目次

  1. 1. 税理士への相談は、相続発生後すぐがおすすめ
  2. 2. 税理士への依頼の有無で、納税額に数千万円の差も
  3. 3. 相続税に強い税理士への依頼がカギ

「相続会議」の税理士検索サービス

――相続が発生したとき、相談先として税理士・弁護士・司法書士が思い浮かびますが、それぞれの違いを教えてください。

税理士は、相続の場面における「税金の専門家」だと言えます。相続が発生すると多くの士業が関係しますが、担当業務は以下のように明確に分かれています。

  • 税理士:相続税の計算・申告、相続発生前の節税対策
  • 弁護士:民法上の遺産分割や相続発生前の遺言書作成などの相談
  • 司法書士:不動産の登記変更など
  • 行政書士:相続人・相続財産の調査、不動産以外の名義変更の手続

――相続が発生した場合、税理士事務所にはいつ相談すると良いのでしょうか。

「四十九日を過ぎてから」と考えている方もおられますが、故人の所得税申告が必要なケースや相続放棄をもあるため、早ければ早いほど良いですね。

相続税の申告期限は相続発生から10カ月以内ですから、四十九日の後でも間に合います。ただ相続税申告のためには、財産の確定、遺産分割が必要となります。また、まず故人の所得額など所得税の「準確定申告」が必要です。海外に住んでいる相続人の方に上場株式を相続する場合には「国外転出時課税」の申告が必要になる場合もあります。準確定申告や国外転出時課税の申告は、故人が亡くなった日から4カ月以内に行わなければなりません。

なお、相続放棄をする場合には、相続の開始を知った日から3カ月以内の対応が必要です。

――相続税申告を依頼する税理士は、どのように探すと良いでしょうか。

相続税には税を軽減できる様々な特例や取扱いがあり、これらの特例等を適正に適用できているかどうかによって、最終的な納税額が大きく変わります。そのため、まずは相続税を専門に取り扱う税理士事務所を探すと良いでしょう。

税理士事務所を選ぶ場合、以下のようなことが判断基準になります。

  • 相続税の申告件数
  • セミナーなどへの登壇回数
  • 相続税に関する書籍の出版の有無や、その冊数

いずれも、その事務所がどれだけ継続的に相続税案件を扱ってきたかを示す目安になります。

立地は、できればご自宅や勤務先などの近くが望ましいでしょう。最近はWEB面談が可能な事務所も増えています。税理士と実際に会うのは基本的に1、2回で、以降はメールや文書でのやり取りが中心となるケースが多いでしょう。しかし場合によっては、不動産の現地確認などで事務所を複数回訪ねなければならないこともあるからです。

こうした点を踏まえながら、相続税に関する専門知識と実績を備え、信頼できる税理士を選ぶことが望ましいでしょう。

――税理士に依頼したい場合、費用目安はどの程度でしょうか。

相続財産の総額により異なるので一概には言えませんが、最近は事務所のホームページで料金表を掲載しているところも増えています。まずはそちらを参照してみると、目安となる金額が把握できるでしょう。

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――相続税の申告も、確定申告と同じ感覚で「自力で行おう」と考える方もいると思いますが、税理士に依頼するメリットは。

ご自身では判断が難しい財産の評価や、適用できる特例の見落としなど、税金額の計算ミスをするリスクが格段に低くなります。

財産が数億円規模の方だと、ご自身で申告した場合と税理士に依頼した場合とで、税額が数千万円も変わることも珍しくありません。

――かなりの金額ですね! なぜそこまでの差が出るのでしょうか。

大きく3つですね。まず、故人の財産総額を正確に把握できているか。次に、特例を活用できているか。そして、評価額を適切に判断できているかです。

相続税の金額は故人の財産の総額に応じて決定されますが、ご家族などが把握していない財産があることも多いのです。「故人が密かに孫名義の預金をしていた」「貸金庫から金の延べ棒が出てきた」という話もありますし、最近は「暗号資産を持っていたらしいが、書類がないので残高が不明」といった例もあります。

――確かに、ご家族の方は故人がどのような財産を持っているかは意外と知らないかもしれません。

そうですよね。加えて相続税には「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」「相次相続控除」といった特例が多数あり、それを適用できるか否かで税額は大きく変わります。税制改正で新しい制度が登場したり、既存の特例の内容が変わったりすることもあるので、そういった情報をキャッチできているかも重要です。

