目次

  1. 1. インスペクションとは?
  2. 2. インスペクションの費用相場
  3. 3. インスペクションの費用負担
    1. 3-1. 売主がインスペクションを行う場合
    2. 3-2. 買主がインスペクションを行う場合
  4. 4. インスペクションの効果
    1. 4-1. 買主に一定の安心感を与えることができる
    2. 4-2. 瑕疵担保保険の付保要件のひとつとなる
  5. 5. 瑕疵担保保険の付保費用
  6. 6. まとめ

「インスペクション」とは、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士による建物状況調査のことです。
また、インスペクションを行う既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士のことをインスペクターと呼びます。

インスペクションは、主に柱や基礎、壁、屋根などの構造耐力上主要な部分や、外壁や開口部などの雨水の浸入を防止する部分についての調査が基本です。
お風呂の給湯やインターフォンといった住宅設備に関しては調査の対象外となります。

目視による調査が中心であり、その他にレーザー距離計やデジタル水平器などの一般的に普及している計測機器を使用した計測や触診・打診、作動確認等が実施されます。

調査そのものは1~3時間程度で完了します。ただし、インスペクターの手配には1週間程度かかるのが一般的です。また、インスペクションを実施後、結果が出るまでに1週間程度要します。よって、インスペクションを行うのであれば、少なくとも2週間程度の時間を見込んでおくことが必要です。

インスペクションの費用相場は、5万~6万円程度です。
マンションであれば、面積に関わらず5万円程度としているケースが多くなります。
戸建ての場合は、床面積の広さに応じて、4.5万円~6.5万円程度と幅があります。標準的な戸建ての広さだと4.5万円程度のケースが多いようです。
また、インスペクターによっては、「給排水管路検査」をオプションで行っている会社もあり、給排水管路検査のオプションはプラス5000円程度となります。

インスペクションは普通に依頼すると有料ですが、不動産会社の中にはインスペクションを無料でサービスしている会社も存在します。インスペクションを無料としている会社は、専任媒介契約または専属専任媒介契約で売却を依頼することを前提としていることが一般的です。

媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。一方、専任媒介契約または専属専任媒介契約は、1社にしか仲介を依頼できない契約のことです。インスペクションのコストを抑えたい場合には、インスペクションの無料サービスを提供している不動産会社に仲介を依頼することを検討してみても良いでしょう。

インスペクションには、「売主が行う場合」と「買主が行う場合」の2つがあります。インスペクションの費用は、売主が行う場合は売主、買主が行う場合は買主が負担します。
売主が行うケースは、売却前に実施し、物件を売却しやすくする目的で行います。
また買主が行うケースは、購入前に物件を専門家に確認してもらうという目的で行います。

売主がインスペクションを行う流れは以下の通りです。

売主がインスペクションを行う場合は、最初に価格査定を依頼し、不動産会社と媒介契約を締結したら、インスペクターをあっせんしてもらうという流れが通常となります。

ここで、ポイントとなるのは、インスペクターは無理して自分で選ぶのではなく、不動産会社にあっせんしてもらった方が良いという点です。

次章で解説しますが、インスペクションは合格すると瑕疵(かし)担保保険の付保要件となります。ただし、瑕疵担保保険の付保要件となるには、インスペクターが「既存住宅状況調査技術者の資格者」、かつ、「住宅瑕疵担保責任保険法人の登録検査事業者」であることが必要です。

インスペクションには、「住宅診断」や「ホームインスペクション」といった類似の名称のサービスが昔から存在します。昔から存在する類似のサービスの中には、瑕疵担保保険の付保要件を満たさないインスペクションも多いです。せっかくインスペクションを実施しても、瑕疵担保保険の付保要件を満たしていなければ、インスペクションの価値が半減します。そのため、インスペクターは不動産会社に瑕疵担保保険の付保要件を満たす人を紹介してもらった方が安心です。

インスペクターを紹介してもらったら、インスペクションを実施します。
インスペクションに合格すれば、その旨をチラシやインターネット広告に記載できるため、物件に付加価値を付けて売り出すことができます。
よって、インスペクションは売却活動の開始前に実施することがポイントです。

一方、買主がインスペクションを行う流れは以下の通りです。

買主がインスペクションを行う場合には、基本的には売主に対して買付証明書を提示した後に行うことが一般的です。
買付証明書とは、購入の意思を正式に表明した書面となります。

インスペクションを実施する場合には、買付証明書の中に「インスペクションに合格する物件であれば購入する」といった条件を付します。

インスペクションを実施するには、インスペクターが家の中に入るため、買主が行う場合は冷やかし半分で行うことはできません。そのため、買主がインスペクションを行う場合には、良識の観点から買付証明書を提示した後とされています。

また、買主がインスペクションを行う場合には、売主の承諾を得ることが必要です。売主からすると、インスペクションは物件の粗探しをされるような印象となるため、インスペクションを承諾しない人もいます。そのため売主が承諾しない場合には、インスペクションが実施できないことになります。

買主がインスペクションを実施するケースでは、結果次第で購入の見送りもあり得るという点もポイントです。

次に、インスペクションの効果について解説します。

インスペクションは、買主に一定の安心感を与えることができる点がメリットです。
ただし、インスペクションは目視による検査が中心であるため、建物の性能を完璧に保証しているものではありません。

あくまでも一定レベルの安心感を与える程度ですので、インスペクションに合格しているからといって、完全に問題のない物件とはならないということになります。

インスペクションは合格すると「瑕疵(かし)担保保険」の付保要件の一つとなります。瑕疵担保保険とは、売却後、瑕疵(不具合、故障など)が発見された場合、補修費用の保険金が下りる保険です。
瑕疵担保保険まで付保して売ると、保証付きの物件となるため、さらに付加価値が高まります。

また、木造の戸建では築20年超え、マンションは築25年超えとなると買主が原則として住宅ローン控除を利用できなくなります。住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで自宅を購入すると買主が所得税などを節税できる制度のことです。

しかし、瑕疵担保保険を付保すると、戸建てもマンションも築年数に関わらず住宅ローン控除が利用できるようになります。そのため、築20年超えの木造戸建てや、築25年超えのマンションは、瑕疵担保保険を付保すると売却しやすくなるのです。

瑕疵担保保険の付保費用は一般的には4~6万円程度です。
保険料は保証期間や保証金額によって異なります。

以上、インスペクションの費用について解説してきました。
インスペクションの費用相場は、5~6万円程度です。
インスペクションの費用負担は、売主が実施すれば売主、買主が実施すれば買主が負担します。

インスペクションには、「買主に一定の安心感を与えることができる」「瑕疵担保保険の付保要件のひとつとなる」といった効果があります。
瑕疵担保保険の付保費用は4~6万円程度です。
インスペクションは売主にも買主にもメリットがありますので、家の売買の予定がある方は検討してみてください。

(記事は2021年7月1日時点の情報に基づいています。)

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