目次

  1. 1. 不動産査定書とは
  2. 2. 不動産鑑定評価書との違い
  3. 3. 無料と有料との違い
  4. 4. ひな形・テンプレート・表紙のサンプル
  5. 5. 無料の不動産査定書の依頼方法
  6. 6. まとめ

不動産査定書とは、主に不動産の時価を示した書類のことを指します。
時価とは、「今売ったらいくらか」を表す価格です。

不動産の価格は土地と建物の2つで構成されています。
土地価格は、景気の状況によって価格が上昇または下落します。
一方で、建物価格は築年数の経過によって価格が下落し続けることが一般的です。

土地価格は上下に変動し、建物価格は下落し続けることから、不動産価格は購入時点とは異なっていきます。

そのため、不動産を売るには改めて時価を把握する必要があり、適切な売り出し価格を決めるために不動産査定書が必要となってくるのです。

不動産査定書には「査定価格」が記載されています。
査定価格は、あくまでも不動産会社の調査結果に基づく意見価格であり、売却を保証するものではないという点がポイントです。

位置づけとしてはある会社が考えている「売却予想価格」であることから、依頼する会社を変えれば査定価格も変わります。

不動産査定書と似たような言葉に「不動産鑑定評価書」というものがあります。
不動産鑑定評価書も不動産査定書も、不動産の時価を出す書類であることは同じです。
不動産鑑定評価書と不動産査定書の違いを示すと下表のようになります。

不動産鑑定評価書とは、国家資格者である不動産鑑定士が、国が定めている不動産鑑定評価基準に基づいて行う評価のことです。

不動産鑑定評価書の作成は不動産鑑定士の独占業務であるため、不動産鑑定書という書類は不動産鑑定士しか書けないことになっています。

また、不動産鑑定評価書は不動産鑑定評価基準に基づいて評価が行わなければならず、価格の算出方法のルールが厳格です。

不動産鑑定評価基準では、原則として不動産の市場面や原価面、収益面の3つの側面から価格を評価しなければならないと定められています。

一方で、不動産査定書には、作成者や評価基準に縛りがなく、誰がどのような方法で査定しても問題ないことになっています。

極端にいうと、不動産査定書なら不動産会社の新人アルバイトが直感に基づいて査定してもよいということです。

つまり、「誰がどのようなルールの基づき価格を出すか」について厳格に定められているのが不動産鑑定評価書であり、何も定められていないのが不動産査定書ということになります。

不動産業界では、一般的に不動産鑑定評価書以外の書類のことを「不動産査定書」と呼んでいます。

不動産査定書には無料と有料のものがあります。
無料と有料との違いを示すと下表の通りです。

不動産査定書は誰が作成しても良いので、不動産会社も不動産鑑定事務所も行うことができます。

依頼者が負担する金額については、不動産会社に依頼すると無料で、不動産鑑定事務所に依頼すると有料となります。

不動産会社が無料の理由は、不動産会社は査定料金を顧客に請求できないからです。
不動産会社が受領できる報酬は仲介手数料となりますが、仲介手数料は成功報酬であるというルールがあります。

不動産会社の査定は、仲介を成約させるための営業行為の一環であるため、成約していない段階で査定料金の報酬を受け取ることができません。
仮に査定後に仲介の依頼を断っても、費用を請求されることもないです。

また、不動産会社に査定を依頼する場合、その目的は「売却のみ」に限られます。
査定料金を受領することができない不動産会社は、売却以外で査定を依頼されてしまうと、査定コストを回収できる機会がないからです。

よって、「単に資産価値を知りたいだけ」という場合には、不動産会社には査定を依頼することができないことになります。

一方で、不動産鑑定事務所は価格を評価することが主たる業務であり、報酬も成功報酬でないことから、同じ名前の不動産査定書でも不動産鑑定事務所に依頼すると有料となることが通常です。

また、不動産鑑定事務所であれば査定料金を受領できるため、どのような目的でも不動産査定書の作成を引き受けてくれます。

例えば、相続で遺産を分割する際、売らないけれども財産を兄弟で分けるために価値が知りたいといったケースがあります。
不動産鑑定事務所であれば、このような目的でも不動産査定書を引き受けてくれます。

尚、不動産鑑定事務所の不動産査定書は、不動産鑑定評価書よりも手数料が割安であることが一般的です。

売却以外の目的でコストを抑えて価値を把握したい場合には、不動産鑑定事務所の不動産査定書が適しています。

参考までに、不動産査定書とはどのようなものなのかサンプルを示します。
ここでは、公益財団法人不動産流通推進センターが開示している不動産査定書の「ひな形・テンプレート・表紙」を紹介します。

【ひな形・テンプレート・表紙のサンプル】
土地査定書
戸建て査定書
マンション査定書

尚、不動産査定書には評価ルールがないため、特に決まった書式は存在しないです。
1~2枚程度のものも多く、枚数が少ないからといって質が劣るわけでもありません。

売却のための査定であれば、不動産会社に依頼するとすぐに快く対応してくれます。
昨今ではインターネットの無料一括査定サイトを利用する人も増えています。
一括査定サイトは簡単に複数の不動産会社に査定の依頼ができるため、便利です。

不動産査定を依頼するにあたっては、以下の書類が最低限必要となります。

【査定依頼時に最低限必要な書類】
・権利証(登記済証)または登記識別情報通知書
・戸建てまたは土地を売るときは確定測量図

権利証や登記識別情報通知書は、購入時に所有権移転登記をした際、法務局から受領した書類です。

所有者本人しか持っていない書類であることから、「売主の本人確認」を行うために不動産会社から提示を求められます。

確定測量図は、土地のすべての境界が確定しているときに発行される実測図のことです。
土地や戸建ての売買では、買主が確定測量図のあることを購入の条件とすることが一般的となっています。

確定測量図があればすぐに物件が売れる状況にあります。
「すぐに売れる物件であるかを確認」するために不動産会社から提示を求められることが通常です。
尚、マンションの売却で確定測量図は必要ありません。

その他、「建設住宅性能評価書」や「建物状況調査の報告書」等の専門家が建物価値を客観的に証明した書類は査定価格をアップさせますので、持っていれば査定依頼時に準備しておきます。

また、リフォームしている場合には、「リフォーム履歴の分かる資料」も用意しておくと査定価格が上がります。

以上、不動産査定書について解説してきました。
無料の不動産査定書は、売却前に不動産会社に依頼する不動産査定書のことです。

無料の不動産査定書の依頼先は不動産会社であり、売却以外の目的では利用できないことになっています。

不動産査定書は不動産一括査定サイトを利用すると、査定依頼の手間が省けて便利です。
不動産査定書の概要がわかったら、早速に依頼してみましょう。

(記事は2021年11月1時点の情報に基づいています。)

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