さらに、財産の評価額も判断が難しいものがあります。たとえば不動産の評価額は、土地の大きさ、形や立地など複数の要素を踏まえて算出しなければなりません。しかし、これら財産の評価額は、法律で一律に規定されておらず、「財産評価基本通達」などの取扱いに沿って行うことが求められています。この通達をどのように適用するか、税理士の知識と経験に基づいて判断することとなります。

――1つ1つの財産に対して個別に判断しなければならないのですね。昨今は生成AIを活用して情報収集や書類作成をする方もいますが、それについてのお考えは。

「相続税の特例には何があるか」といった内容を投げかけるなど、基礎知識の収集のために使うのは良いと思います。私も活用しています。なお、私の場合、必ず、AIが出す答えの根拠についても求め、改めて、その根拠を確認しています。現状のAIでは、存在しない条文や判例を根拠として答えることも多く、また、税制改正など、最新の情報などを把握していないことも多いです。よって、生成AIは制度の大まかな把握に使い、ご自身の事例への当てはめなどの相談は税理士へ、と使い分けると良いでしょう。

河合厚さん=税理士法人チェスター提供

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――自営業者などで顧問の税理士がいる場合でも、相続税に注力する税理士事務所に依頼した方が良いのでしょうか。

はい、そのほうが好ましいです。

一般的な税理士事務所が町の診療所だとしたら、相続税申告の実績が豊富な税理士事務所は、高度な医療ができる専門病院のような位置づけに当たると考えています。町の診療所でも治療はできますが、年に1、2回ある程度の難易度の高い治療なら、専門病院に掛かることで適切な治療を受けることができます。

相続税申告もそれと同じです。相続税を中心に取り扱う事務所のほうが経験値も圧倒的に豊富ですから、安心して依頼できると思います。

――「一旦は自分で書類を作成した、または顧問税理士に依頼して作ったが、内容に不安がある」という場合も、相続税に強い税理士への相談は可能でしょうか。

もちろん可能です。弊所にも「会社の顧問税理士に相続税申告を頼んだけど、あまり詳しくないみたいだから確認してほしい」と相談に来る方もおられます。

また、税理士事務所からも、相続税の申告内容の確認を依頼されることもあります。

――税務署は相続税の調査に特に力を入れているというのは本当ですか。

はい、そのとおりです。相続税の税務調査割合は他の税金と比べて格段に高く、所得税、法人税、消費税などは0.2~3%程度であるのに対して、相続税の税務調査割合は6%に上ります。そして調査された方の5人に4人以上が何らかの間違いを指摘されており、1件当たりの追徴税額は平均で800万円超に上っています。他の税金に比べて、まさに桁が異なります。

この場合も、当初の申告が相続税に強い税理士が対応したか否かによって大きく異なります。

実は相続税申告の8割は税理士が代理に作成しています。それでも申告内容に誤りがあるとされる方が大多数といえる状況ですので、それだけ相続税申告は難しいといえるでしょう。

――そう思うとやはり、初めから相続税に詳しい税理士に依頼するのが良さそうですね。

そうですね。相続税は、財産の評価など一律に決められない「グレー」な部分が多い分野です。だからこそ、税理士の知識と経験が納税額に大きく影響します。

また、目先の申告だけでなく、例えばその先の「二次相続」のことまで考えて最善の遺産分割を検討することも大切です。例えば、一次相続で配偶者の税額軽減を最大限に使うと、二次相続(配偶者が亡くなったとき)で子どもたちの税負担が大きくなるケースがあります。一次・二次を通じてトータルで税負担が最小になる遺産分割を提案できるかどうかも、相続税に強い税理士を選ぶ重要なポイントです。

相続税の申告が必要になったら、まずは一度専門税理士に相談することをお勧めします。

専門税理士にご相談いただくことで、ご自身の状況や今後の対応方針がより明確になります。

弊所でも初回面談は無料で実施しておりますので、ぜひそのような機会をご活用いただき、複数の事務所の話を聞いたうえで、安心して信頼できる専門税理士を見つけていただければと思います。

税理士法人チェスター

相続税分野に特化した税理士法人。関東を中心に、東海・関西・九州など全国18拠点を構え、相続税申告取扱件数は年間3000件超と業界トップクラス。豊富な実績に裏付けられた多様なケースへの対応力が強みで、不動産評価や非上場株式、国際相続など複雑な案件にも対応する。申告書は国税OBが在籍する「審査部」が多角的にチェックする体制を整えており、高い申告精度を実現。相続税申告にとどまらず、生前対策・資産承継・遺言作成から二次相続まで一貫したサポートが可能。

(記事は2026年3月1日時点の情報に基づいています)

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