目次

  1. 1. 「つながり」が核にあるから
  2. 2. 自分ための「恩返し」
  3. 3. お金を地域で循環させる
  4. 4. たとえ1%でもインパクト

「終活」をご存知ですか? 自身の死に備えてお墓や葬儀の準備をしたり、終末期医療の方針を考えたりすることです。いま、一人暮らしの増加など家族の変化を背景に、「迷惑をかけたくない」と終活する人は少なくありません。でも、「迷惑をかけない」というちょっと後ろ向きの文脈ではなく、「自分が幸せな気持ちになりたい」「少しでも暮らしやすい社会にするために」と、前向きな終活もできます。その一つが遺贈寄付です。遺贈寄付は「つながり」が核にあるからです。

終活など死を意識するとき、人は人生を振り返ります。いろいろな場面で、多くの人たちに支えられて歩んできたはずです。時には奨学金や寄付、輸血など見知らぬ他者に助けられたかもしれません。学校や会社、地域などの場で人と出会い、助け、助けられてきたことでしょう。多くの関係性、つながりの中に自分がいること、有形無形の無数の恩を受けてきたことに改めて気づくのではないでしょうか。その感謝の念を形にしたいと思った時、遺贈寄付がその手段になりうるのです。

遺贈寄付は、「思い」をお金に託して次世代に活かしていく行為です。「奨学金のおかげで勉強できたから、貧困で進学できない子どものために活かしてほしい」「自分には間に合わないけれど、難病治療法の研究開発に」「たまたま自分は日本に生まれて戦渦に巻き込まれることなく暮らせた。紛争で苦しむ人のためにお金を使ってほしい」――。次世代につながりながら、様々な課題の解決に役立つ、恩返し・恩送りの手段です。自分の生きた証が何か残る、人生最後の社会貢献なのです。
同時に、こうして人生を振り返り、次世代につながることは、間違いなく自分の人生を肯定することになるでしょう。人生という「物語」を、肯定的に描く一助になります。人は他者の役に立つことで自身の幸せ感が高まることは、様々な調査結果が明らかにしています。それが、死に向き合うときの心の支えの一つにもなるかもしれません。遺贈寄付はまさに自分のためでもあるのです。

もちろん、社会にとっても意義があります。
税金によって社会課題を解決することは大切です。しかし、税金の使われ方は公平性が大原則で、ある地域やある特定の問題をなんとかしたいと思っても難しいことがありますし、機動性にも欠けます。そもそも税金として納めた時点で、お金がどのように使われるか目に見える形ではわかりません。ある課題を目に見える形でなんとかしたいと思えば、NPOや公益法人などに寄付し、その活動を通して解決する方が適したケースはたくさんあるでしょう。
あるNPOの人が筆者に語った言葉があります。「遺贈寄付は金額の多い少ないに関係なく、いつもの寄付以上に背筋が伸びる思いがします。活動の意義を認めてもらった嬉しさと、思いを託された責任感です」。寄付を受ける側にとっても遺贈寄付の意義は大きく、「寄付者よし、受け手よし、社会よし」の「三方よし」でもあるのです。

また、遺贈寄付には、地域のお金を地域で活かせる意味もあります。東京など大都市への人口集中が続き、相続人が都会に暮らしているケースが増えています。通常の相続では、地方から都会にお金が流れていってしまいます。生まれ育った地域の活動に遺贈寄付によってお金を活かせば、相続財産の大都市への集中が避けられます。いわば遺産の地産地消です。地域で働いて築いた財産で地域に恩返しができるのです。

同じように、平均寿命の延びによって、いま相続は主に高齢者から高齢者へとお金が流れ、生活不安もあってそこで滞留しがちです。その一部でも遺贈寄付で次世代のために使われる意味は大きいと考えます。

先述の通り、人は多くのつながりの中にいて、一人では生きていけません。社会とは、一人一人の「私」がつながった「われわれ」という共感の上に成り立っています。しかし、いま、様々な場面で「敵と味方」が形作られるようにして社会の分断が進み、「われわれ」の意識が断ち切られ、「私」が孤立しつつあります。つながりの中から生まれた「思い」が深く刻まれた遺贈寄付のお金には、「われわれ」をつなぐ、関係性を紡ぎ直す力があると筆者は考えています。

主に遺贈を念頭に書きましたが、相続財産からの寄付も本質は同じです。亡くなった人の人生を思い、亡くなった人のためにお金を活かす。亡き人の供養であり、亡き人の思いを次世代、社会へとつなぎます。相続人にとっても満足度の高いお金の活かし方だと思います。

日本ではいま年間50兆円ともいわれる遺産が毎年、生まれています。そのたとえ1%でも遺贈寄付に使われるとしたら、どれだけ大きなインパクトがあることでしょう。「1%でもいいんだ」と考えれば、ハードルもぐっと下がるのではないでしょうか。自分のため、社会のため、あなたも遺贈寄付を考えてみませんか?

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(記事は2020年9月1日時点の情報に基づいています)