目次

  1. 1. 古い家を売る方法
    1. 1-1. 古家付きとしてそのまま売る
    2. 1-2. 取り壊してから売る
    3. 1-3. 買い取りを利用する
  2. 2. 古い家を売るときの税金の計算方法
    1. 2-1. 譲渡所得の基礎知識
    2. 2-2. 契約書があるとき
    3. 2-3. 契約書がないとき
    4. 2-4. 土地だけ契約書がないとき
  3. 3. まとめ

古い家を売る方法について解説します。

一つ目は、古家付きとしてそのまま売るという方法があります。

古家付きで売るメリットは、取り壊し費用も不要になるという点です。それに対して、デメリットは買い主が少なくなることで売却までの時間もかかり、売却価格もかなり安くなりやすいという点になります。利用できない古家付きで売る場合、買い主が取り壊し費用を負担することになるため、購入者が限定されます。一般的には不動産会社が転売目的で購入することも多いようです。

一方で、まだ利用できる古家の場合には、個人が購入するケースもあるため、売却できる可能性が高くなります。利用できる古家の場合、不動産会社に売却を依頼しつつ、並行して「空き家バンク」に登録してみるのも一つです。「空き家バンク」とは、地方自治体が行っている空き家の売却や賃貸の情報サイトのことを指します。

「空き家バンク」は、例えば家財道具が残っていて今すぐ売れない状態の物件など、通常の不動産会社では取り扱ってくれない物件でも掲載することができます。空き家バンクは、あえて古い空き家を検討している購入検討者が見にくるサイトであるため、売却の可能性が高まることが期待できます。

不動産会社への依頼と並行して空き家バンクに登録する場合、自己発見取引も認められている媒介契約(専任媒介または一般媒介)を選択することがポイントです。媒介契約とは不動産会社に売却を依頼する契約のことであり、自己発見取引とは売り主が自分で買い主を見つけることを指します。

また、周囲に鄙(ひな)びた雰囲気があり、農家住宅のような古家の場合、古民家として売却できるケースがあります。特に首都圏では古民家ブームが続いており、築40年程度でも古民家として売り出しているケースも見られます。古民家として売り出したい場合は、古民家専門の不動産会社に相談するといいでしょう。

二つ目としては、取り壊してから売るという方法があります。

取り壊して売るメリットは、個人も含めて購入する人が増えるため、売却しやすくなるという点です。それに対して、デメリットは、取り壊し費用が売り主側に必要となるという点になります。標準的な広さの戸建てであれば、取り壊し費用の相場は150万円程度かかります。なお、売却のために要した取り壊し費用は譲渡所得を計算する上の譲渡費用となり、節税に寄与します。譲渡所得については次章で詳しく解説します。

3つ目の方法としては、買い取りを利用するという方法があります。

買い取りとは転売を目的とした不動産会社へ売却することです。古家付きとして売っても、最終的に買取業者が購入する可能性が高いため、早く売りたいのであれば最初から買取業者に売ることをおすすめします。買取業者へ売却するメリットは、取り壊さずに早く売れるという点です。デメリットは価格が安くなるという点になります。

買取業者への売却価格は、更地価格の80%の価格から取り壊し費用を控除した価格が目安です。

【古い家の買取業者への売却相場】
・買取業者への売却価格=(更地価格×80%)-取り壊し費用

この章では古い家を売るときの税金の計算方法について解説します。

不動産の売却では、譲渡所得に対して税金が課税されます。譲渡所得の求め方は以下の通りです。
・譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用

譲渡価額とは売却価額のことです。取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。減価償却費とは、一定の算式で計算される会計上の費用のことです。譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費、取り壊し費用などの売却に直接要した費用になります。

譲渡所得の計算では、取得費を求めることがポイントです。
マイホームのような非事業用の不動産の減価償却費は以下の式で計算します。
・減価償却費=建物購入価額×0.9×償却率×経過年数

経過年数は築年数ではなく、購入したときから売却したときまでの所有期間のことです。経過年数は、6カ月以上の端数が出た場合は1年と計算し、6カ月未満の端数が出た場合は切捨てで計算します。償却率は建物の構造によって以下の数値を用います。

減価償却計算は建物価格に対してのみ行うことがポイントです。土地は減価償却計算を行わないため、土地購入価額がそのまま土地取得費となります。取得費の計算式は以下の通りです。
・取得費=土地取得費+建物取得費
    =土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)
    =土地購入価額+(建物購入価額-(建物購入価額×0.9×償却率×経過年数))

税金は譲渡所得に税率を乗じて求めます。
・税金=譲渡所得×税率

税率は所有期間によって決まり、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年を超えるときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」の税率を用います。長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

相続で引き継いだ古い家を売る場合は、所有期間は親の所有期間も引き継ぎます。

契約書があるときは、契約書に記載された建物価額に対して減価償却計算を行い、取得費を求めます。注文住宅等の場合は、請負工事契約書の金額が建物購入額になります。

古い家の場合、減価償却費の求め方に注意点があります。それは減価償却費が最大で「建物購入価額の95%」までであるという点です。減価償却費が「建物購入価額の95%」に達したら、それ以上は何年たっても減価償却はできず「建物購入価額の5%」が残価として残る形になります。

古い家の取得費をイメージで示すと図の通りです。

木造住宅の場合、償却率が「0.031」であるため、経過年数が35年を超えると95%を超えます。よって、木造住宅では経過年数が35年以上の物件の建物取得費は以下の式で簡単に求めることができます。

【経過年数が35年以上の建物取得費】
・経過年数が35年以上の建物取得費=建物購入価額×5%

契約書がないときは、概算取得費を用いて取得費を計算します。概算取得費の求め方は以下の通りです。
・概算取得費=譲渡価額×5%

概算取得費は土地と建物の合計取得費を表します。
概算取得費を用いた場合の譲渡所得の計算式は以下の通りです。
・譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
     =譲渡価額-(譲渡価額×5%)-譲渡費用

古い家の場合、土地だけ契約書がないときもあります。土地だけ購入額がわからないケースでは、まず減価償却計算によって建物取得費を求めます。

次に譲渡価格(売却価額)から建物取得費を控除したものに5%を乗じたものが土地取得費となります。土地だけ購入額がわからないときの土地取得費の求め方は以下の通りです。
・建物取得費=建物購入価額-減価償却費
      =建物購入価額-(建物購入価額×0.9×償却率×経過年数)

・土地取得費=(譲渡価額-建物取得費)×5%

・取得費=土地取得費+建物取得費

以上、古い家の売却について解説してきました。古い家を売る方法としては、「古家付きとしてそのまま売る」や「取り壊してから売る」といった方法がありました。税金に関しては契約書の有無に応じて譲渡所得を計算することが必要です。古い家を売る方法がわかったら、早めに査定を依頼してみましょう。

(記事は2021年9月1日時点の情報に基づいています)

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