ると、タワーマンションは土地に対する建物割合が圧倒的に大きく、利益率が高い=儲かりやすい事業構造になっています。
また、行政サイドから見ても、人口増加で地域経済が活性化し、住民税や固定資産税などの税収も潤うという期待が持てます。


そして、購入サイド=実際に住む実需層から見ても、タワーマンションに住めることにステイタス的な意味合いがあり、同時に投資家から見ても相続税などの節税効果が高いため、三者三様にメリットがあるという状況でした。

相続の節税とは?

以前のコラム「相続対策に不動産投資は有効か?専門家が3つの対策と3つの活用法を解説」でお伝えした通り、相続対策には、「節税対策」「納税資金対策」「争族防止対策」の3つがあります。

タワーマンションの「節税対策」について読み解いてみましょう。
節税という観点から考えると、相続税という税金は「課税価格の合計」が決まってしまうと、ほぼ自動的に納付税額(総額)が決定してしまう仕組みなっています。

つまり、相続税の節税対策をするには、様々な手法がありますが、基本的に「相続税・課税価格合計まで」を見ていただき、「課税価格の合計」を減らす必要があります。

相続税・課税価格合計までを計算式に表すと、

課税価格の合計=
本来の相続財産  
+みなし相続財産   
-非課税財産           
-葬式費用・債務控除
+相続前3年以内の贈与
+相続時精算課税

となります。

この式の通り、節税する方法は以下の3つです。

1)相続財産自体を減らすか?
2)非課税資産や特例を使うか?
3)相続財産の評価額を下げるか?

1)相続財産自体を減らすか?とは、生前贈与など行い、相続がもめないための対策をすることです。

2)非課税資産や特例を使うか?とは、特例がたくさん存在する資産を使うということ。

3)相続財産の評価額を下げるか?とは、「実際の価格である時価(市場価格)と財産評価(「財産評価基本通達」)とのギャップが大きな資産」を活用することで、節税効果を高めるということです。

→2)3)の方法がしやすい資産の代表が、不動産なのです。

「タワマン」は結局相続対策になるのか

結論から申し上げて「なります」。

マンションの特徴として、土地の評価割合が少なく、建物の評価割合が大きく、特にタワーマンションの場合はその割合が大きくなるので、相続税算定の際に節税になるからです。

土地の評価は路線価で判断します。一般に時価の80%評価と言われています。また、土地全体の評価額を各部屋の占有面積に応じて分けて計算します。床面積が同じ800戸のタワーマンションがあった場合、土地の評価額は1/800になります。

さらに、一定の要件を満たすと投資用不動産でも土地の相続税評価額を最大50%減額できる「小規模宅地等の特例」という制度がありますから、タワーマンションの土地の相続税評価額はかなりの確率で低くなりやすいです。

建物の評価は固定資産税評価額で判断します。一般に時価(建築費など)の40~60%とされています。高層階でも低層階でも同じ床面積の部屋であれば固定資産税評価額は同額ですから、時価>税評価という構図となり、節税になるということです。

変わる風向きに注意… 「節税」否決の判例も

ただし、近年の税制改正により、固定資産税評価額の計算法が変わり、高層階ほど固定資産税評価額が高くなる計算方法に変更されました。今後、相続税の計算でも同様に改正される可能性は高いと感じています。

また、タワーマンションの限った話ではありませんが、最近の判例(現在、地裁段階)でも、過度な「節税」を目的にした節税対策&対応については裁判所からも否認されるケースも出てきています。

例えば、2019年8月末に東京地裁で「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とされた判決。基本的に、国税庁は路線価などを相続税の算定基準としていますが、今回のケースでは、取引が相続発生の時期に近く(購入から2年半~3年半で相続は発生)、時価と路線価が大きくかけ離れていた(時価が路線価の約4倍)ので、路線価以外の合理的な方法で評価することが許されました。

納税は国民の三大義務の1つですから、ごもっともな話です。節税目的でタワーマンションを所有している方は注視し、具体的な案件に関しては、税理士など専門家と相談しながら慎重に進めましょう。

近年は災害リスクにも警戒を

最後に・・・タワーマンションの場合、節税以外にも気を付けて欲しいことがあります。

それは災害対策です。マンションの災害対策というと、地震以外の災害による被害とは無縁だと考えられていましたが、2019年の台風19号によるタワーマンションの浸水被害により、災害リスクによる生活被害が顕在化しています。

今後の土地や住宅政策で管理面が重視される中、ハード面の対策だけでなく、安心できる安定的な管理体制や長期的な修繕計画の保持や実施などソフト面の対応も重視されるでしょう。

この話はまた、別の機会でお伝えすることとしましょう。

前回の記事では「所有者不明土地」の問題が、法改正により解決の兆しが出てきたことを伝えたとおり、今後も不動産相続と土地活用についての最新情報をお届けしたいと思います。

(記事は2020年2月1日時点の情報に基づいています)